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理学療法の評価と治療

理学療法に関連する臨床・研究・教育と評価・治療について書いていきたいと思います。

カテゴリー「腰椎」の記事一覧

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腰椎の不安定性 

改善が困難な腰痛を経験することはないだろうか。
筋や関節にアプローチしても疼痛は変化せず、
長期的な経過でも改善が困難な症例がある。
こういった場合、腰椎の不安定性に伴う
症状であることも少なくない。

腰椎の不安定性は脊椎に対しての
P-A(後方から前方)方向の可動性により評価する。
可動性が過剰であれば不安定性の可能性が高い。
P-Aによる脊椎の不安定性検査のエビデンスは、
エビデンスに基づく整形外科徒手検査法によると、
特異度が0.81-0.98と高いのが特徴である。
特異度が高いということは陰性になりやすい検査なので、
陽性の結果が出るならば不安定性のある可能性が高いと言える。

不安定の脊椎の場合は、その周辺関節の過小運動性を伴うことが多い。
例えば第5腰椎の不安定性が疑われる場合は、
第4腰椎や第3腰椎の過小運動性が生じていることが多い。
また股関節の過小運動性も生じていることが多い。
アプローチでは第5腰椎が可動しないよう注意しながら、
第4腰椎や第3腰椎および股関節の過小運動性を
改善することが重要である。

柳沢健 赤沢清和(監修):エビデンスに基づく整形外科徒手検査法.
エルゼビア・ジャパン,2007
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Category: 腰椎

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椎間関節症候群の問診 

腰椎の椎間関節症候群かの鑑別は、
問診も非常に有効だと言われている。
Revel1)によると腰椎椎間関節症候群には
7つの予測因子があり、その因子との一致があれば、
腰椎椎間関節症候群の可能性が高くなる。
神経ブロックにより確認したものであり、
次のうち5つ以上当てはまる場合は、
92%の確率で腰椎椎間関節症候群と考えられる。

1.65歳以上
2.咳で悪化しない
3.椅子からの立ち上がりで悪化しない
4.体幹をもたれることで緩和する
 (常時椎間関節からの痛みが生じている場合)
5.体幹の前屈で悪化しない
6.体幹の過伸展で悪化しない
7.体幹の伸展-回旋で悪化しない

以上の項目を確認することで、
腰痛の鑑別診断のひとつとして考えることができる。
ぜひ参考にしていただきたい。

1)Revel M,Poiraudeau S,Auleley G,et al.Capacity of the clinical picture
 to characterize low back pain relieved by facet joint anesthesia:proposed
 criteria to identify patients with painful facet joints.Spine.1998;23:1972-1976

Category: 腰椎

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腰痛と周辺関節の関係 

寒くなってきて腰痛の訴えも増えてくる。
過度に動かして出現する腰痛と比べて、
寒さによって生じる腰痛の特徴は症状は軽度である。
寒くなってくると、自然と体は丸くなる。
体表の面積を減らし、体温が奪われるのを防ぐ姿勢である。
この姿勢が長期化すると、じわじわと腰部に疼痛が生じやすい。

いざ背中を伸ばそうとしても、しばらく体を曲げていたので、
硬くなって伸びにくい状態となっている。
姿勢が丸くなればなるだけ、
屈曲している部位に重量がかかりやすい。
これが寒くなって生じやすい姿勢に伴う腰痛のメカニズムである。

要するに姿勢を気をつけなければならないのだが、
良い姿勢を行なうには硬くなった部分が
柔らかくなってなければならない。
丸くなって固まっている背中を無理矢理に伸ばそうとしても
うまく伸びないのである。
まず座位をとってもらい、少し大げさに背中を伸ばすように指示する。
その時に痛みのある部分や伸展の動きの小さい部分を確認する。
またそれほど症状がでない場合は
頸部や腰部を回旋してもらい、痛みのある部分や
動きの小さいところを確認する。
痛みや動きの小さい部分がスクリーニングできたら、
実際にその部分の可動域や副運動検査を行なう。
その中で動きの硬い部分があり、
神経症状の誘発や炎症症状がないのであれば、
その部分がアプローチ対象となる。

