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理学療法の評価と治療

理学療法に関連する臨床・研究・教育と評価・治療について書いていきたいと思います。

2010年11月の記事一覧

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可動域制限の因子 関節性② 

関節可動域制限は骨格筋による影響を受けるが
その他に影響として関節構成体による可動域制限がある1,2)。これは不動の変化により滑膜の増殖・癒着関節包の線維化
あるが責任病巣としては関節包の影響が大きい3)。
これらは不動により関節内組織の増殖や関節包の線維化また
GAG、ヒアルロン酸、水分量減少などが関与することが
観察されている4-8)。
しかしmatsumotoらによれば時間的による影響では
不動2週間で滑膜内膜の細胞増殖。
4週間で線維成分の増加。
4週以降は組織増殖はなく関節包の線維化によるもののみ9)としている。

つまり4週以前滑膜内膜線維成分などの組織の増殖があるが
4週以降には責任病巣を関節包の線維化中心になることを示している。
このことから炎症や不動期間をできるだけ改善しやすい4週間以内とし、
筋性の制限に留めておくことが重要と考える。
また4週以降に及んでしまった場合は責任病巣が骨格筋のみでなく
関節構成体も関わっていることに留意する必要がある。

1)岡本真須美,沖田実,加須屋茜,他:不動期間延長に伴うラット足関節可動域の制限因子の変化‐軟部組織(皮膚・ 筋)と関節構成体由来の制限因子について‐.理学療法学31:36-42,2004.
2)Trudel G,Uhthoff HK:Contractures secondary to immobility:is the restriction articular or muscular?
 An experimental longitudial study in the rat knee.Arch Phys Med Rehabil81:6-13,2000
3)沖田実:関節可動域制限‐病態の理解と考え方‐.三輪書店:134-135,2008
4)Evans BE,Eggers GWN,Butler JK,et al:Experimental immobilization and remobilization of knee joint.J Bo ne Joint Surg Am 42:737-758.1960
5)Thaxter TH,Mann RA,Anderson CE:Degeneration of immobilized knee joints in rats;histological and
 autoradiographic study.J Bone Joint Surg Am 47:567-585,1965.
6)Michelsson JE,Hunneyball IM:Inflammatory involvement in rabbit knee following immobilization and
 resulting in osteoarthritis.Scand J Rheumatol 13:273-281,1984.
7)武村啓住,細正博,由久保弘明,他ラット膝関節2週間固定後の拘縮に対するストレッチが関節構成体に及ぼす病理 組織学的影響.理学療法学31:76-85,2004
8)Akeson WH,Woo SL,Amiel D,et al:The connective tissue response to immobility:biochemical changes in
 periarticular connective tissue of the immobilized rabbit knee.clin Orthop Relat Res 93:356-362,1973
9)Matsumoto F,Trudel G,Uhthoff HK:High collagen typeI and low collagen typeⅢ levels in knee joint
 contracture:an immunohistochemical study with histological correlate.Acta Orthop Scand 73:335-343,
 2002
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Category: 可動域制限

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関節モビライゼーション 

関節モビライゼーション(Joint mobilization)は
紀元前から世界各地で民間療法として継承。
1950年頃CyriaxKaltenbornMaitlandにより
理学療法に浸透する。
理学療法の1分野である徒手療法(Orthopedic Manual Therapy:OMT)
では過小運動性・低可動性(Hypomobility)の治療手技となっている。

現在世界理学療法士連盟(WCPT)の傘下組織である
国際整形徒手療法連盟(IFOMT)教育認証基準を満たす
モビライゼーションは
 ・NS:Nordic System=Kaltenborn-Evjenth-Concept
 ・Australian Approach=Maitland Concept
の二つである1)。

現在モビライゼーションの効果については
まだ研究の余地があるが臨床経験上は、
骨格筋の制限以外の拘縮ではモビライゼーションによる
介入が可動域制限改善に不可欠な印象を受ける。
骨格筋のみの制限では筋に対するアプローチや通常のROMexで
十分対応は可能な印象である。

いずれにしても可動域制限や痛みの原因・責任病巣により
アプローチは変えるべきである。

1)奈良勲 他:系統別・治療手技の展開.協同医書出版社,p300,2007.
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Category: 可動域制限

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長さ-張力の関係 

筋力は筋線維の収縮開始時の筋の長さ
直接的に関係がある。

収縮開始時の筋の長さが長い 
 アクチンとミオシンフィラメントが離れ過ぎ
 重なったフィラメント部分が少ないため、
 筋の張力弱い

収縮開始時の筋の長さが短い
 アクチンとミオシンフィラメントが近すぎ
 重なったフィラメント部分が多すぎて、
 筋の張力限られる

筋力に必要な筋収縮アクチンミオシン
移動距離が関係するため、
筋は長すぎても短すぎてもダメで、適度な長さが
必要になってくる。
臨床的にも姿勢の変化で筋出力が変化することは
非常に多い。
筋肥大や神経的な改善より早期に筋力を高める方法として
姿勢アライメント考慮してみるのも一つの選択肢である。
良好な姿勢アライメントは適度な筋の長さを生み、
筋力も発揮しやすくなる。

1)Thibodeau GA,Patton KT:Anatomy &Physiology,4e,St Louis,1999 Mosby
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ストレッチによる効果 

ストレッチによる効果時間・頻度・強度など
報告は多数されている。

ストレッチに関して効果なし1,2)とするものや
筋損傷を誘発する3,4)という否定的な意見も多い
マウスの実験においては拘縮進行の抑制に
効果あり
5-8)とするものがあるも
いずれも30分以上というものが目立つ。

肯定的なもので健常成人による研究では
時間は30秒と1分。15秒と2分で同等の改善。
60秒以上でも有用性は変わらないということで
約30秒程度が推奨されていることが多い。
頻度最低週2回
強度は高いと筋損傷を誘発する。
低強度ほど長時間痛みなく伸張できるとされている。

しかしマウスや健常成人を対象にしているものが多く
拘縮や他の組織制限を有す患者に直接当てはめることは
できない。
どの病態かというサブカテゴリーも現在のところ不明瞭
報告も多く、まだまだ議論の余地はあると言える。
そのことから評価効果判定による臨床判断が重要になってくる。

1)Harvey L,Herbert R,Crosbie J:Does stretching induce lasting increases in joint ROM? A systematic
 review.Physiother Res Int 7:1-13,2002
2)Moseley AM,Herbert RD,Nightingale EJ,et al:Passive stretching does not enhance outcomes in patients
 with plantarflexion contracture after cast immobilization for ankle fracture:a randomized controlled  trial.Arch Phys Med Rehabili 86:1118-1126,2005
3)Stauber WT,Miller GR,Grimmett JG,et al:Adaptation of rat soleus muscles 4wk of intermittent strain.
 J Appl Physiol 77:58-62,1994
4)Stauber WT,Willems ME:Prevention of histopathologic changes from 30 repeated streches of active rat
 skeletal muscles by long inter-stretch rest times.Eur J Appl Physiol 88:94-99,2002
5)Williams PE:Use of intermittent stretch in the prevention of serial sarcomere loss in immobilized
 muscle.Ann Rheum Dis 49:316-317,1990
6)中田彩,沖田実,中居和代,他:持続的伸張運動の実施時間の違いが関節拘縮の進行抑制効果におよぼす影響-マウス における実験的研究-.理学療法学 29:1-5,2002
7)沖田実,中野治郎,吉田大輔,他:持続的他動運動(CPM)による拘縮の予防効果-ラットヒラメ筋の筋膜コラーゲン線 維網の形態変化から-.日本物理療法学会誌12:61-66,2005
8)西田まどか,沖田実,福田幸子,他:持続的伸張運動と間歇的伸張運動が拘縮と筋線維におよぼす影響-関節固定と後 肢懸垂法を組み合わせたラットの実験モデルによる検討-.理学療法学 31:304-311,2004
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Category: 治療

