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理学療法の評価と治療

理学療法に関連する臨床・研究・教育と評価・治療について書いていきたいと思います。

2010年10月の記事一覧

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軟部組織の修復 

軟部組織の回復
炎症・増殖・改変の順で進んでいく。

炎症 受傷から1w程度
出血や浮腫の影響で腫脹が生じる。
不要な部分は貪食される。
そして線維芽細胞が集まってくる。

増殖 3日~1か月半(腱など血行が不良な部位は2カ月程度)
炎症反応が減少する。
線維芽細胞が組織の再生を促す。(コラーゲンとムコ多糖類による)

改変 2~12か月
活動により組織の再配列が行われる。

これらは文献により時期はまちまちだが大まかな目安になる。
当然、損傷の程度や過負荷、栄養や循環の状態でも
個人差は出ると考えられる。

そのため、時期を目安としながら、
炎症の4兆候・end feel・grimace sign・jump signなどの
評価も併用し、予測をたてることが重要。
これにより病期を誤らずにアプローチの強度の調節を行ったり
患者に説明するのに有効になる。

また症状が悪化した際に
日常生活での過負荷が何かどの程度で生じるのかも
知ることができる。

要するに表情の変わるような痛みの強い時期は
約1~2カ月程度。
そのときにいかに障害部位に最適な刺激となるように
調節するかが重要になる。

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Category: 痛み

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筋の調節 

痛みが長く続いた場合、筋の調節が難しくなることがある。
いわゆる「力み」である。
他動運動においても抵抗感が常にあり、自動運動においても
円滑な運動が阻害される。

位置覚・運動覚も低下し、感覚入力が困難である。
痛みに対する感受性は亢進している。

慢性化している病態や急性期のような強い痛みが持続する場合にも
みられることが多い。

力みをとるために力を抜くように促すが、痛み以外の感覚が
入りにくいことと力を抜くという感覚が感じにくいことから
随意的にはコントロールが難しいことが多い。

認知的な問題も混在してくるため
いかに痛み以外の感覚に意識を入れ、感覚から運動を
修正することが重要になる。
ただそれは運動に意識し修正するのではなく、
感覚意識をすることで脳による自動的な運動コントロールを
促す
ということである。

具体的には障害のないほうの四肢を動かしてもらい
障害のあるほうの四肢を動かし、違いを感じてもらう。
痛み以外の感覚の表出があればOK。なければ閉ざされた質問で
重いか?動きにくいか?かたいか?遅いか?などから
本人の感覚に近いものを選択してもらう。
その後ゆっくり動かしてもらいながら楽な動き方を探してもらう。
もしくは障害のないほうの四肢のまねをして、同じ動きをするように促す。

これは結果より体に気づくかという過程が重要。
それにより痛みを第一優先で働かせていた脳を
他のものに意識を向けることで痛くなく無理なく楽に動けることを
知ってもらう。
そうすることで体は自分自身で変えることができるという自信がでてきて
動きやすい動き方を模索し、自己コントロールにつながることがある。

痛みが強く、経過が長くなりやすい肩関節周囲炎や
炎症が長期化した部位、他部位におよぶ骨折、不安が強い方など
このような状態に早く気づくことで連鎖的な症状の悪化を
防ぐことができるのではなかろうか。
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サルコペニア(加齢性筋肉減弱症) 

歳とともに筋肉は減少してくる。
これは活動性の低下だけでなく、組織や細胞の変化など
多くの因子によって起こる。
これをサルコペニア(加齢性筋肉減弱症)という。

40歳から年0.5%ずつ減少し
80歳までに30~40%減少する。

速筋のほうが優位に減少する。
このことから40歳から日常生活で行わないような
強い力を伴う運動や急いだりは注意する必要がでてくる。

また高齢になっても飛んだり跳ねたり重いものを持ち上げたり
という速筋を使う動作は優位に落ちるものの、
ゆっくり歩くような動作は比較的保たれやすいと言える。

1)吉岡利忠, 他:日本生理学会 運動生理学シリーズ5 筋力をデザインする pp50-64,否林書院,2003
2)望月 久, 他(編):筋機能改善の理学療法とそのメカニズム,第2版,NAP,2007
3)Bottinell R,et al:skeletal muscle plasticity in health and disease :from genes to whole
muscle,pp 137-172,Springer,Netherland,2006
4)Hawke TJ:Muscle stem cells and execrcise training.Exercise Sport Sci Rev 33:63-68,2005
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筋力と日常生活 

日常生活を遂行していくには
 ・動的機能
 ・関節他動的安定性
 ・神経運動制御
 ・運動認知
が必要になってくる1)

筋力はただ力として捉えるのではなく
協調的に運動制御されてはじめて日常生活の動きと関連する。
筋の協調性とは力・空間・時間が関わり
動作を形成していくために重要な働きをする2)

