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理学療法の評価と治療

理学療法に関連する臨床・研究・教育と評価・治療について書いていきたいと思います。

カテゴリー「痛み」の記事一覧

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力を抜く方法 

四肢を動かす際に力が入りすぎてしまう人は多い。
痛いから力が入る場合もあるが、
力が入るから痛い場合もある。

見極める方法としては
はじめに痛みが出現しはじめる関節角度を確認する。
再度、自動運動を行うときの様子を観察する。
痛みが出る関節角度より
表情が変わっていれば不安や恐怖、
もしくは習慣により力が入りやすくなっている。

その他には運動時の円滑性はどうだろうか。
反対側と感覚を比べてもらうと、
重たかったり、感覚が鈍かったりといった訴えがある。
これらは運動時に同時収縮が生じると円滑性は減少し、
重いような感覚の訴えも生じる。
筋紡錘が正常に機能しないため感覚の鈍さも生じる。

力が入りすぎてしまうと
インナーマッスルの収縮が乏しくなり、
アウターマッスルが過緊張となる。
筋の過緊張に伴うストレスや、
関節の回転中心軸の形成の困難性、
運動の非効率化が生じる。

それではどうやって力を抜いてもらえば良いだろうか?
「力を抜いてください。」
ではなかなか力を抜けないことを経験することは多い。
意識して力を入れることはできても、
力を抜くことはなかなか難しいものである。

力を抜く方法はいくつかあるのだが、
まずは反対側の感覚を入力する。
右手が力が入りすぎる場合は、
逆に左手を動かしてもらう。
「左手を動かす時の頭に浮かんでることと、
 右手を動かす時の頭に浮かぶことを
 同じにして見てください。」
「右手は何が思い浮かびますか?」
など相手の痛み以外の感覚に問いかけていく。
「痛いか考えてしまう。」
「手に意識がいきすぎてしまう。」
「こっちは動かそうとする意識が強い。」
などの違いがわかればそれを見直すことがアプローチになる。

また位置覚に集中するのも有効である。
「今、指はどこに向いてますか?
 肘はどうでしょう?肩はどうですか?」
「反対の手と比べてどうでしょう?」
ここで鈍い感じや反対と比べてわかりにくい。
重たい。やっぱり痛い。などの表現が出現する。
「感覚に集中してみてください。
 集中すればするだけわかりやすくなってきます。」
こうすることで位置覚に集中することで、
自然と過緊張は減少し、重さと痛さも消失することが多い。

こうしたことを問いかけながら、
相手の脳の状態を本人に自覚してもらう。
そうすることで意識が痛みに影響を表すことも理解できる。
療法士は患者の表情や筋の収縮様式をモニタリングしていくと、
相手がどういった思考をとっているのか徐々にわかってくる。
「痛いかな」と思うときの緊張はかなり強い。
「考えてはいけない」と思うときの緊張は中等度。
「大丈夫」と思うときは過剰な緊張はなくなる。
患者さんに対する問いかけは、
リラックスや相手の内側に意識を向けるため、
ゆっくりと催眠術をかける人のような感じで。
力を抜くコツをいかに伝えることができるか。
うまくいけば効果は大きいものとなる。
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Category: 痛み

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頭痛と頸部筋の緊張 

鞭打ちや肩こりなどの症状により、
頭痛が生じることも少なくない。
いわゆる筋緊張型頭痛というものだが、
筋筋膜の影響で生じる頭痛には
どういったものがあるのだろうか。

頭痛及び顔面に関連痛の生じる筋と
そのトリガーポイントをいくつか示す。
上の図は各筋の関連痛の部位。
下の図はトリガーポイントである。
いずれも頸部の筋である
頸板状筋・胸鎖乳突筋・僧帽筋上部である。