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深層筋と腰痛 

腰痛の生じる患者は深層筋遅延弱化1-3)が関係することは
知られてきている。
特に腰痛に関わる深部筋としては
 腹横筋(TrA:transversus abdominis)
 多裂筋(Mf:multifidus)

が重要でこれらの習慣的活性化4,5)が課題となる。

習慣的活性化には意識集中が重要であり
感覚によるフィードバックを利用することが鍵になる。

深層筋の活性化トレーニング方法には
様々なものが開発6)されたが、機能回復の変化においては
超音波バイオフィードバック7-12)が一般的である。
しかし高価なもので実用性が難しい場合、
圧力バイオフィードバック装置のスタビライザーが有用13,14)である。

深層筋は腰痛の改善に重要であるが、深部にあるため定量的な変化を
観察するところが難しい点がある。
ただ外部から評価することも大事だが本人が自覚的に活性化を促すことができるかや
腰痛のコントロールができている実感などが時間の経過とともに大事になってくる。

1)Hides,JA,Richardson,CA,Gwendolen,AJ:Multifidus muscle recovery is not automatic after resolution of
 acute,first-episode low back pain.Spine 21(23):2763,1996.
2)Hodges,PW,Richardson,CA:Delayed postural contraction of transversus abdominis in low back pain
 associated with movement of the lower limb.J Spinal Disord11(1):56,1998.
3)O'Sullivan,P,Twomey,L,Allison,G,et al:Altered patterns of abdominal muscle activation in patients
 with chronic low back pain.aust Physiother 43(2):91,1997.
4)Bonbi,BA,Drinkwater-Kolk,M:Functional stabilization training.Workshop notes,Northeast Seminars,
 October 1992.
5)Mrgan,D:Concepts in functional training and postural stabilization for the low-back injured.TopAcute  Care Trauma Rehabil 2:8,1988.
6)Richardson,C,Hodges,J:Therapeutic Exercise for Lumbopelvic stabilization:A Motor Control Approach
 for the Treatment and Prevention of Low Back Pain,ed 2.Churchill Livingstone,Philadelphia,2004.
7)Hodges,PW,Richardson,CA:Contraction of the abdominal muscles associated with movemnet of the lower
 limb.Phys Ther 77(2):132,1997.
8)Hodges,PW,Richardson,CA:Feedforward contraction of transversus abdominis is not influenced by the
 direction of arm movement.Exp Brain Res 114:362-370,1997.
9)Henry,SMWestervelt,KC:THe use of real-time ultrasound feedback in teaching abdominal hollowing
 exercise to healthy subjects.J Orthop Sports Phys Ther 35(6):338-345,2005.
10)Hides,JA,Richardson,CA,et al:Ultrasound imaging in rehabilitation. Aust J Physiother 41:18-193,1995.
11)Hides,JA,Richardson,CA,Jull,GA:Use of real-time ultrasound imaging for feedback in rehabilitation.
 Manual Ther 3:125-131,1993.
12)Teyhen,DS,Miiltenberger,CE,Deiters,HM,et al:The use of ultrasound imaging of the abdominal drawing
 in maneuver in subjects with low back pain.J Orthop Sports Phys Ther 35(6):346-355,2005
13)Hodges,PW,Richardson,CA,Jull,G:Evaluation of the relationship between laboratory and clinical
 tests of transversus abdominis function.Physiother Res Int 1(1):30,1996.
14)Storheim,K,Bo,K,Pederstad O,Jahnsen R:Intra-tester reproducibility of pressure biofeedback in
 measurement of transversus abdominis function.Physiother Res Int 7(4):239-249,2002.
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Category: 腰椎

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深層筋の活性化 

深層筋の活性化に関しては様々な方法が
提案され臨床で用いられるとともに
研究もすすめられてきた。

一般的なものとしては
①引き込み法(drawing-in maneuver)
 へそを脊椎に向け引き込む。
②腹筋固定法(abdominal bracing)
 腹筋を固定したままウエスト周囲を外側に広げるように
 収縮させる。
③骨盤後傾
 骨盤を後傾させるように動かし腰椎を平坦化させる。

この中でも①引き込み法腹横筋・多裂筋
共同で活性化させる1,2)のに最も適している。
また腹腔内圧も増大することで最も推奨されている。

声かけに関してはいろいろ試してみたが
へこませようとすると、腹横筋より腹斜筋の収縮
強くなりやすい。
ゆっくり長く息を吐くように促し
自然とへこむ感じを認識してもらう。
そうすることで腹斜筋を入れずに腹横筋を
活性化することができる。
腹斜筋が収縮しても腹横筋も
同時に収縮することも多いのだが
腹斜筋は白筋の割合が多く遅発性筋痛が生じやすい。
モチベーションの低下につながるリスクもあるため
腹斜筋は入れないよう練習したほうがよいと考える。

腹横筋収縮して片脚を挙げるのと、
腹筋をどこも入れずに緩めて挙げるのでは
下肢の力の入るスピード、力の入りやすさ、脚の軽さなどの
感覚に違いをを感じると思う。
これが体幹が固定されることにより下肢筋の力が逃げずに
的確に伝わっているということである。
これにより四肢の筋の収縮が少なくてもパフォーマンスを
得ることができる。
また練習後座位をとると
良い姿勢が楽にできる感覚があると思う。
これを実感してもらうことで患者はこの運動の効果を
認識することができる。

練習の進め方だがまず呼吸法を利用しへこむ感覚
認識してもらう。
次にへこんだ状態で通常の呼吸がでいるようにし、
30秒~40秒へこまし続けるようにする。
それが可能になってきたら上肢を動かしたり下肢を動かしたりして
四肢との協調を促していく。
協調ができたら実際のパフォーマンスに近い姿勢や動作
近づけていき新たな運動を作り上げていく。

この深層筋の活性化は運動を作り上げていくうえで
基礎となるものである。
しかしながら腰痛患者では活動性が低下していることも多く
それが四肢の筋の過剰な収縮につながり、
障害を波及していくことも少なくない。
そのため幅広い対象者に適応することができるのでは
なかろうか。

1)Hodges,PW,Richardson,CA,Jull,G:Evaluation of the relationship
 between laboratory and clinical tests of transversus abdominis
 function.Physiother Res Int 1(1):30,1996.
2)Richardson,C,Jull,G,et al:Techniques for active lumber
 stabilization for spinal protection:a pilot study.
 Aust J Physiother 38:105,1992.
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Category: 腰椎

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屈筋と伸筋の感度指数 

屈筋伸筋腰痛の感度指数になるという1)
67例の5年間の追跡調査では伸筋が弱いほうが
腰痛の発症率が高い2)とのこと。

腰部は伸筋が弱いと屈曲位となりやすく、
椎間板症や腰部伸筋群の過緊張、
椎間関節の関節包短縮などを誘発しやすくなる。
また前彎が減少することで腰部のストレスが約3倍となる。
不良姿勢ともなりやすく、以下に腰部伸筋群を促通しておくかは
腰痛予防を考える上では留意する必要がある。

1)Takemasa,R,Yamamoto,H,Tani,T:Trunk muscle strength in and
 effect of trunk muscle exercise for patients with chronic
 low back pain.Spine 20(23):2522-2530,1995.
2)Lee,FH,Hoshino,Y,Nakamura,K,et al:Trunk muscle weakness
 as a risk factor for low back pain.spine24(1):54-57,1999.
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Category: 腰椎

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脳による姿勢対応と老化 

老化により脳では皮質の委縮細胞の脱落が生じ、
伝達物質の低下が起こる。
姿勢対応に関しては基底核や皮質下の構造に生じる異常のほうが
重要になる1)

老化では情報の速い識別統合そして運動制御が困難となり、
姿勢対応に影響を及ぼす2)ことになる。
姿勢対応には速さと正確性の2種類が特に重要であるが
速い対応のほうが難しいようである。