これが単関節のトルクをみていたオイラーモデルから
協調的な運動制御モデル3)に変化してきている
一番の理由ではなかろうか。

そして動作という多因子的な問題を
いかに今までのエビデンスという
小さな因子で統合していくか。
これが理学療法の課題になっている。

臨床ではこれらの評価と治療をバランスよく行うことが
求められる。筋・関節・神経・脳
それぞれの評価と治療が行えること。
そして目の前の患者がどのアプローチが最も有効なのか
リーズニングしていくこと。
これからも発展の必要はまだまだあると言える。

1)板場英行:筋力研究の基礎から臨床への展開.理学療法21:451,2004
2)加藤浩:廃用症候群の筋力低下の評価と治療.奈良勲, 他(編):筋力,pp140-163,医師薬出版,2004
3)Shumway-cook A,Woollacott MH:Motor contorol translating research into clinical practice
(3rd edition),pp3-20,lippincott Williams & Wilkins,Philadelphia,2007
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筋の微細損傷 

筋は微細損傷を繰り返しながら常に変化を続ける。
筋の微細損傷は日常生活や軽いストレッチでも生じ
破壊再生を繰り返す。

筋肉が強くなるときは筋肥大を伴うことがあるが
筋肥大筋線維そのものが肥大するのと
筋線維数が増加するのと二種類ある。

ただ筋線維内の筋細胞核分裂能力はない。
これが筋線維の数は増えないと言われていた理由である。
筋肥大に関わるのは筋細胞外にある
筋サテライト細胞(筋衛生細胞)である。

筋サテライト細胞は幹細胞の一種。
出生時に最も多く、年齢とともに減少する。
これが高齢による適応能力の低下とも言われている。
遅筋と筋腱移行部に多いのが特徴で筋細胞核数の2~5%。

筋細胞の周辺で待機しているが
筋に対するストレスにより活性化。
これにより細胞分裂を起こし前駆細胞・脈管の線維と
融合。筋肥大をもたらす。

筋の再生に大きくかかわる筋サテライト細胞。
これが筋力をミクロレベルで考えていくには重要であり
高齢者の適応能力にもかかわっていくことは
考慮する必要があるのではなかろうか。

1)吉岡利忠,他:日本運動生理学学会 運動生理学シリーズ5 筋力をデザインする pp50-64,否林書院,2003
2)望月 久, 他(編):筋機能改善の理学療法とそのメカニズム,第2版,NAP,2007
3)Bottinell R,et al:skeletal muscle plasticity in health and disease :from genes to whole
muscle,pp 137-172,Springer,Netherland,2006
4)Hawke TJ:Muscle stem cells and execrcise training.Exercise Sport Sci Rev 33:63-68,2005
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筋サテライト細胞 

前回の筋の微細損傷でも触れたが今回は筋サテライト細胞について。

サテライト細胞は1961年にMuroによって発見されたのが
最初である。
電子顕微鏡下で筋線維の形質膜と基底膜の間に存在する
単純細胞として発表された1).。

サテライト細胞は未分化の幹細胞で筋以外にも
脂肪細胞や骨芽細胞にも置き換わることでも知られる2)

幹細胞に関してはES細胞(embryonic stem cell:胚性幹細胞)
やiPS細胞(induced pluripotent stem cell:人工多能性幹細胞)
などが有名である。

筋サテライト細胞は筋の再生と肥大ともに働く。
再生と肥大のメカニズムは同じようでわずかに違う。
まず同じところは
筋の再生・肥大ともに
 ①筋サテライト細胞・幹細胞の活性化
 ②筋細胞への分化
 ③新たな筋細胞の成長(サテライト細胞・幹細胞の融合

ここまではともに同じなのだがここから微妙に分かれる。

まず筋の再生では
 ④筋細胞の成熟
 ⑤筋線維の形成
となるが

筋の肥大では
 ④筋線維の増加・筋細胞核の増加
 ⑤新たな筋線維の形成
 ⑥筋組織の増大

となる3)。いずれにしても筋の再生や肥大には
筋サテライト細胞の活性化は必須で
身体適応に対し重要な役割を果たしていると言える。

1)Mauro A:Satellite cell of skeletal muscle hypertrophy and atrophy.Nat Med10:584-585,2004
2)Wada MR,et al:Generation of different fates from multipotent muscle stem cells.Development
129:2987-2995,2002
3)駒沢純,他:骨格筋肥大機構の新たな可能性.体力科学55:367-384,2006
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理学療法の歴史 

理学療法は40年かけて技能職から専門職に変わってきた。
それは疾患や疾病などの対象が変化していることも
大きくかかわっている。

Sahrmanによると理学療法の歴史は4期に分かれる1)。

1期:末梢神経損傷と筋骨格障害
 戦争により末梢神経損傷と筋骨格系が中心。
 MMTが大いに貢献する。

2期:中枢神経障害
 ポリオ根絶により脳卒中,脳性まひ,頭部外傷など
 中枢神経障害が対象になってくる。

3期:関節機能障害
 オーストラリア・ニュージーランドの影響を受け
 関節機能障害に着目する流れとなる。
 痛みや関節副運動の評価などが理学療法場面で用いられる。

4期:運動システム
 筋骨格系疼痛など運動機能の異常が理学療法の専門領域と
 指針が出される2)(米国理学療法士協会)

