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理学療法の評価と治療

理学療法に関連する臨床・研究・教育と評価・治療について書いていきたいと思います。

最近の記事

呼吸器疾患の段階的アプローチ 

呼吸器疾患であっても状態により
アプローチは変わってくる。
呼吸障害があればポジショニング
体位排痰法からスタートとなる。
これは障害肺区域を上方にした
体位が基本となる。

一側性肺障害の場合は病変上側の側臥位。
びまん性・両側性の場合は
半座位(ヘッドアップ)をとる。
下側肺障害では腹臥位や
前傾側臥位(シムス肢位)をとる。

これにより循環・呼吸状態が
改善する場合は続行。
悪化する場合は別のポジションで行う。
離床開始基準を満たし、全身状態が良好なら
離床し座位・立位・歩行と段階的に進めていく。
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パルスオキシメーター 

簡易ですぐに使える。
また時間的なモニタリングが可能である。
うまく測定することができない場合、
いくつか考慮する点がある。

パルスオキシメーターは赤色光と赤外光を
センサーで受けることで測定している。
ヘモグロビンは酸素の結合の有無によって
吸収度が異なるのでその透過や
反射を測定しているのである。

そのため体動、圧迫、光の干渉などの要因で
エラーが生じることがある。
それぞれの対処法について記載する。
体動では動きの少ない部分に装着するか、
絆創膏などで固定をする。
圧迫では絆創膏などが圧迫する場合は
強く巻きすぎない。また測定部位を変える。
光の干渉では毛布や布で光を避ける。

また使う上でSpO2を理解しておくことも重要である。
SpO2酸素と結合したヘモグロビンの割合
経皮的酸素飽和度と呼ばれる。
また動脈血の酸素分圧PaO2と呼ばれるが
PaO2は動脈血を採決して分析しなければならないので
SpO2を用いてPaO2を予測する。
PaO2はSpO2が減少すると同じように減少するのだが、
PaO2の振れ幅は大きいので注意が必要である。
若年健常者動脈血では
SpO2 98%でPaO2 97Torr
老年健常者動脈血
SpO2 95%でPaO2 80Torr
呼吸不全に値する人
SpO2 90%でPaO2 60Torr
チアノーゼ出現する値と正常な静脈血
だいたい同じぐらいで
SpO2 75%でPaO2 40Torr

Torrは血液中に含まれる酸素や二酸化炭素の量を表す単位。
ここでは酸素の量を表している。
このようにSpO2がわずかに変化しても
PaO2は大きく低下していることを
理解しておく必要がある。
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各種病態と対応するフィジカルアセスメント 

正常肺
 視診  :正常
 気管偏位:なし(正中位) 
 呼吸音 :肺胞呼吸音
 副雑音 :なし(ときに高齢者で呼気時の捻髪音)
 打診音 :清音
 振盪音 :正常
 音声聴診:なし

気管支炎
 視診  :呼吸補助筋の緊張亢進
      ビア樽状胸部
頚静脈の怒張
      呼吸数増加
      口すぼめ呼吸
    Hoover徴候陽性
 気管偏位:なし(正中位) 
 呼吸音 :肺胞呼吸音
 副雑音 :水泡音(吸気初期)
      ときに連続性ラ音
 打診音 :共鳴音から過共鳴音
 振盪音 :正常
 音声聴診:なし 

気管支喘息
 視診  :呼吸数増加
      起坐呼吸
    呼吸補助筋の緊張亢進
      Hoover徴候陽性
 気管偏位:なし 
 呼吸音 :肺胞呼吸音
 副雑音 :笛様音
 打診音 :共鳴音から過共鳴音
 振盪音 :源弱
 音声聴診:なし

気管支拡張症
 視診  :正常、浅い頻呼吸
 気管偏位:なし 
 呼吸音 :肺胞呼吸音
 副雑音 :水泡音(吸気中期)
 打診音 :清音
 振盪音 :正常
 音声聴診:なし

胸水貯留
 視診  :患側の胸郭運動低下
 気管偏位:健側に偏位 
 呼吸音 :気管支呼吸音/消失
 副雑音 :胸膜摩擦音(貯留部直上のみ)
 打診音 :濁音(体位で変化)
 振盪音 :消失
 音声聴診:あり(貯留部直上のみ)

