理学療法の評価と治療
理学療法に関連する臨床・研究・教育と評価・治療について書いていきたいと思います。
カテゴリー「内部障害」の記事一覧
- 2014/06/03 内臓と筋
- 2012/06/30 ACBTで自分で肺痰
- 2012/06/29 肺の区画と役割
- 2012/06/28 体位変換で呼吸の改善
- 2012/05/24 循環器のアセスメント
- 2012/05/23 循環器の問診・視診・触診
- 2012/05/22 呼吸器疾患の対処例
- 2012/05/21 運動療法の開始と離床のチェックポイント
- 2012/05/20 修正ボルグスケール
- 2012/05/19 旧ボルグスケール
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内臓と筋
2014/06/03 Tue. 22:36 [edit]
頑固な凝りが実は内臓からきている可能性もある。胃や肝臓などの調子が悪くなると特定の筋が緊張することもある。
ではいったいどういうことなのだろうか。
食べ過ぎや飲み過ぎで影響を受けやすいのは胃である。
胃に負担がかかった場合は、右側の迷走神経が過緊張し、
右側の僧帽筋が硬くなる。
それに伴い、下肢では左の大腰筋が緊張しやすくなる。
またストレスを受けた場合は肝臓が影響を受けやすい。
肝臓に負担がかかった場合は、左側の迷走神経がが過緊張し、
左側の僧帽筋が硬くなる。
それに伴い、下肢では右の大腰筋が緊張しやすくなる。
これは内臓体壁反射と呼ばれるもので、
内臓の負担が筋肉の緊張に繋がるという例である。
これから熱くなると冷たいものを飲み過ぎて、
このような筋の緊張を示す方が増えてくるかもしれません。

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Category: 内部障害
ACBTで自分で肺痰
2012/06/30 Sat. 00:00 [edit]
痰が多いがなかなか排出されず、苦しいという患者は少なくない。
吸引も一つの方法だがしっかりとされた患者で
自分でできる方法がないかと
聞かれることはないだろうか。
そこで自分で排痰をする方法のひとつ
ACBTを紹介する。
ACBTはActive cycle of breathing techniqueの略である。
中枢の気道内分泌物が多く意識が
しっかりしている患者に適応がある。
呼吸の大きさ(換気量)を変化させ分泌物の移動を促す。
方法としては
1.呼吸を整える(3〜4回)
2.深吸気運動(3〜4回)
息を深く吸い込む
3.呼吸整える(3〜4回)
4.ハッフィング(Huffing)
最大吸気のあと声門と口を開け、
一気に「ハーッ」と強制呼出する。
ハッフィングの際に療法士はタイミングよく
圧迫を加えると良い。
また胸部に術創がある場合は枕を抱いたり、
術創部を手で覆ったりすると創痛を抑えることができる。
排痰できなければもう一度1.から繰り返す。
中枢気道の排痰を促すことができるので
痰が出やすい患者が自分でできる方法として指導するとよい。
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肺の区画と役割
2012/06/29 Fri. 06:58 [edit]
肺は上葉、中葉、下葉と大きく分けて3つの区画があり、左は心臓があるため中葉がない。
おおよその位置は上葉が鎖骨の上部あたりから
第4肋骨付近(乳輪のやや上方)まで。
中葉が第4肋骨付近から第6肋骨まで。
下葉が第5肋骨から第6肋骨の外側の
わずかな領域に存在するが大部分は背面にあたる。
後面第5肋骨(内側の肩甲棘のライン)付近から
第10肋骨付近になる。(その上部は上葉)
この下葉が背臥位では常に下になり
圧迫を受けやすく機能低下が生じやすい。
肺全体の位置は剣状突起の2〜3横指までとなる。
肺は呼吸機能に大きく関わる組織である。
主な働きは酸素を取り組み二酸化炭素を排出する。
酸素を体に取り組むには水からだと14mg/lだが
大気からだと300mg/lと20倍以上の
酸素を取り組むことができる。
そのため非常に効率よく酸素を
取り組むことができるのが呼吸である。
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体位変換で呼吸の改善