急ぐことで転倒のリスクは高くなることが多い。
トイレに行く時、家のチャイムが鳴った時、電話が鳴った時など
通常より速いテンポで動くことでこれらの姿勢対応が
難しくなる。
要するに実際の「足」と頭の中の「足」が誤差を起こすのである。
また白筋の委縮や神経伝達速度から考えても
速く動くことに関しては不利なことが容易に推測できる。

いかにいつものペースを乱さずに動けるか。
逆にいえばいつも通りの生活をし、乱さなければ
転倒は防げるものも多いのかもしれない。

1)Duthie E,Jr.Falls:Med Clin N Am;73(6):1321-1335,1989.
2)Alexander N.P:Postural control in order adults.J Am
 Geriatric Soc;42(1);93-108,1994.
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筋筋膜性疼痛症候群 

筋筋膜性疼痛症候群(MPS:Myofascial Pain Syndrome)
アメリカでは Chronic Myofascial Pain (CMP)と
病名を変更する動きもある。

歴史としては
・1983年にTravellSimons
 『Travell & Simons’ Myofascial Pain and Dysfunction:
 The Trigger Point Manual
』にて発表1)
・同時期にチェコスロバキア共和国のJanda2,3)とLewit4-6)が筋筋膜トリガーポイントに対する
 代替治療と等尺性収縮後弛緩を発表。
・1990年初頭Hubbard7,8)は筋筋膜トリガーポイントで見られる筋電図活動の特徴を発表。
・SimonsとHong9-11)が病態生理学の結論を導き出す。
・1990年にDr.David G. Simons12)が筋筋膜性疼痛症候群の
 診断基準を発表する。

有名な事例ではケネディー大統領は椎間板ヘルニアと診断、
手術をしたが、症状が改善せず、脊椎固定手術をし症状はさらに悪化。
当時主治医となったDr.Janet G. Travelが筋筋膜性疼痛症候群と診断、
トリガーポイント注射などにより症状が大幅に改善した事例がある。

Dr.David G. Simonsが発表した
トリガーポイントの識別基準

必須基準
1.触診可能な筋肉の場合、そこに触診可能な索状硬結があること。
2.索状硬結に鋭い痛みを感じる圧痛点(部位)があること
3.圧痛点を押した時に、患者が周辺部分を含む現在の
 痛みは圧痛点から来ていると感じること。
4.痛みにより体の可動範囲に制限があること

確認すべき観察事項
1.目視可能または、触診でわかる局所的な単収縮
(筋肉の収縮)が所見できるか?
2.針を圧痛点に刺すことにより、局所的な
 単収縮が所見できるか?
3.圧痛点を圧迫することにより、周辺筋肉で痛みや
 痛みでは無いが何らかの感覚を感じるか?
4.索状硬結の圧痛点における自然状態での電気活動を
 観測するために、筋電図を取得、観察する。

痛みが長期化している場合や、デルマトームに沿わない感覚障害や
髄節と一致しない筋力低下などがある場合は
筋筋膜性疼痛症候群であることは少なくない。

硬く凝り固まったしこりのようなもので
押すと痛みが他の部位に広がる感覚(関連痛)がある。
これがいつも出る痛みと再現性があれば筋筋膜性疼痛の可能性が
高まる。
関連痛のメカニズムは内臓痛と同じといわれている。
お腹の痛みが腰の痛みに感じるようなもの。
melzackによると東洋医学のツボと72%程度一致する。

1)Travell JG,Simons DG,Myofascial Pain and Dysfunction:
 The Trigger Point Manual Vol 1.Baltimore,Md:
 Williams & Wilkins;1983.
2)Janda V.Muscle strength in relation to muscle
 length,pain and muscle imbalance.International
 Perspectives in Physical Therapy.New York:Churchill
 Livingstone;1993;8:83-91.
3)Twomey L,Janda V.Physical Therapy of the Low Back:Muscles
 and Motor Control in Low Back Pain:Assessment and
 Management.New York:Churchill Livingstone;253-278.
4)Lewit K.Manipulative Therapy in Rehabilitation of
 the Locomotor System.Oxford,England:Butterworth-Heinemann;1999.
5)Lewit K.The needle effect in the relief of
 myofascial pain.Pain.1979;6:83-90.
6)Lewit K,Simons DG.Myofascial pain:relief by
 postisometric relaxation.Arch Phys Med Rehabil.
 1984;65:452-6.
7)Hubbard DR,Berkoff GM.Myofascial trigger points
 show spontaneous needle EMG activity.Spine.1993;18:1803-7.
8)McNulty WH,Gevirtz RN,Hubbard DR,Berkoff GM.Needle
 electromyographic evaluation of trigger point response
 to a psychological stresssor.Psychophysiology.1994;31:313-6.
9)Hong CZ.Pathophysiology of myofascial trigger point.
 J Formos Med Assoc.1996;95:93-104.
10)Hong CZ,Kuan TS,Chen JT,Chen SM.Referred pain
 elicited by palpation and by needling of myofascial
 trigger points:a comparison.Arch Phys Me Rehabil.1997;78:957-60.
11)Hong CZ,Simons DG.Pathophysiologic and electrophysiologic
 mechanisms of myofascial trigger points.Arch
 Phys Med Rehabil.1998;79:863-72.
12)Travell JG,Simons DG,Myofascial Pain and Dysfunction:
 The Trigger Point Manual - Upper Half of Body.
 Baltimore,Md:Williams & Wilkins;1999.
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Category: 痛み

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トリガーポイントと関連痛 

トリガーポイント(TrP:Trigger Point)とは
筋肉内に限局した硬い部位があり、
そこを圧迫することで遠隔部深部
異常感覚を生じる(関連痛)痛覚過敏部位をいう。
そしてこれが原因で痛みを生じるものを
筋筋膜性疼痛症候群という1-5)

圧迫によりピストルの引き金を引き、
異常感覚の出現が弾丸が離れたところに命中する
といったことが名前の由来とされている。

関連痛(RPP:Referred pain pattern)
上記のとおり遠隔部深部
疼痛は生じさせる。そのため痛い部位には問題がなく
離れた部位に問題があるということが起こる。

関連痛は大脳での認知を誤る6-10)という理論もあるが
神経生理学的には内臓の関連痛と同様に説明できる。
それは脊髄内第2次感覚神経細胞が痛覚過敏状態となることで
第2次細胞に連絡している別の皮膚部に痛みを感じるという
ものである。
これには筋痛覚線維と皮膚痛覚線維がともに
脊髄後角の侵害受容ニューロン、
延髄尾側部の三叉神経性侵害受容で
収束することが関与している3,4)
トリガーポイントが出現しやすい部位は姿勢に関与する筋や
四肢の筋に多い11)

頭部:側頭筋
体幹:腰方形筋
上肢:僧帽筋、肩甲挙筋、棘上筋、棘下筋
下肢:大殿筋、中殿筋、梨状筋、大腿筋膜腸筋、大腿四頭筋、
   腓腹筋

また関連痛のパターンは147通りあるとされる。
パターンとしては
 1.末梢パターン(中心から遠隔部へ)
 2.中枢パターン(中心に近づく)
 3.局所パターン
があり、内訳としては
 1.末梢パターンが48%。
 2.中枢パターンが5%。
 3.局所パターンが10%。
 1.末梢パターンと2.中枢パターンの混在が20%。
 2.中枢パターンと3.局所パターンの混在が17%となっている12)

