理学療法の評価と治療
理学療法に関連する臨床・研究・教育と評価・治療について書いていきたいと思います。
カテゴリー「骨粗鬆症」の記事一覧
- 2014/01/07 脊椎の圧潰と骨粗鬆症
- 2011/02/10 骨粗鬆症:運動の効果
- 2011/02/09 骨粗鬆症:リスクファクター
- 2011/02/08 骨粗鬆症:分類
- 2011/02/06 骨粗鬆症:骨のリモデリングと病因
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脊椎の圧潰と骨粗鬆症
2014/01/07 Tue. 21:07 [edit]
脊椎の圧潰には骨腫瘍・循環障害があるが、原発性が最も多い。
臨床的な症状としては初期に局所の疼痛があり、
椎体圧潰とともに椎間関節の関節包の緊張や、
脊柱周囲筋や周囲靭帯などの筋・軟部組織の痛みが生じる。
70歳以上の骨粗鬆症の44%以上が圧潰が生じている1)との報告もあり、
骨粗鬆症と圧潰の関連性は非常に高いと考えられる。
骨粗鬆症は低骨量でかつ骨組織の微細構造が変化し、
そのため骨が脆くなり骨折しやすくなった病態と定義される。
2000年には1200万人を越え、
80歳以上の男性で40%以上、女性で60%以上が
発症していると報告されている。2,3)
女が強いのは弱いからである/カント
お互い歳を取ったら、重いものはやはり男が持つべきである。
1)Jensen GF,et al:Epidemiology of postmenopausal spinal
and bone fractures;a unifying approach to
postmenopausal osteoporosis.Clin Orthop166:72-81,
1982
2)井上哲郎:骨粗鬆症の臨床像.The Bone 4:39-47,1990
3)楊鴻生:整形外科的治療とその問題点-超高齢者の骨粗鬆症.整・災外42:
331-339,1999
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Category: 骨粗鬆症
骨粗鬆症:運動の効果
2011/02/10 Thu. 21:13 [edit]
骨粗鬆症は運動により予防できることはいくつかの研究から
導き出されているものであるが
考えられる理論としては
SAIDの原理とウォルフの法則である。
SAID(specific adaptation to imposed demands)の原理は
生体に一定のトレーニング負荷をかけると
生体はそれに見合った適応現象を起こすという原理である。
逆に運動を活発にしていた人が急に運動を止めてしまうと
7~10日以内に骨吸収像が認められるという報告もある。
もう一つは
ウォルフの法則というもの。
筋や腱を通じて骨にかかる機械的な負荷は
骨のリモデリングに直接影響するという定義。
これが抵抗トレーニングが骨密度にプラスの効果が
生じる理論の背景にある。
骨の質は運動量で変わり、骨の形は姿勢で変わる。
日々の生活の習慣が年数経つにつれ骨の形に現れる。
興味深く神秘的なことに感じる。
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骨粗鬆症:リスクファクター
2011/02/09 Wed. 21:42 [edit]
骨粗鬆症は骨の合成と分解のバランスが崩れることで生じる。
つまり最大骨量が小さい場合と
過剰な骨消失がある場合に生じやすくなる。
最大骨量と骨格の大きさは
遺伝による影響が大きいとされている1,2)
またカルシウムとビタミンDが
栄養素として重要であるが、
ビタミンD受容体(DVR)が骨密度の決定に
20%近く関わっていると言われている。
その他要因として挙げられるものは
・薬剤
・カフェイン
・アルコール摂取
・喫煙
・カルシウム不足
・内分泌異常
・標準体重以下
・後発月経(初潮)
・早期閉経
・卵巣/子宮摘出
・不規則月経/無月経
・ダイエット歴
・高タンパクダイエット
・身体活動の不足
リスクファクターに関わるものとしては自分で
コントロールできるものとできないものがある。
コントロールできる食事や運動などでいかに予防していくか
ということは重要と考える。
1)Rubin LA,Hawker GA,Peltekova VD,
Fielding LJ,Ridout R,Cole DEC.
Determinants of peal bone mass:Clinical
and genetic analyses in a young female
Canadian coohort.J Bone Miner Res 1999;
14:633-643.