腰部に痛みがある場合は、腰部以外の動きが減少していることが多い。
特に問題となりやすい場所は胸椎や股関節である。
腰椎に痛みがある時、腰椎は過剰に動くことで
負担を生じていることが少なくない。
腰椎が過剰に動かざるえないのは
他の周辺関節の動きが低下していることでもある。
そこで問題になりやすいのが胸椎や股関節である。
痛みがある時に一般的には痛みのある部分に着目する。
しかし、その痛みが生じる要因は
周辺関節の可動域制限であることも少なくない。
痛みが生じやすい姿勢や動作をもう一度見直してみると、
動きの少ないところが見えてくるのではないだろうか。

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非特異的腰痛の危険因子 

非特異的腰痛は様々な要因が絡んでくる。
1980年代までは腰痛の原因は何らかの外傷や
動作や姿勢からの腰の負担という考えが前提であった。
これらは人間工学的な問題といわれ、
姿勢や動作そして体操などの取り組みを行なってきたが
効果の挙がらない症例も多かった。
現在ではそれらの対処では結果が得られなかった経緯から、
問題を心理社会的な要因にも重きをおく必要性が提唱されている。

この心理社会学的な要因の腰痛に関しては
欧米の調査だけでなく日本においての危険因子の調査でも
影響が大きいという同様の結果が得られている。
多変量解析を元にした危険因子の内容としては、
世界18カ国で比較検討した国際比較恊働の前向き研究である
CUPID study(Cultural and Psychosoial Influences on Disability)
と勤労者の新規と慢性の腰痛の危険因子の特定を主目的とした
前向き研究であるJOB study(Japan epidemiological research of
Occupation-related Back pain study)が中心となる。
これらによると、腰痛のリスクファクターは次のようになる。
心理社会的要因と腰痛
1)Coggon D,et al.:The CUPID(Cultural and Psychosocial Influences on
 Disability)Study:Methods of Data Collection and Characteristics
 of Study Sample.PLoS One.2012;7(7):e39820.Equb 2012 Jul 6.
2)Matsudaira K,et al.:Potential Risk Factors for New-onset of
 Back Pain Disability in Japanese Workers:Findings from the Japan
 Epidemiplogical Research of Occupation-Related Back Pain(JOB)
 Study.Spine 37:1324-33,2012
3)Matsudaira K,et al.:Prevalence and correlates of regional pain
 and associated disability in Japanese workers.Occup Envirion
 Med 68:191-196.2011
4)松平浩,他:心理社会的要因は,仕事に支障をきたす慢性腰痛への移行に
 強く影響しているか.厚生の指標 59:1-6,2012

Category: 腰椎

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安静の弊害 

腰痛において安静は一般的によく聞く。
痛くなったら無理をしないように。
日本でも病気やケガは「ゆっくり休んで治す。」
といった概念は現在でも浸透している。

医学の世界では追跡調査による研究などから、
できるだけ安静は早期に解除するように勧められる。
術後においても安静の期間は短く、
次の日や2〜3日後からリハビリが開始されることも少なくない。
確かに炎症や痛みを増加させるリスクもあるのだが、
それ以上に他の組織の拘縮や
動けなくなるのではという心理的な問題の方が、
長期的にみると問題となることが多い。

こういった意味でもできるだけ早期から動くことが勧められる。
非特異的腰痛においても同様で世界的に安静は勧められていない。
これは安静は予防にも治療にも不利益が大きいという見解である。
またぎっくり腰においても安静にする意識が強いと
再発するリスクが3倍増加すると言われている1-4)
過剰に腰の筋肉を収縮させてしまうことや、
動かないことで体中が硬くなり、
より負担に繋がりやすくなることも考えられる。
不安により疼痛の閾値の低下や交感神経優位、
また末梢血管の収縮なども痛みが増加する理由となる。