コンソリデーション(肺炎など)
 視診  :浅い顎呼吸
      患者の胸郭運動低下
 気管偏位:なし
 呼吸音 :気管支呼吸音
 副雑音 :水泡呼吸音(吸気時)
 打診音 :濁音
 振盪音 :増強
 音声聴診:あり

気胸
 視診  :患側の胸郭運動低下
 気管偏位:健側に偏位
 呼吸音 :消失
 副雑音 :なし
 打診音 :鼓音(過共鳴音)
 振盪音 :消失
 音声聴診:なし

肺気腫
 視診  :呼吸補助筋の緊張亢進
      ビア樽状胸部
頚静脈の怒張
      呼吸数増加
      口すぼめ呼吸
    Hoover徴候陽性
 気管偏位:なし(正中位) 
 呼吸音 :肺胞呼吸音減弱
 副雑音 :なし
 打診音 :鼓音(過共鳴音)
 振盪音 :減弱
 音声聴診:なし 

肺線維症
 視診  :胸郭運動性低下
 気管偏位:なし 
 呼吸音 :気管支肺胞呼吸音
 副雑音 :捻髪音(吸気終末期)
 打診音 :清音
 振盪音 :正常から増強
 音声聴診:なし

無気肺
 視診  :患側の胸郭運動低下
 気管偏位:患側に偏位
 呼吸音 :気管支呼吸音/消失
 副雑音 :なし
 打診音 :濁音
 振盪音 :消失
 音声聴診:あり
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呼吸音の異常と原因疾患の特定 

肺胞呼吸音の減弱・消失
 換気低下・消失を示す
 →左右差なし 慢性閉塞性肺疾患
  左右差あり 無気肺、横隔膜麻痺
 振動音の肺から胸壁への伝達障害
 →左右差なし 肥満
  左右差あり 胸水貯留、気胸、胸膜肥厚

異常な部位で気管支呼吸音の聴取
 肺実質の含気低下に伴う気管支呼吸
 音の伝達亢進
 →気管支炎・肺炎
  無気肺
  肺線維症
  大きな空洞性病変

呼気延長
 気道狭窄(気道異物や腫瘍・癌)
 閉塞性換気障害(慢性閉塞性肺疾患、喘息)

連続性ラ音(Wheeze、rhonchi)
 気管支喘息、気道狭窄(異物や肺がんなどの腫瘍性病変)、
 慢性閉塞性肺疾患、肺水腫、びまん性汎細気管支炎

断続性ラ音
 水泡音(coarse crackle)
 肺炎、気管支拡張症、慢性閉塞性疾患、肺水腫、
 びまん性汎細気管支炎
 捻髪音(fine crackle)
 肺水腫、間質性肺炎(肺線維症)、健常高齢者

胸膜摩擦音
 胸膜腫瘍、胸膜炎

1)坂東政司:肺の聴診.講義録.呼吸器学.メジカルビュー社;2004
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呼吸障害の把握と予後予測 

迅速なフィジカルアセスメントを行うことで
呼吸障害の把握と予後予測が可能となる1)
重要な指標として以下の6項目が挙げられる。

1.呼吸数30回/分以上
2.脈拍数120回/分以上、または70回/分以下
3.吸気時の斜角筋収縮の触知
4.呼気時の腹壁の緊張
5.呼吸停止を伴う不規則な呼吸パターン
6.従命困難な意識レベルの低下
 (呼吸検査が不可能なレベル)

これらの6つの項目があるが、
そのうち2項目該当
50〜90%が予後不良と言われる。
これは人工呼吸器離脱不可または
死亡を意味する。
3項目該当で57%が死亡。
これは補助呼吸が必要である。

要するにこれらの項目は予後予測に関連する
重要な指標となる。

1)Pardee NE,et al:Bedside evaluation of
respiratory distress.Chest.1984;85:203-206
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聴診のポイント 

毎回同じ手順で行う。これにより
正常呼吸音の異常(大きさ・長さ)や
正常呼吸音が別部位から聴取される場合の
判別が容易になる。

また副雑音に関しては聴診とともに
疾患名や合併症、画像所見と主治医のコメントなど
病態とともに確認していく。

臨床では正常呼吸音の異常や正常呼吸音が
別部位から聴取される場合、また副雑音がある場合
などが混在していることが多い。
他にも2つ以上の副雑音や正常呼吸音が
混ざっていることも多い。

急性期や重症の患者の場合は
背中の聴診は重要である。
背部は下側肺障害として問題が
起こりやすい部分である。
背側の肺区域ではS6、S10で
自重や腹部臓器の圧迫を受けやすいことが
問題となるためである。(特にS10)
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肺音分類の特徴 