2)Sowers MFR,Galuska DA.Epidemiology of bone
mass in premenopausal women.Epidemiol Rev
1993;15:374-398.
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骨粗鬆症:分類
2011/02/08 Tue. 22:23 [edit]
骨粗鬆症はいくつかの種類があり、分類されている。
大きく分けると原発性と続発性の二つに分けられる。
原発性はさらにⅠ型とⅡ型に分かれ
Ⅰ型は閉経後骨粗鬆症(特発性骨粗鬆症)で
・65歳以前の女性に多い
・閉経後エストロゲン減少による
・急速な海綿骨の喪失
が特徴であり、椎骨骨折が多い。
Ⅱ型は退行性骨粗鬆症(老人性骨粗鬆症)で
・70歳以降の男女
・海綿骨だけでなく皮質骨も減少
が特徴であり、椎骨骨折・大腿骨骨折が多い。
続発性は
・ステロイドの長期服薬
・内分泌疾患
・甲状腺疾患・副甲状腺機能亢進症
がこれにあたり、閉経や加齢以外の
薬物やホルモンの関係が影響したものとなっている。
有病率はWHOの診断基準による調査では、
50歳以上の女性は、腰椎で25-35%、大腿骨頚部で9-13%、
50歳以上の男性は、大腿骨頚部で4%が骨粗鬆症と診断。
日本の骨粗鬆症有病率は、米英より低く米国の非白人に
近いと考えられている。
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骨粗鬆症:骨のリモデリングと病因
2011/02/06 Sun. 22:34 [edit]
骨粗鬆症の名前については最近では一般的になっており
知らないという人は少なくなってきている。
骨というのは常に
作られるのと壊されるので
バランスをとっている。
これを分解と合成といい、
約8カ月で1ターンになる。
分解する役割を果たすのが
破骨細胞で2~4週の周期で現れ、
皮質骨の管か海綿骨の吸収窩を形成する。
合成する役割を果たすのが
骨芽細胞で骨組織の除去されたところに現れ、
基質を再生し造骨を行う。
そしてこれらの働きで骨は生涯にわたり
分解と合成のリモデリングを行い続けていく。
最大の骨量は20歳前後で達成され,
その後5~15年は硬化が生じている1)。
(骨格サイズは変わらないが
ミネラルの増加は継続した状態)
骨粗鬆症とは骨内膜の吸収が
造骨の割合を超えることで生じるものである2,3)。
閉経の女性に多く閉経後10~15年で
年間1~3%(時に5%)近く骨量が喪失する。
閉経後5~10年での減少が最も大きく
その後は緩やかな減少となる4,5)。
骨は常に入れ替わっているが
閉経後の5~10年はかなりの骨量減少につながる。
これが骨粗鬆症の影響としては大きい。
骨折としては脊椎圧迫骨折との関わりが大きい。
尻もちをついたときや屈曲し
何かを持ち上げるときなどのストレス。
また座るときにどすっと座ることで生じる
micro fractureも見逃すことはできない。
生活習慣や薬物治療など対策をしていくことで
骨折の予防につながっていく。
脊椎圧迫骨折は多発すると姿勢アライメントが崩れ、
肩凝りや腰痛も生じやすくなる。
QOLを低下させないためにも大事なことである。
1)Riggs BL,Melton LJ,Ⅲ.Involutional osteoporosis.
In:Evans JG,Willams TF,eds.Oxford Textbook of Geriatric
Medicine.Oxford,UK:Oxford University Press;1992:405-411.
2)Parfitt AM.Trabecular bone atchitecture in the
pathogesis and prevention of fracture.Am J Med 1987;
82:68-72.
3)Eriksen EF.Normal and pathological remodeling of human
trabecular bone:Three dimensional reconstruction of
the remodeling sequence in normals and in metabolic
bone disease.Endo cr Rev 1986;7:379-408.
4)Genant HK,Baylink DJ,Gallagher JC.Estrogens in the
prevention of osteoporosis in postmenopausal women.
Am J obstet Gynecol 1989;161:1842-1846.
5)Resnick NK,Greenspan SL.Senile osteoporosis
reconsidered.JAMA 1989;261:1025-1029.
Category: 骨粗鬆症
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