いずれの筋もこめかみ部の症状は共通する。
頭頂部の症状は頸板状筋と胸鎖乳突筋。
前頭部の症状は胸鎖乳突筋のみである。

頸部周囲は細かな筋が多いのが特徴である。
痛みの部位を確認するとともに、
各筋の緊張度合いの触診と関連痛の確認を
評価していくことが重要である。
トリガーポイント頭

Category: 痛み

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天気と痛みの関係 

「天気が悪くなりそうだから調子が悪い。」
こういった言葉は外来でよく聞く。
あまりにも頻繁に聞かれるので、
たまたまではないのではと
感じることも多いのではないだろうか。
こういった天気による痛みは気象医学とも言われ、
1950年にドイツで研究が始まったのがきっかけである。

天気による痛みは特に上半身に優位で、
深部の筋や関節に症状が出るのが特徴である。
現在では気温の低下が冷受容器に、
気圧の変化が内耳に影響し、
脳が感知することが交感神経を優位に
働かせると言われている。

特に気圧の変化の影響は大きく、
心拍数や血圧の変動1)の他、
ノルアドレナリンの分泌増加の報告もある。
気圧の変化が内耳に影響を与え、
視覚情報と内耳の情報の不一致で脳が混乱し、
車酔いのような状態になる。
その後、脳へのストレスにより交感神経が優位になることで
痛みが増加してしまうのである。

10hPa以上の気圧変化が生じると痛みが生じやすく、
比較的緩やかな気圧変化である5hPaでも症状が出現することが、
モデルラットによる実験で確認されている2)

天気は変えることができないけれど、
辛い気持ちになるかどうかは自分で選ぶことができる。
「雨が降る前だから辛い。」と思うか。
「また天気になれば良くなる。」と思うか。
難しいことだがまずその選択を変えることからでも
はじめてみると良いかもしれない。

1)Sato J,Takanari K,Omura S,et al.:Effects of lowering
 barometric pressure on guarding behavior,heart rate
 and blood pressure in a rat model of neuropathic
 pain.Neurosci Lett 299:17-20,2001
2)Funakubo M,Sato J,Obata K,et al.:The rate and magnitude of
 atmospheric pressure change that aggravate pain-ralated behavior
 of nerve injured rats.Int J Biometeorol,in press,2010.

Category: 痛み

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関連痛 

外来では腰痛の訴えは多い。
腰痛の中でも胃や腸などからくるものがある。
いわゆる関連痛というものであるが、
実際に痛い場所とは違うところに問題があり、
対象となる部分が違うのが特徴である。

関連痛は腰の神経と胃や腸の神経が
脊髄で同じ場所を通るので、
胃や腸の痛みを腰が痛いと勘違いしてしまうものである。
日常ではアイスクリーム頭痛が有名である。
アイスクリームを食べたときの喉奥の刺激は、
三叉神経に伝わり、コメカミや額に刺激を受け、
脳が勘違いをしてしまうものである。

胃や腸は検査で大きな病気ではなくても、
機能的な問題が生じることもある。
胃もたれや便秘などがこれにあたるが、
胃に生じる機能性ディスペプシアなどもそうである。
胃炎や胃潰瘍などがなくても
胃の拡張や排出が阻害されることで、
胃の働きが悪くなり、食欲低下や膨満感を生じさせる。

このように大きな病気ではなくても、
微妙に調子が悪い状態というのは
健常者にも多くあるが、
このような状態が関連痛として
腰部に症状を出現させることも少なくない。

このように内臓が関係する腰痛の場合は、
安静時に疼痛が出現したり、
内臓が働いた時に症状が出現するのが特徴である。
触診では硬さや冷たさを感じ、
温めることで腰部の症状が減少することも少なくない。
ただこれらの関連痛は実際に病気が隠れていることもあるので、
診察をまず行なって判断する必要がある。