神経・筋から脳,関節と変化していき最近ではそれらを統合した
運動システムとして運動機能の異常を専門とする方向にきている。
これは痛みという局所的な問題を治療するだけでなく
その周りの関節や筋との運動連鎖
そしてなぜその障害が起きたかという日常生活での原因
これらの3つの要素をみることでシステムとして専門性を生かすことができるのでは
なかろうか。

1)Shirley A.sahrman 他,運動機能障害症候群のマネジメント.-理学療法評価.MSBアプローチ.ADL指導-
 医歯薬出版.1-2,2005
2)American Physical Therapy Association:Philosophical statement on diagnosis in physical therapy.in pro ceedings of the House of Delegates,1983,Washington,DC,APTA
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筋骨格系疼痛と運動システム 

以前のブログで理学療法の歴史について記載したが
現在の理学療法は運動システムを対象として捉え米国理学療法士協会も
筋骨格系疼痛など運動機能の異常が理学療法の専門領域と指針が出している1)。

実際にJetteの報告によるとPTクリニックの約60%が筋骨格系疼痛とのことであり2,3)
筋骨格系疼痛は治療対象者として割合が多い。
(ちなみに他の内訳は腰痛25%,頸部痛12%,肩12%,腰・股12%)

筋骨格系疼痛を考える上で以下の3つの理論を理解することが重要である4)。

出現している症状に着目する(主要因子)  
 局所の炎症を抑える,オーバーユースのコントロール,組織の強化を重要視する。

周りの関節や筋との運動連鎖に着目する(関連因子)  
 症状の出ているところの周辺にある制限が正常運動を妨げる。
 その周辺関節の可動域の改善

障害が起きたかという日常生活での原因に着目する(増悪因子)  
 症状がどこかが重要ではなく,なぜ症状が出現したかを重要視。
 痛みや制限より運動パターン(習慣)の改善

現在の理学療法対象は筋骨格系疼痛が最も多く、治療を考える上で症状に着目するだけでなく
その症状の周辺関節の影響や何よりなぜ症状が出現したかという
日常生活での原因にも着目することが重要である。

1)American Physical Therapy Association:Philosophical statement on diagnosis in physical therapy.in pro ceedings of the House of Delegates,1983,Washington,DC,APTA.
2)Jette AM,Davis KD:Acomparison of hospital-based and private outpatient physical therapy practices,
 Phys Ther 74:366,1991.
3)Deyo RA,phillips WR:Low back pain:a primary care challenge,Spine 21:2826,1996
4)Shirley A.Sahrman 他,運動機能障害症候群のマネジメント.‐理学療法評価.MSBアプローチ.ADL指導-医歯薬出  版.1-2,2005.
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Category: 痛み

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主要問題・関連因子・増悪因子の具体例 

筋骨格系疼痛と運動システムでも書いたが症状に着目するだけでなく
その症状の周辺関節の影響や何よりなぜ症状が出現したかという
日常生活での原因にも着目することが重要である。

今回は具体的な例で考えていきたいと思う。
具体的には左の腸肋筋に痛みがある患者がいるとする。
ヘルニアと思われる下肢症状もなく、炎症兆候もない。
左側屈で収縮痛、右側屈で伸張痛が出現する。
これが症状(主要問題)である。
これに着目した場合、腸肋筋の緊張が強ければ先に緊張を減少。
その後伸張するようなアプローチが一般的だ。
また4週以上経過している場合は、関節副運動も減少していることが多い
可動域制限参照)。
エンドフィール・ジョイントプレイテストで確認し
副運動が減少しているようであればモビライゼーションなどを行う。

次に症状の周辺関節の影響(関連因子)を考えると
症状部位の周辺の関節の評価を行う。
胸椎・腰椎・股関節(仙腸関節)の可動性を確認する。
症状がでる部位過剰運動を起こしていることが多い。
脊椎だと症状近隣のセグメントの過剰運動があり、その上下に過小運動がある。
例えばL4/5過剰運動Th7-L3過小運動
L5/S股関節の内旋伸展に過小運動があるなどである。
その影響でL4が脊椎屈曲カーブの頂点になったとすれば
腸骨筋が常に伸張されている状態になる。
それが筋の微細損傷やα‐γ連関の不具合を生じ筋の痛みへと発展する。
この場合、L4/5が過剰運動を起こしにくいようにTh7-L3,L5/Sと
股関節の内旋と伸展の可動域改善を行う。

最後に日常生活での原因(増悪因子)から考えてみる。
そもそもなぜそこに痛みがでたのか。
痛みがでる動きを聞き出すと絞り込みやすい。
L4/5を屈曲させるような作業。例としては草抜き、衣替え、風呂掃除、
孫の世話などである。
これらが根本的な原因になるのであればこれを再びやれば
疼痛が再発する可能性が高い。
L4/5を屈曲させないような周辺関節の可動性や習慣の改善が
根本的な問題の改善につながる。
また腰椎の生理的な前彎を維持するための深部筋のトレーニングも
必要かもしれない。

症状が出現して時間がたっている場合。
何度も症状を繰り返している場合は主要問題のアプローチだけでは
再発を繰り返しやすい。
関連因子増悪因子のアプローチができてはじめて
再発のコントロールにつながるのではなかろうか。