1)Fuji T,et al.:The association between compensation and
 chronic disabling back pain.J Orthop Sci 17:694-8,2012
2)Fuji T,Matsudaira K:Prevalence of low back pain and
 factors associated with chronic disabling back psin in
 Japan.Eur Spine J22:432-8,2013
3)Waddell G,Burton AK:Occupational health guidelines for
 the management of low back pain at work:evidence review.
 Occup Med 51:124-35,2001
4)Matsudaira K,et al.:Comparison of physician’s advice for
 non-specific acute low back pain in Japanese workers:
 Health 49:203-8,2011

Category: 腰椎

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腰痛に関するマルチメディアの効果 

腰痛に関してマルチメディアにより
大きな功績をおよぼした有名な研究がある。

オーストラリアのビクトリア州のキャンペーンで
腰痛に屈するな!」といった内容になっている。
具体的な内容としては
腰痛は重篤な疾患でなく、不必要な検査や治療を避け、
過度に医療対象にしないこと。
腰痛があっても活動的な生活や仕事は続け
安静を避けることを推奨した。

これにより従来の腰痛は安静や休息が重要というものに対し、
意識の変化があった。
身体活動に関する恐怖回避思考の改善が認められた。
医療費が15%も減少した。などの効果があった。

またスコットランドの保健教育局の全国教育キャンペーンもある。
このキャンペーンにおいては活動的な状態を保つ。
単純な疼痛緩和を試みる。
必要であればアドバイスを求めること。

こうしたキャンペーンにより一般人の腰痛の認識や
医師の行動においても変化が起きている。
腰痛に対する安静は見事に20%逆転して現れ、
活動することの重要性が支持されるように変化した。

病は気から。こうしたことの重要性が
改めて示されているのではないかと感じる。

1)Buchbinder R,et al.:Effects of a media campaign
 on back pain beliefs and its potential influence on
 manageement of low back pain in general practice.
 Spine 26:2535-42,2001
2)Buchbinder R,et al.:Population based intervention to
 change back pain beliefs and disability:three part
 evaluation.BMJ 322:1516-20,2001
3)Waddell G,Working backs Scotland,presented at the
 Mckenzie Institute Eighth International Conference,Rome,
 Italy,2003;see www.workingbacksscotland.com.

Category: 腰椎

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特異的腰痛の判別 

腰痛の中でも全身の病気が原因のものがいくつかある。
これは特異的な腰痛といって、一般的な腰痛と違い、
病因がはっきりしている腰痛である。

腰痛を病院で診てもらう必要があるのは、
これらの腰痛でないかどうかであり、
特にred flagとなる感染性脊椎症
癌の転移などの脊椎腫瘍の確認は重要である。

では特異的腰痛の簡易なチェックを述べていく。
まずは転倒や尻もちのあと痛みが続く
これは骨折の可能性が示唆される。
骨粗鬆症のやステロイド剤を用いられている患者は
特に注意が必要になる。
次に痛みがお尻や膝下までひろがる
これは神経根症の可能性が示唆される。
坐骨神経痛と呼ばれるもので椎間板ヘルニアや
腰部脊柱管狭窄症が頻度として多い。
そして踵歩きが難しいなど足の力が入りにくい場合。
これは筋力低下が疑われる。
筋力低下は椎間板ヘルニアによる原因が多い。
尿が出にくかったり歩いていて漏れそうになる
性器や肛門のしびれや熱い感じ馬尾症候群の可能性
また安静にしても疼いたり鎮痛剤を
1ヶ月使っても痛みが取れない
場合は
脊椎以外の病気や脊椎の重篤な病気の可能性が示唆される。
大動脈疾患、泌尿器疾患、婦人科系疾患、膵臓、胆嚢、胃腸などでも
症状が誘発されることがある。

これらは症状とともにその他の検査によって、
総合的に判断される。
腰痛の診察はまず特異的腰痛がないかの判別。
特にred flagにおいては早期に発見して治療する必要がある。レッドフラッグ