1)Simons DG et al:Myofascial Pain and Dysfunction,
 The Trgger Point Manual,Vol.1,Upper Half of body,2nd ed,
 Williams & Wilkins,Baltimore,1999.
2)Travell JG et al:Myofascial Pain and Dysfunction,
 The Trgger Point Manual,Vol.2,The lower Extremities,
 Williams & Wilkins,Baltimore,1992.
3)荻島秀男 訳(Cailliet R):軟部組織の痛みと機能障害,
 原著第3版,医歯薬出版,東京,pp.69-96,1998.
4)伊藤文雄:筋感覚研究の展開.協同医書出版社,
 東京,pp.33-103,2000.
5)Nyberg R:Clinical assessment of the low back:
 active movement and palpation testing.In:Rational
 Manual Therapies,Basmajian JV et al eds,Williams
 & Wilkins,Baltimore,pp.97-140,1993.
6)Cyriax J:Textbook of orthopaedic medicene,Vol 1,
 Diagnosis of soft tissue lesions.Bailliere Tindall,
 London,1984
7)Magee DJ:Orthopedic Physical Assessment 3rd ed,
 pp 1-52,W.B.Saunders Company,Philadelphia,1997
8)Lynch MK et al:Pain.In:Managemnet of Common,
 Musculoskeletal spine and thoracic inlet.In:
 Orthopaedic Physical Therapy,2nd ed,Donatelli
 RA et al eds,Churchill Livingstone,New York,
 pp.77-122,1994.
9)Stratton SA et al:Dysfunction,evaluation,and
 treatment of the cervical spine and thoracic
 inlet.In:Orthopedic Physical Therapy,2nd ed,
 Donatelli RA et al eds,Churchill Livingstone,
 New York,pp.77-122,1994.
10)Grieve GP:Referred pain and other clinical
 features.In:Grieve's Modern Manual Therapy,2nd ed,
 Boyling JD et al eds,Churchill Livigstone,Edinburgh,
 pp.271-292.1994.
11)望月 久,山田茂(編):筋機能改善の理学療法と
 そのメカニズム-理学療法の科学的基礎を求めて-,
 pp97,ナップ,212)Simons DG et al:Myofascial Pain and
 Dysfunction,The Trgger Point Manual,Vol.1,Upper Half
 of body,2nd ed,Williams & Wilkins,Baltimore,1999.
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Category: 痛み

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腰痛手術とFBSS 

腰痛の手術を行っても痛みが持続し、
他の治療法も効果がないものを
FBSS:Failed Back Surgery Syndromeという。

第17回米国疼痛学会(AAPM)年次集会では
FBSSについて議論が行われた。

ジョンズホプキンス病院フラウステイン
疼痛センター所長、脳神経外科の
James N.Campbell教授
は手術による神経圧迫の解除は
取り組みやすく発展してきた。
圧迫による神経根障害や坐骨神経痛は術後90%
改善する。しかし明らかな圧迫や神経障害のない
患者の改善は60~70%まで低下する。
問題は後者の患者である。手術に価値はあるも
必ず素晴らしいものとも言えないとしている。

ノースクロライナ疼痛医療センターのLynn Johnson所長
手術を受けた10~40%FBSSとなる。
手術の前段階で保存治療(注射による治療・理学療法・カイロプラティック)
を試みようとする外科医は少ない。
手術に比べ保存療法が劣っているわけではない
手術した群していない群5年後の予後同じ
手術を行わなければ手術費の節約と手術した群の同程度の
具合であるのが明確だと語っている。

マイアミ大学総合疼痛・リハビリテーションセンターの
Hubert L.Rosomoff博士
は最初の患者評価が不十分なことが多く、
多くの症例では痛みの根源が脊椎神経でなく筋肉靭帯であると
述べている。

画像所見と臨床所見が一致しないことは多い。
画像所見は腫瘍骨折などの鑑別診断には非常に有効。
神経圧迫についてもある程度の示唆を与えてくれる。
しかし神経圧迫のない症例デルマトーム・腱反射・
筋力低下が一致しない患者神経根の問題が起きていない
腰痛患者
のほうが多い
このような患者はまず保存治療中心に行い
改善するかどうかをまず見極める必要がある。

これに関しては私たち理学療法士評価アプローチ
求められるのではなかろうか。
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Category: 腰椎

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腹部筋群の考察 

腹部筋に対するトレーニング法はいくつかあるが
どの方法がどの筋に効くのか実際にEMG試験により
明らかにしているものがある。

カールアップ
 活動高い:腹直筋
 活動低い:腹斜筋、腹横筋、腸腰筋

シットアップ
 活動高い:腹直筋、腹斜筋、腸腰筋

ハンギングレッグ・レイズ
 活動高い:外腹斜筋

背臥位片脚上げ
 活動高い:腹横筋
 
背臥位両側脚上げ
 活動高い:腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋

不安定な面でのカールアップ
 活動高い:腹直筋(通常のカールアップの2倍)、
      外腹斜筋(通常のカールアップの4倍)

ちなみににシットアップハンギングレッグレイズ
背臥位両側脚上げ脊椎の負担大きいため、
腰痛患者には注意が必要である。

また腹筋の活動低下より背筋の活動低下のほうが腰部障害
引き起こすリスクは高い点に注意が必要である。

1)Andersson,EA,Nilsson,J,et al:Abdominal and hip
 flexor muscle activation during various training
 execises.Eur J App Plysiol 75:115-123,1997.
2)Lehman,GJ,McGill,SM:Quantification of the differences
 in electromyographic activity magnitude between the upper
 and lower prtions of the rectus abdominis muscle during
 selected trunk exercises.Phys Ther 81(5):1096-1101,2001.
3)McGill,SM:Low back exercises:evidence for improving
 exercise regiments.Phys Ther 78(7):754,1998.
4)Vera-Garcia,FJ,Grenier,SG,McGill,SM:Abdominal muscle
 response during curl-ups on both stable and labile surfaces.
 Phys Ther 80(6):564,2000.
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Category: 腰椎

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FBSSの頻度 

FBSS(Failed Back Surgery Syndrome)
腰痛の手術を行っても痛みが持続し、
他の治療法も効果がないもの。

いくつかの文献があり報告は様々であるが
腰椎術後において5~50%にFBSSが発生する。

米国では年間37500名のFBSSが発生している。

Rishらは文献上15000名の椎間板手術において
20%が改善がないとしている。

Waddellの手術回数との比較では
 2回目の手術 40~50%改善   20%は悪化
 3回目の手術 20~30%改善   25%は悪化
 4回目の手術 10~20%改善   45%は悪化

手術による改善は患者が最も望んでいる帰結である。
しかしながらそれにより必ずしも最良の結果が得られないことも
考慮する必要がある。
馬尾症候群でなければ腰痛の場合、緊急的なオペは必要ない。
保存的治療でいかに本人の不安を軽減できるか。
それは今後の人生に関わる大きなものとなる。

渡辺和彦 他:エピドラスコピーの適応と禁忌.Pain Clinic Vol22 No.12,2001.
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Category: 腰椎

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EBMと科学的根拠 

EBM(Evidence-Based Medicine)
科学的根拠に基づいた医療と訳されることが多いが
科学的根拠に基づいた医療というのは
これだけではない。

 ・臨床ガイドライン→学会等の疾患や病態に対する治療方針。
 ・クリティカル・パス→病院内などのチームの指標。
 ・EBM        →個々の患者に対する適用根拠
             最善の外的エビデンスを個々の患者に
             適応すること。

EBMの登場には1948年の結核に対するストレプトマイシンの
ランダム化比較試験の影響が大きい。
その後1991年のカナダ・マクマスター大学で概念が確立された。

EBMの確立で根拠が変わったわけでなく、根拠の集め方使い方
変わった。そしてEBMは情報処理手法のひとつであることを
留意する必要がある。

情報は作る伝える使うの3段階ある。
EBMは伝える使うを集中することができ
効率的に実践可能な情報を提示してくれる。
標準的な医療の提供ではないが個別の患者強調文
最善の医療を提供することを目的としている。

EBMのPT介入の難しさとしては
①運動療法などは二重盲試験が困難。
 RCTの統制と介入前後のRCT維持の配慮が必要。
②目標の多様性
 機能改善のみならず安定性の確保などが目標となる場合もある。
 満足度を満たされない可能性もある。
③定量化が困難
 回数・時間だけでなく量の設定には質も加わる技能的な要素が
 加わる。
④PTのデータは歴史が浅く絶対量が少ない
⑤PTの評価・記録に統一基準がない

などが挙げられている。

EBMという言葉は論文や臨床でも目や耳にすることは多くなっている反面、
言葉だけがひとり歩きしている感がある。
ただ論文があればいいというわけでなく、いかに個々の患者に合った
情報に加工し使っていくかが重要である。