理学療法士の評価と治療のホームページでも関連の内容
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Category: その他

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筋力発揮の概念 

身体運動が生じるため筋力はどのように発揮されるのか。

筋力に関係するのは速度・張力・関節要素
これが筋原線維筋線維筋(束)関節というように
ミクロからマクロにつながっていく。

まず速度から
筋原線維・筋線維・筋(束)は収縮速度。
腱は移動速度。
関節は関節角速度に関係する。

張力では
筋原線維はサルコメア張力。
筋線維は筋線維張力。
筋(束)は筋張力。
腱は腱張力。
関節は関節トルクとなる。

最後に関節要素では
筋原線維は力ー長さの関係、力ー速度の関係。
筋線維は筋線維数、筋線維タイプ、筋線維横断面積
筋(束)は収縮要素、並列弾性要素、筋横断面積、筋長、筋束の配置。
腱は直列弾性要素。(可動域制限参照
関節はモーメントアームとなる。

これらの細かな要素が統合され速度・張力・関節要素を生みだし
結果的に身体運動は起こる。

1)望月 久:骨格筋の諸機能と理学療法,望月久,山田茂(編):筋機能改善の理学療法とそのメカニズム-理学療法の科学的基礎を求めて-,pp18-28,ナップ,2003
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関節モーメント 

関節モーメントは筋の多くの要素が関節に伝わり
運動をおこすことで生じる。
それには筋原線維・筋線維・筋(束)・腱・関節までの
多因子が影響してくる(筋力発揮の概念参照)

まずサルコメア張力という小さな筋原線維の集合が
筋に伝わる。
ここでは線維数・断面積・筋長・羽状角の影響を受け
やがて腱の弾性要素に伝わる。
その後、固定筋拮抗筋の活動の影響を受けたものが
はじめて関節モーメントとなる。
またこのモーメントは筋のアライメント関節不安定性という
構造的な要素と疼痛や精神状態などの神経的な要素も
受けることになる1)

そのため実際の臨床現場の関節モーメントや筋力は
非常に様々な影響を受け何の影響で変化したのかを
明確にすることは難しい。
しかし、これらの要素を念頭に入れたうえで評価すれば
いくつか絞り込みを行うことができるかもしれない。

1)木藤伸宏 他:筋力トレーニングの基本,PTジャーナル42:137,2008
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Category: 関節

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負担を適切にコントロールするということ 

運動による負担は適度であれば筋力を向上させ
運動機能が改善されることは知られている。
しかしその負担も身体が受け入れられる上限下限があり、
それによって有益になるかになるか変わるという
微妙なものである。

これは薬と同じようなものでよく効くからといって
大量に飲むと副作用が起きるのと同じようなものである。

運動による負担が上限を超えると微小損傷(micro trauma)を
生じやがて外傷につながる。
また下限以下になると筋力は減少運動機能も低下してしまう。

運動の負担を考える上で重要なのは2つ。
運動のである。
には姿勢の影響が大きく関わり、姿勢が悪くなれば脳・神経機能は低下。
微小損傷のリスクも増え、頻繁に使われる脊椎の変性も生じやすくなる1)
質が低下することで短時間で負担を感じることが予測される。

では時間が影響する。運動の質に関して患者の理解が困難な場合
時間を管理することで負担をある程度コントロールできる。
通常1割程度の増加であれば身体的な負担も軽度で済むため
1週間で1割ずつ増やすといった指導は安全かもしれない。
普段30分していることは33分までといった感じだ。

これらの指導を的確に行うことで日常生活による増悪因子の影響を
患者と治療者がお互い確認しながら進めることができるのではなかろうか。

1)Singer KP,Fitzgerald D,Milne N:Neck retraction exereise and cervical disk disease.In SingerKP,editor:Biennial manipulative physiothrapist conference.perth,Australia;1995
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主要因子・関連因子・増悪因子のまとめ 

評価する際に症状のみに着目するのではなく、
症状の原因となる身体的な運動連鎖
日常生活での影響を考えることが重要である。

症状そのものを主要因子
運動連鎖の影響を関連因子
日常生活での影響を増悪因子とし
これら3つの要素の改善が真の症状改善および
再発予防の概念につながると考えられる。

主要因子
 動作を阻害する主要な因子。
 痛み・可動性・筋力・心因性からなる。

関連因子
 他の関節の運動連鎖が症状に影響を及ぼす。
 一般的に近隣関節の影響が大きい。
 主要因子と同様に痛み・可動性・筋力・心因性からなる。

増悪因子
 日常生活の運動パターンが症状に影響を及ぼす。
 動作・姿勢・心因性からなる。

症状が出現し、あまり時間がたっていなければ
主要因子だけのアプローチで改善しやすいが
時間がたっている場合繰り返し症状を再発している場合は
関連因子増悪因子の確認は必須となる。
これは時間の経過が進むことで代償動作や運動パターンが変化し
さらに別の機能障害がドミノ式に起こるためである。
またそれに伴う心理的な不安や恐怖、自信の消失は
的確な運動イメージを阻害し、過度な緊張を伴った動作となり
非効率で負担のかかりやすいものとなる。