2012/06/28 Thu. 00:00 [edit]
呼吸状態を良くするために障害側上位の側臥位や腹臥位、
そして離床を促すのはなぜだろう。
なんとなくそう聞いたことがあるから
というのが多いかもしれない。
これは横隔膜の形状と内臓の圧迫が関係している。
横隔膜の頂点は中心よりやや背側に位置する。
背臥位の肢位では腹部臓器が頭側・背側に移動してくる。
そのため肺葉の区画でいえば
上葉はほとんど圧迫を受けないものの
中葉は軽度の圧迫、下葉は強い圧迫を受ける。
腹臥位になると腹部臓器は腹側に移動するため
背側横隔膜の動きは改善され
すべての区画の圧迫は解放される。
また自重から解放された胸郭の動きも良くなる。
座位や立位など離床に近づくと
腹部臓器の圧迫は完全に解放され、
胸郭も解放されるため広がりやすくなる。
体位変換だけでも物理的な内臓の圧迫が解除されるため
換気効率が改善することは多い。
特に圧迫がかかり換気効率の減少しやすい
下葉は注意が必要である。
体位変換の意味を知って行うことで
より効果的な選択ができるのかもしれない。
Category: 内部障害
循環器のアセスメント
2012/05/24 Thu. 00:00 [edit]
循環器とは血液を全身の臓器に循環させる機能である。
血液を拍出させる心臓。
血液配分と心臓への環流調節をする血管。
システムとしての内圧の維持をする循環血液量。
これらの3つによって循環器の機能は構成される。
離床や運動療法の開始にあたって
循環器が安定しているかは非常に重要である。
新機能データが安定していることが重要であるが、
臨床では
・脈拍・血圧の日内変動が少ない。
・脈拍・血圧が体位変換で大きく変化しない。
・不整脈がコントロールされている。
この3点が重要である。
次に異常が生じるときに生じるリスクについて述べる。
循環器機能の低下で生じることでは
心原性ショックがある。
心原性ショックとは心筋の収縮力が減少した状態であり、
特徴的な症状として
虚脱、蒼白、冷汗、呼吸障害、脈が触れないなどの
特徴的な症状がある。
低心拍出量症候群では
左心機能が低下した状態であり、
血圧・脈圧・脈の低下、末梢温度低下で中枢温度上昇、
尿量減少、肝機能障害、不穏、尿量減少などが生じる。
また循環血流量異常では
血流量が低下する場合と血流量が増加する場合がある。
血流量が低下する場合は
出血量増加、末梢血管の拡張、尿量増加、浮腫、
体腔内の体液の滲出がある。
モニターではSvO2の低下、心拍出量の低下、
血圧低下、頻脈などがある。
血流量が増加する場合は
血圧の若干増加(血管抵抗の減少)、心拍数の減少がある。
モニターでは動脈圧波形の幅が広いのが特徴である。
Category: 内部障害
循環器の問診・視診・触診
2012/05/23 Wed. 00:00 [edit]
問診ではコミュニケーションは可能か?質問に適切に回答できるかを確認する。
意識状態とともにせん妄があるのかのヒントになる。
せん妄は心拍出量低下による
脳血流の不足の疑いも示唆される。
訴えが多い、何度も同じことを言う、
落ち着きがないなどはせん妄の可能性があるため、
注意深く観察する必要がある。
視診では患者の様々な部分を観察する。
心臓外科では創部周囲の観察はもちろんだが、
心拍出量低下を示す左心不全と
右心不全を確認することができる。
左心不全が疑われる場合は、
唇や顔面のチアノーゼや痰の増加、呼吸苦などが
症状として現れやすい。
右心不全が疑われる場合は、
頚静脈の怒張と浮腫が症状として出現しやすい。
触診ではForrester分類の応用を用いることができる。
1:乾燥し暖かい 肺うっ血(-)末梢循環不全(-)
→経過観察
2:暖かく湿っている 肺うっ血(+)末梢循環不全(-)
→利尿・血管拡張薬
3:乾燥し冷たい 肺うっ血(-)末梢循環不全(+)
→輸血・輸液
4:冷たく湿っている 肺うっ血(+)末梢循環不全(+)
→強心薬・血管拡張薬・IABP(大動脈バルーンパンピング)
心係数の上昇は皮膚が暖かくなり、
肺動脈入圧の上昇は皮膚の湿り気が増加する。
1)妙中信之:集中治療における循環管理,HEART nursing
2000;13(11):58-65.