PT分野でもただ直感経験に頼ったものでなく
効果の高いものを提供するという点は大切なことである。
根拠が全てというわけではなく根拠をいかに使って効率よく
患者に合わせていくか
ということが本質である。
また最近ではこういったサイエンスのみならず、
アートな部分として患者の物語と対話を大切にしていこうとする
NBM(Narrative-Based Medicine)の重要性も指摘されている。
相手の思いという物語に対して手伝っていくというプロセスを
踏むことで満足度を高めたり自立を促したりする効果も
期待できるのではなかろうか。

1)丸山仁司 他:考える理学療法士 評価から治療手技の選択,文光堂,
 1-9,2004.
2)内山靖:[エディトリアル]EBMと理学療法,PTジャーナル35:311-313,
 2001.
3)李 啓充:アメリカ医療の光と影,医学書院,2000
4)武田裕子:エビデンスに基づいたガイドラインがあればEBMは
 十分おこなえるという誤解,EBMジャーナル1:48-53,2000
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Category: 研究

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EBMの実践 

科学再現性妥当性が重要である。
再現性とはばらつきが少ないこと。
妥当性とは結論の関係性や一般化である。
研究にはバイアスという偏りを最小にすることが
求められる。

具体的には患者の問題をまず明確にする。
個別の情報として①年齢②罹病期間③重症度
④服薬⑤体型⑥手術の希望などがあるが
絞り込みすぎると件数は一気に減少してしまう。

カテゴリ分けとしては
①効果②副作用③診断④予後⑤危険因子
のどれに当たるのか。
それに対して

患者(patient)→何をすると(exposure)
→何に対して(comparison)→どうなるか(outcome)


という順になる。
例としては

患者:腰痛患者→何をすると:運動療法
→何に対して:何もしないのに対し→どうなるか:症状が軽減する

このようにEBMの臨床応用では
 ①問題の明確化
 ②情報の収集
 ③情報の吟味
 ④患者の適応
 ⑤プロセスの評価

という順序で行われ判定していく。

科学化・言語化することでいかに経験の差を
埋め合わせることができるか。
また経験という要素が今の患者に当てはまっているのか
などを判断する材料として用いることができる。

しかし医学医療の大きな違いは「人」という
デジタルではないアナログな存在である。
数値化できない繊細な技術が人と人の間に
介入し影響を与える。
医学を用いて医療を支える。
医学が絶対という考えでなく医学は人を助けるための
道具のひとつ
であることを忘れてはならない。

1)縣俊彦:EBM臨床医学研究の方法論.中外医学社,1999.
2)下坂充:EBPTにおけるデータベースの活用法.理学療法
 18(11):1036-1042,2001.
3)野崎貞彦他:EBMワークブック.医歯薬出版,1999.
4)福井次矢:EBM実践ガイド.医学書院,1999.
1)丸山仁司 他:考える理学療法士 評価から治療手技の選択,
 文光堂,1-9,2004.
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Category: 研究

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文献検索 

情報を収集するためには
文献を検索することが必要である。
情報と文献検索に役に立つサイトをいくつか紹介する。

EBM関連
 PEDro、Cochrane Library

医学文献データベース
 Medline、Cinahl、Embase

和文文献データベース
 日本医学中央雑誌

理学療法学
 Jステージ

多くの論文を読むことで論文の良し悪しを判断できるようになり、
文章の中の微妙なニュアンスを感じ取ることもできてくる。
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Category: 研究

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総説 

総説には2種類あり
一般的な総説系統的な総説に分かれる。

一般的な総説では
 研究者の意見。
 研究者の知識・経験を基に文献を紹介しながら
 結論をまとめる。→客観性に乏しい

系統的な総説では
 文献選択の方針と質の評価システムを行い
 それらを結合し目標とする結果を導く。→客観性が高い

系統的な総説は客観性が高い反面
群、介入法、転帰の測定が異なるものをまとめることになるため
非常に困難になる。
これを可能にするのがメタ・アナリシス(meta-analysis)である。
これにより結果の集積を全体で行い結論を出す。

これには集計結果の利用として
 相対危険度・オッズ比・リスク差

個別のデータの再分析として
 D&L法・Peto法

これらがある。文献には作る側の主観が入るため
どうしてもデータにバイアスが生じやすい。
一般的な総説の場合、基本的には研究者の意見であることから
いくら多くの文献が載っていたとしても
それを鵜呑みにするだけでは客観的であるとは言えない。
できれば反対意見の論文も吟味する必要がある。
また系統的な総説ではより客観性の高い情報となるが
目の前の患者に当てはまるかどうかはまた違う次元の話となる。
可能性の高いものを選択することはできるが
それが絶対ではないことに留意する必要がある。

評価による効果判定が必要なことは言うまでもないが
患者のニードや心情も理解することが
医学と医療の大きな違いである。
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Category: 研究

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病期による治療手順 

組織が障害されたとき
まず炎症が生じ強い痛みが発生する。
やがて細胞による組織の治癒が進んでいくと
少しずつ痛みは軽減してくる。

程度が軽い場合再び負担をかけなければ
炎症と筋の緊張・わずかな筋の短縮で済む。

1か月以上痛みが続いた場合、関節包の短縮や
心因性の問題も影響してくる。
また障害部位のみでなく代償動作により
他の部位にも負担がかかり障害はドミノのように広がっていく。

治療には回復の時期である病期が非常に重要であり、
刺激が強すぎる悪化し、弱すぎる効果がでない
刺激量はその病期に合わせたさじ加減が必要である。

Grimace sign(しかめ顔になる)が陽性の場合
細胞の修復が未完成であり、生理学的な要素がメインになる。
よって運動より安静の割合が多く、痛みの出ない範囲での
動き
が必要である。(日常生活程度
痛みの程度により可動域を改善させていく。

Grimace sign陰性の場合
細胞の修復は進んでおり、運動力学的な要素がメインになる。
これは組織の硬さが伸張痛を出現させることになり
安静より運動の割合が増えてくる
組織の回復は十分でないため、強い力を入れたり速い動き
避けたほうがよい。(生活関連動作程度
また運動量の増加は1週間に1割程度が目安となる。

このように病期によって、痛み→可動性→筋力→心理面(自信など)と
段階を上げていくことで安全なプログラム設定と
具体的な方法の指導が行うことができる。

ポイントは拘縮や他部位の障害を生じさせないために、
早め(できれば1か月以内)に痛みを軽減させることが必要である。

痛みが生じる状態で無理に動かしていくと
組織の生理学的な改善を阻害してしまうのでかえって
治癒が遅れてしまう。
またGrimace signが軽減したら動かしていくということが
大事になる。
このバランスを時期ではなく状態に合わせて行うことが
重要である。
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Category: 痛み

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物語を大切にする医療 

NBM(Narrative-Based Medicine)というものが
最近注目されている。
EBM(Evidence-Based Medicine)客観性
重視するため、患者との関係性を離してしまうという
側面がある。これが近代科学の盲点であり
デカルトからの心身二元論の延長でもあると言える。

NBMはまず患者を「語り手」とし、
病気を「1つの物語」とする。
ようするに病気人生の物語のひとつとし
医療は「医療者側の物語」とする。

そして「患者の物語」と「医療者側の物語」を
すり合わせ新たな物語形成していくということが
重要視される。
そのため「患者の物語」に傾聴し、
関係性を作っていく作業が問診となる。

例えば膝が痛いという中年の男性がリハ室に
来院したとする。
男性は「膝が痛いから何もできない。何もしていない。」
と言う。
いっしょにいた妻は
「そんなことない。この人は毎日歩いて止めればいいのに
木を切ったり動くばかりしている。」と言う。
PTは妻の言うように動きすぎることで負担をかけていると
考えると、患者の気持ちから離れてしまう。
またPTが家族・本人の気持ちは考えず膝に着目した場合、
膝は炎症を起こしていないから大したことはないという
話をするかもしれない。