これは治療を進める上で徒手的な技術のみにこだわらず
患者指導も重要な位置を占めることを意味する。
主要問題治療者と患者が共有するとともに
関連因子治療者の評価と徒手的な技術で手助けをし、
増悪因子患者自身に日常生活から導き出し、
コントロールするよう促す。

これらのバランスをとるためには治療者も
インプットとアウトプットのバランスが求められる。
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Category: その他

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生体の構造 

生体の構造機械に似ている。
機械と同じように機能を効率的長時間利用すること、
正確な動きをすることが求められる。

ただ機械と違うところは程よいストレスをかけることで
機能が向上するということである1)。
それは脳や神経によるフィードフォアード機構であったり、
筋サテライト細胞による筋力アップであったりする。

しかし、バランスが崩れてくると運動はとたんに
非効率的なものになり障害へと発展する。
姿勢が悪くなることでアライメントが崩れると
筋の長さは変化し、緩み過ぎるところと
働き過ぎるところが出てくる。
関節も通常の関節窩から逸脱し、軟骨の摩擦や
靭帯や関節包へのストレスなどを生じる。
運動そのものにも変化が生じ、過剰に運動する部位と
運動をあまりしない部位が出てくる。

動作をみる上でいかに効率的な動きをめざすか
運動学的な視点が必要になってくる。

1)Lieber RL:Skeleral muscle;structure and function,Baltimore,1992,Williams & Wilkins
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Category: その他

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筋骨格筋疼痛 

筋骨格系疼痛は運動機能障害症候群(Movement impairment syndrome)
とも言われ疾病ではなく外傷により生じる。
そのため疾病を治し、痛みを改善するのではなく
使い過ぎ繰り返しが症状を引き起こしていることを
理解しなければならない。

最も関わりが大きいのが習慣によるもので
一定の解剖学的な方向だけに動くことが影響する。
それを運動の起こりやすさDSM(Directional susceptibility to movement)
と呼ぶ。

この一定の解剖学的な方向の動きの使い過ぎや繰り返しが
副運動や生理学的運動回数を増加、組織の限界以上の負荷が継続的に
かかったときに組織が損傷し機能障害へと発展する。

痛みが生じた時は、症状の確認とアプローチにとどまらず
日常生活におけるDSMを見つけること、それに伴う可動性や運動パターンを
変化させることが再発予防につながっていく。

1)Shirley A.Sahrman 他,運動機能障害症候群のマネジメント.‐理学療法評価.MSBアプローチ.ADL指導-医歯薬出
 版.pp4,2005.
2)Hadler N:Medical management of regional musculo skeletal disease,Orlando,1984,Grune & Stratton

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運動器を健全に保つ 

運動器は運動が多様で正確であれば健全に保たれる。
同じ姿勢や運動の反復によって運動器は障害を起こす。

一定の姿勢を1時間以上保ってはいけない。
関節の屈曲を行って約20分で体はクリープ現象を起こし
変化する。そしてそれを元に戻るまでには約40分かかるという1)

この変性は
 時間持続による変性
 たんぱく質生成の適応
2)の二つが考えられている。

片づけや草抜きなどこまめに休息を入れたり
途中で違う作業に切り替えたりなどの工夫が必要になる。
また可動域制限がある場合、同一部位に負荷が集中するため
改善することも運動器を健全に保つのには有効だと考えられる。

1)Mc Gill SM,Brown S:Creep response of the lumbar spine to prolonged full flexion,Clinical
 Biomech 7:43,1992
2)Hebert R:Preventing and treating stiff joints.In Crosbie J,Mc Connell J,editors:Key
 issues in musculo skeletal physiotherapy,Sydney,1993,Butterworth-Heinemann
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Category: 日常生活の影響

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筋力強化の歴史 

筋力強化についての理論はその時代時代の必要性により
変化している。
いかに効果を上げられるかについて多くの研究がなされ
現在に至る。
大きな流れとしては
 ①過負荷の原則等尺性収縮運動等張性収縮運動 
 ②筋の構成要素(筋肥大)機能的要素(神経要素) 
 ③等速性運動の効果
 ④遠心性収縮求心性収縮 
 ⑤閉鎖性運動連鎖開放性運動連鎖 
 ⑥筋力とパフォーマンス

このようにミクロからマクロの視点に移り変わってきている。
筋力という要素がいかに実際のパフォーマンスとつながるのか
理解するうえで歴史から見ていくのも面白いと思う。

1)岡西哲夫:筋力強化法の変遷とその背景,PTジャーナル35:p379,2001
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Category: 筋力

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力学的な問題 

医師の診断は生理学的知識が元になり
手術や薬物療法などの治療法が確立していく。

理学療法士力学的な問題が主にターゲットになり
守備範囲が変わってくる。
Nagi障害モデルが理学療法の機能障害を明確に表している1)
これは解剖学・生理学・心理学的問題が生体構造の変性を起こし
機能の変容へと変化していくというものである。
要するに生理学的知識による病理学的な問題ではないのである。
これが医師の診断と理学療法の臨床思考の大きな違いである。