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腰痛の生涯有訴率 

腰痛は腰からお尻までを中心に痛みや
不快感が生じるものを言う症状の総称である。
腰痛経験を持った人は非常に多く、
大規模なインターネット調査では
一生のうちに腰痛を経験する人は83.4%である。
仕事(家業や学校も含む)を休んだ人も4人に1人もいる。

慢性的な痛みにおいても腰痛は多く、
仕事や生活の質を低下させるものとしても大きい。
腰痛というのは思っているよりも一般的で、
誰にでも起こりうる可能性のある症状である。
腰痛の生涯有訴率
1)Fuji T,Matsudaira K:Prevalence of low back pain and factors
 associated with chronic disabling back pain in japan.Eur Spine
 J 22:432-8,2013

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腰痛に対する整形外科的治療 

リハビリテーションを行なう上で、
整形外科的な治療を知っていることは重要である。
どのような治療をしているかにより、
整形外科医がどのタイプの腰痛と
考えているのか予測できる。
また改善が認められない場合に、
別の要素を予測し評価や
アプローチを行なうことも可能である。

単一の問題でなくいくつかのタイプが
混合している場合も多いので、
整形外科医の治療方針を考慮した上で、
評価とアプローチを考えていくとよい。

まず症状に運動麻痺や膀胱直腸障害がなければ
保存療法が基本となる。
急性期ではコルセットで固定し安静。
薬物療法ではNSAIDs、筋弛緩薬、抗うつ薬、
湿布などを用いることが多い。
急性期を逸脱したらリハビリテーションが
処方されることが多い。
温熱療法・低周波・腰痛体操・生活指導・
ストレッチなどが検討される。

その他の特殊な治療としては
筋筋膜性腰痛であればトリガーポイント注射。
ボツリヌス療法。
椎間関節性腰痛であれば椎間関節性ブロック・
後枝内側枝ブロック。後枝内側枝高周波熱凝固法。
椎間板性腰痛であれば椎間板造影ブロック。
椎間板内加圧注射法IDETや
神経根ブロックSDRG・P−RF。
癒着が疑わしい場合は硬膜外内視鏡手術などがある。

椎間板ヘルニアは画像上、器質的な病変があっても
筋筋膜性腰痛が混在していることもある為、
トリガーポイントで症状が消失することもある。

急性の膀胱直腸障害や運動麻痺、
保存療法が無効な場合や
患者の希望があれば手術適応となる。
減圧が目的の手術としては
Love法、椎弓切除術、骨形成的椎弓術、ヘルニア押し出し法。
固定が目的の手術としては
PLF、mini-ALF、DRIBS法、TLIFがある。
減圧術は前方からの方法と後方からの方法がある。
椎弓の一部と黄色靭帯を切除し、
髄核を摘出する方法が一般的である。

腰痛でも様々なタイプがありそれによって治療法がある。
一般的には保存療法で効果が出ることも多い。
ヘルニアは手術しなくて大丈夫なの?
あとはそれぞれのタイプによってアプローチを行なうことで
より多くの患者の症状が軽快すればよいのではないだろうか。

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腰痛と大腰筋の関係 

大腰筋が緊張すると腰椎の前彎が増強することは
知っている人は多いだろう。
上向きで寝るときに足を伸ばすと腰が痛い。
長く上向きで寝ることができない。
立てっている方が腰がしんどい。
こうした訴えがあるのが特徴である。
大腰の緊張が減少できれば、
これらの症状は瞬時に消失する。

しかしこの大腰筋。腰椎の前彎を増強するだけでなく、
腰椎の後彎も増強してしまうのである。
前彎の反対の動きになる後彎にも関わるとは
いったいどういうことであろうか。

下の図を見るとわかりやすい。
大腰筋はL1からL5の横突起・椎体・椎間板から始まり、
小転子に付着する。
そうすると大腰筋が緊張した場合、
前彎が強いときはさらに前彎が強くなり、
後彎が強いときはさらに後彎が強くなるのである。

そのため、腰痛が生じている際に
大腰筋の緊張の評価は欠かすことができないものになる。

無題 1

Category: 腰椎

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2017-03
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