何もできない。何もしていない。→夫
動くばかりしている。     →妻
膝に炎症はない        →PT

となりそれぞれ違う物語が存在することになる。
果たしてどれが正しいのであろうか。

ここで重要なのは唯一の正しい物語など
存在しないという社会構成主義の立場を
とることである。

夫の言うように以前と比べたら
何もできていないように
感じているのかもしれないし、
痛みの強い時は何もしていないかもしれない。
また妻の言うとおり動くばかりしていることが
負担になっているのかもしれない。
PTの考えるように炎症がないから大したことないのかも
しれない。

ここで患者の物語医療従事者の物語開きが生じている。
しかしどちらが正しいとは言えないという姿勢で
傾聴していくと実は近所の人が膝の手術をしたと聞いて
不安になっていた。とか同級生はすごく元気でそれと比べると
自分はそんなに動いていないと思っているとか、
去年の動きと比べるとほとんど動いていないとか
そういうものが見えてくる。
それによって不安な内容や具体的に困っている部分が
理解できニーズに合わせて方針を話し合うことができる。

ここでは客観性が正しいかを問わず
関係性をつくることに重きを置く。

流れとしては
1.物語の聴取
2.物語の共有
3.新たな物語の形成
4.評価による効果判定


実際の臨床現場では科学的・客観的に正しいというより
医療者側の物語として相対化されているのが現状。
客観性を求めることで効果は高めやすい反面、
患者の満足度は高められていないことも多い。

NBMEBMを車軸のように合わせることにより
患者の求める医療こちらの提供できる医療
合致し、質の高いアプローチが提供できるのかも
しれない。
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Category: その他

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経験とは 

新人の時は経験という差で負けたくない。
経験のせいにして逃げたくない。と思い
知識でカバーしようとしていた。
しかし知識と実践は似ても似つかぬもので
2次元と3次元のようにかけ離れたものだった。

そして経験により得られるものも多くあり
それを意識しながら臨床を行うことで
より成長を高められるのではないかと感じる。

経験には
検査・治療などの技能的な部分
知識・認知/思考・メタ認知などのリーズニング
分かれる。

技能的な部分では
・表情・声かけ
・触り方
・タイミング
・動かし方(質・量)
・止め方

数値化できないわずかな変化によるもの。
これらがフィードバックから
フィードフォワードに変わりながら
より他の部分に意識を向けながらコントロールされる。

リーズニングでは
・知識
 時間とともに様々な知識が記憶される。
 また臨床経験も知識として関わってくる。

・認知/思考
 知識をベースに推論を立てていくことができる。
 論文での解釈、他者からの助言、自己の経験などが
 関係する。
 ただ知識が少ない状態で認知/思考することで
 先入観が入りやすくなる。また自分に不利にならないものを
 選んでしまう傾向にある。

・メタ認知
 これは認知/思考を客観的にモニタリングすることである。
 自分の考えがある理論の肯定的立場か否定的立場か。
 その理論を選択することでのメリット・デメリット。
 そしてその理論が有効であるか否か。客観的に判断し
 選択する。
 知識があり思考が優れていてもメタ認知ができなければ
 誤った判断をすることが多い。

これらの経験的要素実践での反省
利己主義に陥らないことで生まれるものである。

自らをコントロールしながら他者のために力を発揮する。
それには多くの能力の向上が必要となり
時間的要素も必要になるのかもしれない。
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Category: その他

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理学療法士の評価 

理学療法士は他の医療従事者と比べ
一人の患者に対し多くの時間を費やし
評価・治療を行っていく。

それは求める広義の目標が
健康生活の質の向上というものであり、
それを知るためには
心理面・社会的背景・生活・家族など
患者特有の情報が必要不可欠となる。
それによりはじめて真の機能障害が明確になり
アプローチを行うことができる。

それらが明確になったら次に
評価(検査・測定・推論)を行い、
アプローチ効果判定を行い仮説の検証となる。
そしてこれら一連の流れが終了した後は
推論過程帰結(out come)カルテに記録
はじめて一つの業務となる。

非常に幅広い情報収集の中から真の機能障害
導き出すことがまず鍵になる。
ここが外れてしまうとその後のやることの意味が
ほとんどなくなってしまう。
また評価問題を明確化し、
治療により信頼性妥当性検証をすることが
第2の鍵になる。
これにより主観的評価客観的評価が結び付き
患者にとっての意味PTにとっての意味
はじめて一致する。
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Category: 評価

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不定愁訴 

不定愁訴は臨床でも度々遭遇する。
「あちこち痛い。」
「全身が痛い。」
「日によって痛みが変わる。」
「どこが痛いかわからない。」
など訴えが多彩で解釈が難しいこともある。
さてどうすればいいのか。

「時間が解決するからとりあえず片っ端から
アプローチしてみようか。」

「とりあえず傾聴していこうか。(でも時間がかかるかも?)」
そんな疑問を持ちながら進めることになるのも
多いのではなかろうか。

傾聴することで得られることとしては
患者も聴いてくれることで不平不満が解消され
さらに説明により安心する可能性がある。
自己の体のことを誤った解釈をし過度な不安を負っている
ことは多い。どういうことが起きていて、
どうすればいいのか。それがわかるだけでもずいぶん不安は
軽減
する。

また不定愁訴が多いからといって治療が難渋するとは限らない
なかなか改善しない場合や痛みの場所が変わる場合は
障害されている場所が多い場合に関連しあう関連因子)か
日常生活の負担が繰り返され障害を繰り返す増悪因子)場合も
多い。
適格な問診が可能であれば十分改善する可能性もある。

注意する点としては
医師PTの所見の相違を全面に出さない配慮が必要。
もし相違があったとしてもそれを伝えることで患者はより不安になり
信頼関係を損なうことにもつながる。
また家庭保険等の社会的問題は
不用意に聴かない方がよい場合もある。
それに対する何らかの発言がトラブルに関わってくる可能性もあるからである。

不定愁訴に関わる痛みに関してはいくつかの要素が含まれる。

発生源に関しては
 ・侵害受容性疼痛(体性痛・内臓痛)
 ・神経因性疼痛(末梢神経・自律神経・中枢神経)
 ・心因性疼痛

メカニズムに関しては
 ・機械的
 ・化学的(炎症・虚血)
 ・混合型

因子としては
 ・体調   ・記憶
 ・心理   ・性格
 ・信念   ・経済
 ・文化   ・宗教
 ・季節   ・天候

これらの組み合わせにより
症状の増減があり中枢レベルで修飾される。

傾聴することにより患者の不安を具体化し
不満の解消や説明による安心を得ることができる。
また因子の組み合わせを聴くことで知ることができるかもしれない。
行動的には痛み発言や行動を抑制し、
活動性の向上に対する強化刺激が大切になることもあるかもしれない。

患者の過程としての認知を重要にするか。
結果としての行動を重視するか。
目標設定や患者の求めるものに合わせた対処が必要になると考える。
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Category: 痛み

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心因性のアプローチ 

臨床で心因性の問題が示唆されることは多いが
どのように対応していけばいいのか
非常に混乱することがある。

この問題に対してはまだまだ多くの議論があり
研究もこれからのものも多い。
私が臨床で意識していることを書いていきたいと思う。

人はある事柄に対し
認知することで感情が湧きおこりそれを元に
行動を起こす。そしてその行動が新たな認知を起こし
という具合で人と環境(他者)の関係が形成される。

認知入力の役割を果たし
行動出力の役割を果たす。
そして感情そのものはそれらとの相互作用の影響を受けやすい。

よって感情は変えることが困難だが(薬物によるコントロールは可)
認知と行動により感情を変化させることができる。
そしてこれらは性格ではなく考え方の癖なので
新たな考え方に変えることは可能である。
(ただし本人が変えたいと言う気持ちは必要)