これは痛み病気によって出るのではなく
動き使い方が原因となるため
それらの指導が根本的な改善につながる意味合いは大きい。

1)Nagi SZ:Disability and rehabilitation,columbus,ohio,1969,Ohio State University Press
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Category: 評価

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過負荷の原則の歴史 

過負荷の原則(Overload principle)は筋力増強の概念の中では
誰もが知っているものである。

この過負荷の原則には二つの流れがありこれが
筋力増強の概念の基礎となったと言っても
過言ではない。
それは
De Lormeによる等張性運動
MullerHettingerによる等尺性運動である1)

De Lorme等張性収縮を提唱した。
これは四頭筋萎縮のまま荷重訓練をすることで関節に炎症を生じ、
安静で筋萎縮が再発するといった悪循環を断ち切るのが目的。
荷重をしない運動で関節の負担を軽減したうえで筋力増強を図る。
生理学的効果は筋張力の発揮しにくいところでの筋収縮は多くの筋線維が
動員されるため(筋の長さ‐張力曲線)多くの線維への刺激を
与えられるといったものである。
またPRE(Progressive resistive exercise)理論も提唱し
 高負荷・低頻度の運動は瞬発力
 低負荷・高頻度の運動は持久力。という特異性の原則も取り入れた。

MullerHettinger等尺性収縮を提唱した。
これはいくつか修正をし最終的には
 強さ  :最大収縮
 持続時間:4~6秒間
 頻度  :1日5~10回

となる。またこの理論で強さ、持続時間、頻度という
三大条件が生み出されのちの筋力の研究の基礎となった。

筋力の基礎となった理論である、等張性収縮等尺性収縮
それだけでなくPRE理論による特異性の原則三大条件など
多くのものがこの二つの流れから生み出された。
これらは筋力について語る上でかかすことのできない
歴史となっていることは間違いない。

1)岡西哲夫:筋力強化法の変遷とその背景,PTジャーナル35:pp379-380,2001
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Category: 筋力

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日常生活と筋骨格系の痛み 

筋骨格系の痛みの原因の大部分は日常生活にある。
日常生活による持続的な姿勢や反復した動作は
やがて運動機能障害を引き起こし、
筋骨格系や神経などの病理学的な異常をもたらす。

生体システムは
機械的な構造的システムと
調節を行う神経システムに分かれる。

構造的システムは効率や耐久性を確保し
神経システムは適応力や自己修正力がある。

両者がバランスをとれているときは生体システムも
的確に機能し、バランスを失った場合
生体システムも崩れていく。

機械的な構造の修正のみならず
日常生活の使い方の認識や運動パターンの修正などの
神経システムの修正も必要である。
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Category: 痛み

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瞬間回旋中心 

正常な関節運動の指標として
瞬間回旋中心ICR:Instantaneous Center of Rotation)と
瞬間回旋中心の軌道PICR:Path of Instantaneous center of rotation)がある。
簡単に言うとICRは運動時における瞬間的な回旋の中心点
PICRはそれが通る軌道ということになる。

正確な測定をする場合は他動運動をX線で撮影しながら
動かすというものになるので現実的には難しいが
触診にてある程度の予測をたてることができる。
この回旋の中心点は解剖学的・運動学的な運動パターンから
形成されるため、
 ①関節面の形状
 ②靭帯によるコントロール
 ③筋や関節包の制限部位などの把握にも役に立つ。

関節を評価していく中で静的な評価で炎症や骨・筋の状態を把握、
動的な評価で運動における構造の把握が可能になる。

1)Zatisiorsky VM:Kinematics of human motion,Champaign,Ill,1998,Human Kinetics
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Category: 関節

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痛みを聞くか? 

臨床場面で「痛みはどうですか?」と聞くことがある。
痛みは主観的な尺度なので聞くことで
こちら側もどの程度の痛みかを把握しようとする。
ただ主観的な尺度がゆえに個人個人で感じ方は様々で
とくに心因性の問題が絡むとより表現は誇張される。
ただそれも本人の痛みなのである。

この「痛みはどうですか?」は心理や精神面に対しては
どうなのだろうか?
医療従事者が「痛み」を聞くことによって患者の意識は
「痛み」に向く。
そしてその「痛み」という情報が重要だと認識され
痛みに対する表現をしやすくなる。
要するに「痛みはどうですか?」という問いにより
認知や行動に影響を与えてしまうということである。

しかし痛みを現実対処するうえで大事なのは痛みという
結果ではなく、何が原因かという根本的な問題である。
「何か変わったことしましたか?」
「無理はしてないですか?」
「ぼちぼちやってますか?」
など常に行動に意識を向かせる問いかけを行うことにより
患者は原因を自分自身で思考する。
痛みという抽象的な概念から現実的な対処に意識が向く。

これが社会適応につながる認知と行動を促すのであれば
心因性の疼痛に対しても効果的な質問になるのではなかろうか。
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Category: 痛み