Category: 痛み

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痛みの悪循環 

痛みは機械刺激や炎症によって、
発痛物質を自由神経終末が
受け止めることによって生じる。

脳は外側脊髄視床路によって大脳皮質の
体性感覚野に繋がる。
これが感覚系の経路である。
そしてもう一つは内側脊髄視床路によって、
島皮質、前帯状回、前頭前野、扁桃体、
海馬に繋がる。
これは情動系の経路である。
辺縁系に作用しイライラや不安などの感覚を引き起こす。
また間脳の視床下部にも影響をおよぼし、
自律神経症状を引き起こす。

副腎髄質のノルアドレナリンや交感神経優位の影響で、
末梢血管の収縮と筋の攣縮が生じる。
これらの症状は痛みを誘発するので、
また脳に作用し、これらが慢性的に繰り返すこともある。
また場合によっては、機械的刺激や炎症などの
身体に異常が生じていない時でも、
脳がストレスを感じると痛みを生じることがある。
これはストレスを受けることで脳が反応し、
交感神経優位や副腎髄質が働くためである。

痛みそのものにおいても、また慢性化しないためにも
不安のない状態で進めていくことは必要不可欠である。
心理社会的要因と腰痛

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痛みと不快な刺激 

快の刺激は下行性抑制系に作用し、
疼痛を減少させることは前回述べた。
次は不快な刺激がなぜ痛みを強くするのかについてである。

不快な刺激というのは不安や恐怖など
一般的にはストレスといわれるものである。
こういった刺激は扁桃体や海馬が過剰に働くことがわかっている。
扁桃体は感情を司る部分で、特に不快な刺激に反応する。
海馬は短期記憶を司る部分である。
この二つは影響し合うことが多く、感情が伴った記憶は
覚えやすいのはこのことからも言える。

具体的には楽しかったキャンプのときのことや、
ものすごく嫌いな感じの人の名前などは意外と覚えているものである。
食べたものでも好きなものや嫌いなものが
でたときはわりと覚えているが、
特に普通のものが出たときは覚えていないものである。

さて海馬や扁桃体が過剰に働くと、
嫌なことなどが目につきやすく根に持ちやすくなる。
いつもだとすぐに忘れるものの、
いつまでも気になって腹が立つというのも、
こういった働きによるものなのかもしれない。

また海馬や扁桃体の過剰な働きとともに、
もうひとつ影響が出るのが前頭前皮質の機能低下である。
扁桃体や海馬が過剰に反応し、ドーパミンの分泌が減少すると
下行性抑制系の減少、脊髄後角の侵害情報の抑制、
中枢性感作により痛覚過敏が生じる。
それらはセロトニントランスポーターに影響し、
セロトニンの働きが減少、前頭前皮質の機能低下に繋がる。
この前頭前皮質の機能低下は目標をもった行動をする働きがあり、
意欲のない後ろ向きの人間となることが予測されます。

不快な感情は脳の痛みを抑える働きを減少させるとともに、
意欲のない後ろ向きな人間になりやすくなる。
それは痛みに関しても脳に関しても悪循環として、
慢性化しやすいというデメリットもはらんでいる。

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痛みと快の刺激 

よいことがあれば痛みは少なくなる。
これは脳の下行性抑制系という作用によるものであるが、
これはいったいどういうものであろうか。

脳には痛みを抑えるオピオイドという物質が出ている。
このオピオイドは中脳の腹側被蓋野から出るドーパミンが
大脳基底核の線条体に分泌される1,2)
このオピオイドは脊髄に働きかけ、
疼痛を抑制していると考えられている3)

そしてネガティブな思考は
このドーパミンやオピオイドの分泌を減少し、
下行性抑制系の正常な働きを阻害するという問題が生じる。
次はこのネガティブな感情についての
疼痛のメカニズムについて述べる。
下行性抑制系

1)Leknes S,Tracey I:A common neurobiology for
 pain and pleasure.Nat Rev Neurosci 9:314-20,2008
2)Scott DJ,et al.:Placebo and nocebo effects are defined by opposite opioid and
 dopaminergic responses.Arch Gen Psychiatry 65:220-31,2008
3)Eippert F,et al.:Activation of the opioidergic descending pain
 control system underlies placebo analgesia.Neuron 63:535-43,2009