今回は認知と行動について述べていきたいと思う。
まず認知から。
まず何らかの事柄が目の前で起きた時
ポジティブに捉えることができれば
その事柄に対し良い解釈をする。もしくはその事柄を
問題視しない放っておくことができる。
財布のお金が5000円だったときに「あと5000円しかない。」
となれば問題となるが「まだ5000円ある。」と考えれば
問題にならずストレスにもならないということである。

ネガティブな解釈で問題視する場合、
さらにその対処の方法に精神的対処と現実的対処の二通りがある。
精神的対処ではその問題に対して直接の対処は行わず
ストレス発散することで心理状態を保とうとする。
食べる・しゃべる・買う・唄う・呑むなどである。
これにより精神的な余裕が生まれれば次の現実的対処につながり
易くなる。
現実的対処はその問題を具体的に解決するスキルであり、
何を解決すべきか。優先順位はどうなるか。
など具体的合理的に考える。
これは今までの知識や経験・自信などの影響を受けるため
人生経験の中で積み上げていくことが必要である。

日常生活ではポジティブシンキングで対応できやすいが
仕事では基本的に問題に対して意識を向けるため
どうしてもネガティブな解釈を生じやすくなる。
そこでうまく趣味などの楽しみを持っていれば
発散して精神的な余裕を作ることができる。
しかし趣味などがない場合、抑圧することが多くなり
身体や精神に悪影響を及ぼすことになる。

また精神対処がうまくても現実対処ができなければ
仕事でうまくやっていくことができない。
精神的対処で余裕ができたら今度は知識を身につけたり、
先輩などに相談し考え方を学んだりと実践の経験
つけていくことが必要である。
守りだけではいつかは崩れる。攻めも磨かなければ
生き残ってはいけないのである。

認知ではポジティブシンキングで
多くのものを問題視しない放っておくスキル。
またネガティブシンキングでは
対処が必要なときの自分の守り、逃げ道としての
自分の逃げ道、守りとしての趣味などの精神的対処。
余裕ができたら攻めとしての現実対処が必要である。

次に行動について。
人は楽とか楽しいことに動きやすく
嫌なことと苦手なことは拒否しやすい
性質がある。
そのため何らかの行動をしたとき
楽・楽しい    → 行動の強化
苦しい・しんどい → 行動の弱化
が生じる。そのため何か行動したときに
ご褒美があれば行動を強化しやすくなる。
誰かが褒めてくれたりとか、自分に対して
ご褒美を買ってあげたりすると行動が強化される。
また嫌なことだがこれをがんばればいいことにつながる。
という未来に対する楽しみも利用できる。
これらはドーパミンに関係するA10神経を
刺激する良い方法である。

このことから行動に対しては褒めることと注意すること
割合を8:2程度にすればよい。
褒めるとやる気は出るし、あまり注意されると
やる気はなくなる。
また自分での人生や仕事の設定を
好きなこと:苦手なこと8:2程度にすればよい。
好きなことなら伸ばしやすいけどそればかりでは
うまくいかない。苦手なことも2割程度なら
モチベーションを下げず行うことができる。

患者をやる気にさせるセラピストは
このあたりが非常にうまい。
注意ばかりして落ち込ませるのではなく
いかに良いタイミングで褒めるか。
目標設定して今やっている事をワクワクさせるものに
変えるかが大切である。

これらができることで
モノアミン系の脳内伝達物質に関わる
セロトニン・ノルアドレナリン・ドーパミンを
ある程度コントロールしていることになる。
またこれら感情に関わる脳内物質は睡眠や食事など
ライフスタイルが影響しやすいため
まずはそこからの修正も忘れることはできない。

これらの要素を自分自身でコントロールしていくこと。
また伝えることは心因性のアプローチでは非常に重要だと
私は考える。
これこそセラピストのアートな部分ではなかろうか。
サイエンスを用いながらアーティスティックなセラピスト。
非常に魅力的である。
ちなみに私は意識はしているもののまだまだ
わかっちゃいるけど・・・状態である。。。
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Category: 心因性

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評価のポイント① 

理学療法の評価において
聴く・診る・触るが大事である。

まず聴くでは
開かれた質問社会的な部分を聴きながら
徐々に閉ざされた質問能力障害機能障害
絞り込んでいく。
また絞り込みが終われば
 どこが?    → 解剖学
 どうしたとき? → 運動学
 どんな感じ?  → 生理学

により主要な因子を絞り込む。

(例)
PT 「何が一番困ってますか?」
患者「仕事の荷物の運搬と趣味の釣りができんのが困る。」

PT 「具体的に仕事や趣味でどの姿勢や動きがしんどいですか?」
患者「中腰がきついなあ・・・。あと長時間座っとくのもこたえるわ。」

PT 「どこが痛いです?」
患者「ここ(腰部の右下)が痛いわ。」
PT 「どの動きでとくに痛いです?」
患者「さっき言ったように中腰と長時間座ったときじゃな。」
PT 「どんな感じがします?」
患者「鈍い痛みがする。鈍痛ってやつじゃなあ。」

このようにして社会的な問題から障害されている能力機能
絞り込みを行っていく。

診るでは
能力障害を把握するのに重要である。
能力障害は患者とセラピストと共有の情報となるため
目標設定や効果判定にも用いることが多い。
動作から正常から逸脱している動きがないか確認する。
もし異常な動きがあれば修正が可能か確認しておく。
具体的にはどこが動いてなくてどこが動きすぎているかを
診ていく。
そして正常から逸脱している動きの理由が
 1.痛み
 2.可動性
 3.筋力
 4.心因性

か判断し機能障害の問題を絞り込んでいく。

(例)
長時間座っていると痛い。
座位姿勢を診ると前方頭位で胸椎の後彎が強く、
腰椎の前屈も強い。
正常な姿勢に修正するように促すも、
胸椎が固く後彎を改善することが困難で
結果、前方頭位・腰椎の前屈も改善不可能。

触るでは
まず触る前のリスクマネジメントとして
1.急性期ではないか
2.神経症状がないか
は最低限確認をしておく。
その後、

自動・他動・等尺性抵抗運動 → 筋?関節?
End-feel           → 痛み?緊張?短縮?関節包?
Joint play → 関節包?

を確認することで大まかな分類を行うことができ
機能障害をさらに細かく絞り込んでいく。

(例)
長時間座って痛いとのことだが、
胸椎の可動性が著しく低下している。
End-feel、Joint playで椎間関節の関節包制限が
示唆される。痛みのある腰椎は過剰運動性が示唆。

さらに関連因子の評価をしていくことで、
両側脊柱起立筋、腹直筋、外腹斜筋の筋緊張↑、
深層筋(腹横筋)の緊張↓、活動性の低下。
が認められる。
という評価結果が得られた。

次回はこれらの評価結果からのリーズニングについて
記載していきたいと思う。
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Category: 評価

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評価のポイント② 

前回評価のポイント①の結果から
さらに評価とリーズニングを進めていく。

本人の希望腰の痛みが楽になること
困っていること仕事(荷物の運搬)趣味(釣り)
できないこと。
不安を聴くと歩けなくなるのでは?というものがあった。

よって仕事と趣味が可能になるためには
中腰座位姿勢時痛みが改善することとなる。

主要因子
腰部の右下の鈍痛。触診時圧迫により疼痛の再現性あり。
(リスクに関わる急性症状・神経症状はなし)

関連因子(運動連鎖による影響)は
胸椎の可動性低下。股関節屈曲可動性低下。
腹直筋、腹斜筋の筋緊張。
腹部深層筋(腹横筋)の活動性低下。
心因性として不安感がある。

増悪因子(日常生活による影響)は
屈曲肢位、不良姿勢が挙げられる。

アプローチとしては主要問題である痛みのある筋筋膜性の疼痛に対し
緊張の緩和短縮があればストレッチを行う。

また関連因子に関わる座位姿勢では胸椎の可動性低下と股関節の可動性低下強調文
腰椎過剰運動性という負担を生じさせるため
胸椎・股関節の可動域の改善を行う。(ストレッチ・モビライゼーションなど)
そして腰椎の屈曲を助長する腹直筋腹斜筋の緊張の軽減と、
良肢位をキープするために必要な腹部深層筋を促通する運動も追加する。
これにより主要問題の改善関連因子の改善で再発を生じさせにくい
身体機能を獲得させる。