呼吸音は正常では
気管呼吸音・気管支呼吸音・肺胞呼吸音が
通常通り聴取可能である。
異常では
呼吸音の減弱・消失、呼気延長、
肺胞部分の気管支呼吸音化が生じる。

副雑音では
ラ音(肺内より発生する副雑音)
 連続性ラ音(気道の狭窄、呼気>吸気)
 Wheeze・笛(様)音・高音性連続性ラ音
 区域から亜々区域気管支の気道閉塞
 「ヒューヒュー」「ピーピー」と聴こえ、
 延長した呼気で聴取されることが多い。
 気管支攣縮、粘膜の浮腫・腫脹、分泌物などによる
 気道内の狭窄によるもの。
 rhonchi・いびき(様)音・低音性連続ラ音
 中枢性の気道閉塞
 「グーグー」「ガーガー」と聴こえる
 wheezeと機序は同じだが発生源が中枢側
 呼気・換気とともに聴取される。

 断続性ラ音(気道の開通や分泌物、呼気<吸気)
 coarese crackle・水泡音・荒い断続性ラ音
 比較的中枢側の気道内分泌物の破裂
 「ブツブツ」「ボコボコ」と低調で吸気のはじめから
 呼気にかけて聴こえる。
 急性咳嗽を行わせると減弱・消失し聴取部位が変化する。
 fine crackle・捻髪音・細かい断続性ラ音
 閉塞していた末梢気道が吸気終末に再開通
 「パリパリ」「パチパチ」と高調で吸気終末が
 最も聴取しやすい。
 間質性肺炎や肺線維症の下肺野で明瞭。
 強制咳嗽させても変化ない。

その他
肺膜摩擦音
Hamman's crunch sign、leathery crepitationなど
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副雑音 

副雑音は肺内の「ラ音」と肺外のものに分かれる。
呼吸ケアでおさえておくべき副雑音は
 ・rhonchi(ロンカイ)
 ・Wheeze(ウィーズ)
 ・coarse crackle(コースクラックル)
 ・fine crackle(ファインクラックル)

ラ音に関しては
連続ラ音気道の狭窄を示唆する。
比較的中枢側なら
→rhonchi
区域気管支〜亜々区域気管支では
→Wheeze

断続性ラ音では
気道内の分泌物の破裂で
→coarse crackle
閉塞していた末梢気道の再開通で
→fine crackle
の2点が出現する。

ラ音は気道の狭窄か分泌物の関係か
中枢側か末梢側かで変わってくるのが特徴である。
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正常呼吸音の分類 

正常呼吸音は
気管呼吸音気管支呼吸音
肺胞呼吸音に分類される。

気管呼吸音では
声門が発生源である。
音は荒く・大きく・高い。
吸気:呼気=1:1、
音は呼気の方が大きい。

気管支呼吸音では
太い気管支での乱流が発生源である。
吸気:呼気=1〜3:1で呼気の方が若干大きい。
肺胞呼吸音に比べて大きく高い。

肺胞呼吸音では
肺胞内に空気が流入する際に生じる。
音は最もソフトで弱く低い。
吸気:呼気=3:1で吸気の方が大きく、
呼気は短く弱く低い。
音が小さい場合他の肺野より
換気が低下している疑い。

気管呼吸音と気管支呼吸音は
呼気の方が音が大きく、
肺胞呼吸音は吸気の方が音が大きい。
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聴診の手順 

聴診では毎回決まった手順で行うことが必要である。
そうすることで正常呼吸音の異常
正常呼吸音が本来の聴取部位以外から
聴こえる場合
の判別が容易になる。

それでは手順に関して述べる。
1.チェストピースを手で暖める。
2.できるだけ肌に直接当てる。
3.前胸部・背部・側胸部を上から下へ
 左右交互に比較し聴取する。
 (移動は呼吸終末のタイミングで)
4.吸気と呼気の相を確認したら
 1〜2呼吸ずつ聴取。
5.途中で異常を感じても手順通りで行う。
 再度異常部位に戻り詳細に評価する。

チェストピースはベル型と膜型があるが
膜型のほうが呼吸音を聞くのに優れている。
(高いピッチの音が聞きやすい)

聴診では肺音で正常呼吸音と副雑音を確認する他、
換気の状態や気道の狭窄、分泌物の貯留を確認する。
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2012-05