2)岡田健志・末田泰次郎:術後12時間の呼吸・循環管理,
ここだけはおさえておきたい心臓術後12時間のケアポイント.
HEART nursing 2005;18(6):72-76.
3)外須美夫:呼吸・循環のダイナミズム.真興交易医書出版部;
2001,pp228
Category: 内部障害
呼吸器疾患の対処例
2012/05/22 Tue. 00:00 [edit]
呼吸器疾患では場合によって様々なアプローチがある。それは疾患名でアプローチの方法が変わるのではなく、
評価により具体的な症状の原因を知ることが必要である。
また程度によってもアプローチは変わるので
疾患名のみにとらわれるのではなく症状と程度を
確認し合わせて解釈する必要がある。
アプローチはDrやNsサイドで行うことと、
PTサイドで行うことに分かれる。
しかしそれぞれがどのようなことを行っているか
知っておくことは大切である。
DrやNsサイドでは気管支拡張剤や血管拡張薬、
非侵襲性人工換気などがある。
PTサイドでは呼吸筋トレーニングや運動療法があるが
呼吸コントロールとしては易呼吸姿勢、
呼吸介助手技呼吸、口すぼめ呼吸の指導がある。
また酸素投与や酸素流量増量の場合は
肺痰手技とともに呼吸介助手技や気道内吸引、
自動周期呼吸法、ACBTなどが用いられる。
Category: 内部障害
運動療法の開始と離床のチェックポイント
2012/05/21 Mon. 00:00 [edit]
呼吸器疾患がある場合、運動療法開始や離床のタイミングは難しい。
早い段階で進めていくことは後々の廃用症候群を
予防するためには重要だが、リスク管理もはずせない。
日々症状が変化する患者の場合も、
迷うところである。
具体的なチェックポイントを以下に示す。
チアノーゼ出現、呼吸補助筋の緊張亢進、呼吸数増大、
呼吸困難感、めまい・ふらつきの出現などである。
これらは他覚的症状として容易に確認できる。
また収縮期血圧の低下、喀痰貯留・喀出困難、
SPO2の低下とパルスオキシメーターの
脈波検知不可なども重要である。
これらが出現するかどうか否かや程度を確認する。
また再評価としてこれらを確認しておくことが
症状の改善や悪化を見る一つの目安となる。
またその他に呼吸パターンや喀痰量や色、性状、
ボルグスケールや症状出現時の運動強度などを
加えて確認する。
Category: 内部障害
修正ボルグスケール
2012/05/20 Sun. 00:00 [edit]
現在修正ボルグスケールもよく用いられる。修正ボルグスケールは0~10点で表現してもらうので
より数値的な表現が容易になる。
修正ボルグスケールは
10 非常にきつい
9
8
7 かなりきつい→すぐ終了
6
5 きつい
4 ややきつい
3 ちょうどいい
2 弱い
1 かなり弱い
0.5 非常に弱い
0 何も感じない
となる。自覚症状は患者自身が体の状態を
知ることができる指標であるが、
他覚症状との剥離が生じることも少なくない。
このあたりは注意すべきところとなる。
Category: 内部障害