増悪因子では症状を出現させる原因となる日常生活の見直しを行う。
良肢位での座位姿勢の指導腰椎前屈の制限など
腹部深層筋の促通と合わせて指導する必要がある。

これらの総合的なアプローチには治療者・患者の両方の
介入
が必要不可欠である。
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Category: 評価

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脊椎と股関節 

脊椎股関節の動きの協調は非常に重要である。
例えば腰椎下部が屈曲した際に
股関節は伸展させること。
また股関節が屈曲したときに
腰椎下部を伸展させること。

これらは脊椎股関節がそれぞれ独立して
動けるかどうかを意味する。
これらが独立して動くことで
より機能的で多様な動きが可能になる。

脊椎の動きを指導するうえで
重要なことがいくつかある。

まず筋緊張を調節すること。
筋緊張の亢進も低下も
過剰な筋緊張を生むことになる。
体幹の深層筋がわずかに収縮した状態で
四肢の筋はできるだけ過剰な収縮が
ない状態が望ましい。
それにより四肢の感覚は正常に活動し
様々な環境に適応できる。

また必要以上にがんばらないが
続ける
ことが重要である。
人はがんばることで無理が生じる。
これは精神的にも肉体的にも不利益となり
直ちに拒絶反応が生じてくる。
モチベーションの低下や痛みなどである。
いかに続けられるか、習慣をつけることが
最も大切なことである。

1)Gelb M:Body learning,an introduction to the Alexander technique.Aurum,London,1987.


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Category: 腰椎

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脊椎の動きと姿勢 

脊椎はひとつの運動方向の動きだけではなく、
屈曲や伸展において側屈・回旋の動きが
複合的に組み合わさりながら
運動を生じさせている1)

胸椎の分節は肋骨があるため他の脊椎分節と比べ
可動性は小さい。
しかしそのおかげで呼吸機能は制限されず
様々な姿勢においても対応できるようになっている。

姿勢とは運動が一時停止した状態2)であり
体幹の選択的運動により限りない姿勢が可能になっている。
姿勢は運動の基礎になるものであり、
姿勢に始まり姿勢に終わる3)のが運動である。

体幹は重力に抗し安定させるだけでなく、
その安定性を維持したまま運動を起こすことが求められる。

1)Greve GP:Common vertebral joint problems.Churchill
 Livingstone,Edinburgh,1981
2)Bobath K:Neurophysiology,pt 1.Videofilm recorded
 at the Post-graduate Study Centre,Hermitage,Bad
 Ragaz,1980
3)Wright S:Applied physiology.Oxford University
 Press,Oxford,1945
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Category: 関節

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体幹の安定性 

体幹の安定性(Spinal stabilizing system)
再獲得するためには
 ・他動的な要素(関節など)であるpassive subsystem
 ・自動的な要素(筋)であるactive subsystem
 ・調節的な要素(神経)であるcontrol subsystem
が必要である。これは神経筋骨格系運動再学習であり、
インナーマッスル無意識下での自動的収縮(pre-activation)が
必要となる。
これらのトレーニングは筋による代償と機能回復という点では
従来の運動療法と変わりがないが、単に筋力アップという観点でない
ことが大きく違う。
筋が強いということではなく運動に応じたタイミング
(筋の長さ変化と動員パターン)が重要である。

最大収縮の25~30%程度でよく、アウターマッスルが運動中
力の均衡がとれている
ことが重要である。

体幹の動的安定化を考える上では
脊椎と骨盤帯の二つに分かれる。

脊椎の動的安定化では
アウターマッスルとインナーマッスルが関わる。
アウターマッスルでは大きなトルクに関係するため
全体の安定は高い反面、分節的な安定は低い。
腹直筋、外腹斜筋、腸腰筋(胸部線維)などが
それに当たる。
インナーマッスル分節的な安定に関与する。
腹横筋、多裂筋、横隔膜などが当たる。

骨盤の動的安定では
アウターユニットとインナーユニットが関わる。
アウターユニットはさらに
 ・posterior oblique system:
   広背筋、大殿筋および胸腰筋膜
 ・deep longitudinal system:
   脊柱起立筋、胸腰筋膜深層、仙結節靭帯、大腿二頭筋
 ・anterior oblique system:
   前腹筋鞘、腹斜筋、対側股内転筋
 ・lateral system:
   中殿筋、小殿筋と対側股内転筋
に分かれる。そしてインナーユニットは脊椎の動的安定性と同様、
インナーマッスルに当たる。

脊椎の安定化に関係する筋を促通するためには
単に筋力強化という観点ではなく、
上記のどの部分に障害があるのか。また動作において
量的ではなく質的に高めていくことが重要である。

1)Lee,D.:The Pelvic Girdle,2nd ed.,Churchill Livingstone,1999
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Category: 腰椎

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体幹筋の促通 

インナーマッスル活性化するポイント
 ・単独収縮で20~30% 
 ・中間位保持
 ・グローバル優位でないこと
 ・持続的収縮であること
 ・呼吸は維持する      
などがある。それらが困難な場合、
視覚・触覚フィードバック位置覚を用いて
自動的収縮を促す。
インナーマッスルを活性化するポイントが
クリアできたら、
 ・機能的負荷の追加
 ・インナー/アウターの統合
と段階をアップさせていく。
これらに重要なのは筋力より量とタイミング
頭側から尾側へ、中枢から末梢に進めていくこと。
また対象者の可能な運動に焦点を置くことが
重要である。

インナーマッスルの評価は
Abdominal drawing-in testというものがある。
評価では胸郭の挙上・下制骨盤の前後傾・腰椎の運動
呼吸パターンの変化アウターマッスルの過剰な運動がある。

10秒間保持、10回繰り返す
背臥位・腹臥位・四つ這い・座位・立位など様々な動作で
診ていく。
前方では上前腸骨棘の2cm内下方で触知。
後方では多裂筋を触知する。

小さな収縮だが選択的な運動が求められ、
この部分の収縮があるのとないのでは体幹の安定性が
大きく変わってくる。
体幹の安定性が高まれば四肢のパフォーマンスにも
変化を与える。

1)Comerford,M.,Southampton,S,:Functional stability
 re-training:promciples and strategies for managing
 mechanical dysfunction,Manual Therapy 6(1):3-14,2001.

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Category: 腰椎

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慢性頸部根性痛の外科的治療と保存的治療の無作為研究 

慢性頸部根性痛の外科的治療と
保存的治療の効果における無作為研究
について。

81症例で3カ月以上持続した痛み(平均30カ月)のある患者。
評価は疼痛をVAS。機能をSickness Impact Profile。
心理をMood Adjective check Listで行い、
別の判定者が治療前、14~16週後、1年後を測定。
外科的治療と保存的治療を比較する。
ちなみにこの論文は慢性頸部根性痛に関する
初めての無作為研究である。

これによると14~16週後の時点で
 ・外科的手術群:VAS 20ポイント減少
 ・理学療法群 :VAS  9ポイント減少
 ・コルセット群:VAS  1ポイント減少
という結果となり、手術群が最も大きな変化が出るも
1年後の経過では
外科的手術群・理学療法群・コルセット群ともに
有意差はなくそれぞれ中等度の改善が認められる。

このことは従来から提唱されてきた
慢性頸部根性痛の手術適応に対し、
効果が疑問視される。
また他の脊椎の手術成績においても短期的な効果は
大きいものの、長期的(1~5年後)には大差がないとされる
データは多い。
手術による効果が従来の期待通りのものかというと
長期的な視点を考えると難しいのかもしれない

1)Persson LC G et al.,Long-lasting cervical radicular
 pain managed with surgery,Physiotherapy,or a cervical
 collar,spine,1997;22(7):758
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Category: 神経

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2010-11
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