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等張性運動と等尺性運動の比較 

等張性運動等尺性運動はどちらが効果的なのか。
多くの論文で検討されてきたが
結局それぞれまちまちの結果で優位差はない1)。
といったところが現在の流れ。

ただ違いとしては
等尺性運動のほうが回復が早いところ。

また
静的な持久力等尺性運動
動的な持久力等張性運動
ということろがわかっている。

運動を検討するうえでこれらを
念頭において行うことでターゲットとなるパフォーマンスに
より近づけるのではないだろうか。

1)DeLateur B,et al:Isotonic versus isometric exercise:A double-shift transfer-of-training study,Arch
Phys Med Rehabil 53:212-216,1972
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Category: 筋力

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何を問うか?問診について 

理学療法で問診は非常に重要になる。
問いに対して答える。その流れの中で
患者の表情などの非言語的情報を読み取り、
抽象化した概念現実化していくために整理していく。

問診を介して相手の主観的な評価を行い、
次の客観的な評価に絞り込んでいくためのプロセスとなる。

では何を聞いていくか?

まず患者のニードを知るためにも
「何が不安なのか」を聞く。
この問いは精神的要素に重きをおいており、
 ・何が起きているのか?
 ・どうすればいいのか?
 ・どうなるのか?いつ治るのか?
などの情報を聞き出すことができる。
それと同時に相手も感情の表出が行え、
自らの気持ちの再認が可能になる。
またその際の非言語的な情報の読み取りは
非常に重要である。

次に「何が困るか」を聞く。
この問いは現実的要素に重きをおいており、
ADL→APDL→Work→Hobbyとクローズド・クエッションで
聞いてもよい。

この二つの質問から
現在の精神的な不安と現実的に困難なものの把握、
要するに主観的評価と客観的評価を行い
問題を明確化していく。

また動作と症状の関連経過を聞く質問は
「以前の状態を100%としたら今は何%か?」
「100%になるために足りないものはどういうものか?」

を聞くことで本人の想いと必要な症状の改善が見えてくる。

患者の精神的な問題をいかに理解するか。
そして私たちのできることが何かを明確にすることは
患者と理学療法士の関係を良好に保つために最も重要である。
ただ言葉にとらわれるのではなく、想いを伝え受け止めるという
最も大事なことは忘れてはならない。
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Category: その他

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筋力の因子 

筋力を決定する因子は大きく分けて2つある。
構成的要素機能的要素である。
構成的要素では筋の断面積などの筋肥大を表し、
機能的要素では神経による改善
運動単位参画パターンの改善インパルス頻度発射への増加などのいわゆる学習によるものを示す1)

運動をはじめて初期
機能的要素の改善が起こり
中期になると機能的要素構成的要素の両方の改善。
後期では構成要素のみの改善になる。
後期は3~5週以降といわれている2)

要するに運動はじめてすぐは力が入りやすくなるという
神経の影響が大きく約1カ月ぐらいして徐々に筋肉が
太く
なってくるということである。

またその他の報告では四頭筋は筋肥大のみの影響になるのは
12週以降(約3カ月)である3)。というものもある。
高齢者と若年者の比較では高齢者の筋力改善は大部分が
機能的要素である神経の増加が大部分であった4)ということであり、
筋肥大が年齢に依存していると考えられている。

おそらく筋サテライト細胞の影響も大きいのではなかろうか。
筋力を向上させる上で構成的要素と機能的要素どちらをターゲットに
するかという点もアプローチの変化に付け加えられるのではなかろうか。

1)猪飼道夫,他:筋肉の生理的限界と心理学的限界の筋電図学的研究,体育学研究5:154-165,1961
2)Moritani T,et al:Neural factors versus hypertrophy in the time course of muscle strength gain,Am J Ph ys Med 58:115-130,1979
3)Hakkinen K,et al:Electromyographic change during strength training and detraining,Med Sci Sports
 Exerc 15:455-460,1983
4)Moritani T,et al:Potential for gross muscle hypertrophy in older men,J Gerontol 35:672-682,1980
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Category: 筋力

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運動機能モデルの構成要素 

運動を行うためには様々な要素が必要になる。
必要な要素は
基礎-調節-生体力学-補助要素の4つである。
 基礎筋骨格系
 調節神経系
 生体力学静的要素動的要素
 補助要素心肺機能代謝
これらが相互作用によりシステムとして働くからこそ
運動を生じさせることが可能になる。
どれかひとつがかけた場合でもシステムの歯車は狂い
運動も歪みを受ける形になる。

1)Shirley A.Sahrman 他,運動機能障害症候群のマネジメント.‐理学療法評価.MSBアプローチ.ADL指導-医歯薬出
 版.pp9,2005.
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Category: その他

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運動の頻度 

運動の頻度についてはいろいろな意見があるのが現状だ。
一般的なものは
毎日      100%(最も効果的)とした場合、
5日に1回    50%
2週間に1回   0%
それ以上   マイナス

"Position Stand"ACSM(American College of Sports Medicine)が
1990年に出しているものは週3回週2回より効果的というもの。