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痛みと感情 

痛みの伝導路は基本的には侵害受容器の末梢の情報が
脊髄に入り延髄・中脳を視床に入り、
大脳で認知される。

痛みの中枢伝導路は外側系と内側系に分かれる。
外側は大脳皮質の体性感覚野(S1、S2)に至る。
他にも触圧覚や温度覚も伝わる。
内側は大脳の島皮質から前帯状回、前頭前野、
扁桃体、海馬に至る。
情動や認知など痛みの意味を伝達する。
辺縁系にも作用することから、
イライラや不安など不快な感情を生じさせ、
さらに視床下部にも影響を生じさせると、
血圧や脈拍上昇などの自律神経症状を引き起こす。

つまり、痛みは感覚としての外側系だけでなく、
情動としての内側系も考慮する必要がある。
不安や恐怖などの感情は扁桃体の過活動を生じ、
内側前頭前野の活動を減少させることが知られている。
怖いとやる気をなくし、海馬との連結から記憶されやすくなる。
痛いという経験が動くことをやめてしまい、
長期化することでそれは活動性の低下や抑うつ状態をも
引き起こす可能性が出てくる。

痛みを軽減させるにはまず安心してもらうこと。
これからのすべての行動の原動力になる大事な部分である。

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痛みのコントロール 

痛みが生じたとき、炎症がある場合は基本的には
安静中心のRICE処置が基本となる。
療法士ができることとしては上記内容の説明と、
痛みの出る動きに対して、出ない動きをするように
アドバイスをすること。
また周辺関節の可動域を改善することで、
代償を行ないやすくすることも一つの方法である。

しかし、方法は機能的なアプローチのみではない。
痛みのない歩き方をするように指導する
能力的なアプローチも重要である。
例えば歩く時に前方重心と後方重心のどちらが楽でどちらが痛いか。
また内旋位と外旋位のどちらが楽でどちらが痛いか。
こういったことを確認し痛みが出ない歩き方を
指導していくことでも患者さんは生活しやすくなる。

例えば後方重心で外旋位であれば
鵞足炎による痛みは軽減できる可能性がある。
また前方重心で内旋位であれば
ラテラルスラストが減少しやすいため
変形性膝関節症による内側関節裂隙の疼痛は
軽減する可能性がある。

組織が障害された場合の回復には時間が必要である。
疼痛の出現を防ぐことは回復を
促進する上で重要なことかもしれない。

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創傷治癒の仮説 

体が痛くなったとき、見えないので
余計に不安になってしまうことがある。
体を痛めた場合、
どのように回復していくのだろうか。

体の中では傷んだところが少しずつ再生する。
まず、血が固まるとともに余分なものを掃除する。
いわゆる炎症というもので約1週間程度でおさまる。
そこから上皮と肉芽によりある程度固められながら、
コラーゲンによる再生が行なわれていく。
コラーゲンはタイプ3の分泌が早いため、
関節包の回復は早い段階から生じる。
腱や靭帯はタイプ1なので10日程度から徐々に置き換わる。
ただコラーゲンのクロスリンクは約1ヶ月で70〜80%程度なので、
負担のかけ具合は注意が必要である。

痛みがなくなるのはあくまでひっついているだけなので、
ある程度の張力になるまでは最低1ヶ月程度は必要である。
痛みがなくなったから前のように動けるわけではなく、
少しずつ様子を見ながら慣らしていくことは
このような理由からも大切である。

軟部組織の回復


1)Davidson JM:Wound repair.In:Inflammation,Basic
Princeples and Clinicalcorrelates.2nd ed (eds by Gallin JI,
Goldstein RM & Snyderman R).pp809-819,Raven Press,
New York,1992

Category: 痛み

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2017-08
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