また膝伸筋の等尺性収縮では週3回が効果的で週2回では
週3回の80%である1)。

頻度は多いほうがいいってこと。
ただしオーバーユースで休息が必要になれば
効率が落ちるし、フォームも崩れるため
そのあたりは考慮が必要だと考える。

1)Braith RW,et sl:Comparison of two versus three days per week of variable resistance training
 during 10-and 18-week programs,Int J sports Med 10:450-454,1989
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Category: 筋力

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筋委縮 

筋委縮に関して

上肢の筋力(肘屈筋・伸筋、握力)
 1日の不動で1.3~3.0%(1週間で10~20%減少)。1)
下肢の筋断面積
 20日の不動で7~8%。2)
外傷し休息中でも働く部分の筋力トレーニングはうまく行ったほうが
職業復帰やスポーツ復帰の際にスムーズに行うことができそうである。


1)Muller EA:Influence of training and of inactivity on muscle strength,arch Phys Med
 Rehabil51:449-462,1970
2)福永哲夫:筋委縮の予防とリハビリテーション,医学のあゆみ193:617-624,2000
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関節可動域と日常生活 

日常生活にはどの程度の可動域が必要なのだろうか。
股関節・膝関節・足関節でそれぞれのデータを。

股関節 
 正座    →屈曲 65°内転5°
 和式トイレ →屈曲113°外転10°
 靴下の着脱 →屈曲 97°外転13°1) 
 平地歩行  →屈曲 27°伸展10°外転5°内転10°外旋5°内旋5°2)
膝関節 
 階段昇降  →屈曲83°
 椅子の腰掛け→屈曲93°
 靴ひも結び →屈曲106°3)
足関節
 
 正座    →底屈45°
 和式トイレ →背屈30°
 平地歩行  →背屈10°4) 

これらのデータを元に日常生活につながる可動域改善を考えていくのも
一つの方法。ただ他の関節での代償や環境の整備で可能な部分もある。
また可動域はギリギリ動く状態ではジョイントプレイがなく動作としては
安定しにくい。筋力も発揮されにくいので少し余裕のある程度の改善が
必要になる。

1)古川良三,他:股関節可動域と日常生活動作の関連.理・作・療法16:13-21,1982
2)田中義孝,他:変形性股関節症および人工関節置換術側の歩行分析.日整会誌67:1001-1013,1993
3)Kettelkamp DB,et al:Development of a knew scoring scale.chin Orthop 107:93-99,1975
4)佐々木伸一,他:関節可動域障害に対する運動療法の基礎.PTジャーナル38:718,2004
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Category: 可動域制限

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Hip-spine syndrome 

最近の傾向として様々な関節の運動連鎖からみていく
研究が増えてきている。
これはここ10年で顕著であり日本の場合は
力学的平衡理論1)が火付け役になっているのではなかろうか。

さて今回はHip-spine syndromeについて。
1983年にOffierskiとMacnabが発表2)している。
これは脊椎股関節は密接な関係があり、
どちらか一方に障害があれば
もう一方にも障害が連鎖するとのもの。

これには連結する骨盤の影響が大きい。
骨盤の前傾と後傾の度合いは
ASIS(上前腸骨棘)とPSIS(後上腸骨棘)の差が
2~3横指であれば正常
3横指以上前彎傾向
2横指以下後彎傾向
と言われている。

骨盤の臼蓋は半球状をしており
前面は浅く、後面は深い構造をしているため
骨盤前傾接合面は大きくなり
骨盤後傾接合面は小さくなる。

骨盤前傾では大殿筋ハムストによる制御がメインになる。
また骨盤前傾により骨盤の制御の筋は変化する。
骨盤と筋出力の研究では
骨盤前傾10°で大殿筋:中殿筋=3:4が
骨盤後傾20°で大殿筋:中殿筋=4:3となる3)

また骨盤後傾になると腸腰筋と直筋の制御になるが
EMGの実験では伸筋との同時収縮が認められなかでも
腸腰筋の筋出力が高くなる4)
また骨盤接合力は浅くなり大腿骨頭の前外側部の負担
大きくなりこれが鼠径部の痛みの原因とも言われている。
腸腰筋の緊張は疑似臼蓋の役割を果たしており5)
腸腰筋が大腿骨を後内方に押し込むことにより骨盤接合力を
高めているともいえる。(腸腰筋は起始が横突起、停止が小転子直下なため)

脊椎と股関節の関係は関連因子として切り離せない問題であり
ともに評価をすることで運動連鎖からの症状を改善できる可能性も
でてくる。

1)福井勉:力学的平衡理論,力学的平衡訓練,山嵜勉編:整形外科理学療法の理論と実際,172-201,メディカルビュー社,2002
2)Offierski CM,Macnad I:Hip-spine syndrome.spine8:316-321,1983
3)姫野信吉:剛体バネモデルによる股間節骨頭合力の推定について.関節の外科18:1-6,1995
4)後藤栄司:腰部変性後彎と股関節症‐股関節周囲筋活動の測定から‐.関節外科23:56-61,2004
5)津村弘,他:股関節の3次元接触圧分布について.159-162,1983
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Category: 運動連鎖による影響

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2010-10
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