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理学療法の評価と治療

理学療法に関連する臨床・研究・教育と評価・治療について書いていきたいと思います。

2011年10月の記事一覧

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脳卒中の評価指標 

脳卒中の関連した指標は数多くあるが、
現在よく利用されるものを紹介する。

JSS(Japan Stroke Scale)
日本で用いられていた指標。
意識、脳神経の関連、言語、無視、足底反射、
感覚、運動など
10項目でA~Cの3段階で行なわれる。

次にFIM(Functional Independence Measure)
運動と認知を18項目126点満点で行なう。
自立(7or6)、見守り(5)、介助(4~1)
特に修正自立(6)、見守り(5)、軽度介助(4)の
分類は安全管理と介護の質と量の検討に重要。

そしてNIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)
国際的な評価指標で
意識、脳神経、上肢の運動、感覚、言語、無視など
11項目42点満点で行なわれる。

またmRS(modified Rankin Scale)
包括的な帰結指標で国際的に最も利用されている。
まったく症状がない~死亡までを7段階に分類。
Grade0~1を症状に焦点。
Grade2~5を介助の程度に焦点。

大規模な国際研究ではmRSが圧倒的に多い。
mRSはBI(Barthel Index)とFIMに対して相関があるとの
報告もでている。

評価指標も様々なものが用いられる中で、
世界的なメジャーなものも変化してきている。
常に情報収集しておく必要があるようだ。
簡易なものから細かくみることができるものまで
メリットとデメリットはそれぞれにある。
しかしながらメジャーかマイナーかは
他の指標と比べるためには重要である。

また画一的な評価はおおよその
能力を把握することはできるが、
患者特有の生活を知ることはできない。
点数が良いから困らないわけでもない。
患者の環境や家族、本人の趣味や仕事、価値観など
多くの要素が必要になってくることは当然である。

1)Lyden P,et al:Improved reliability of the NIH Storoke
 Scale using video training.NINDS TPA Stroke Study
 Group.Stroke 25:2220-2226,2005
2)後藤文男:日本脳卒中学会.脳卒中重症度スケール(急性期)の
 発表に当たって.脳卒中19:1-5,1997
3)modified Rankin Scale:http//www.strokecenter.org/
 trials/scales/rankin.html
4)Kwon S,et al:Disability measures in stroke:relationship among
 the Barthel Index,the Functional Independence Measure,
 and the Modified Rankin Scale.Stroke 35:918-923,2005
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脳卒中患者に対して考えること 

理学療法は発展途上のものである。
どのような症状や障害に対して
どんなことをすれば効果的なのか。
いまだ模索していきながら発展している分野である。
多くの理論や多くの手技が存在しているが、
どれが目の前の患者に当てはまるかは
治療の経過を見ていきながら判断することになる。

こうした発展途上の中で
頼ってしまうのが経験である。
患者は生身の人間で個人的な価値観や
主観的要素の影響を多く受ける。
それらの要素はデータだけでは
解決することのできないものである。

しかしそれだけでは本当に適切なアプローチが
行なえているのかどうかは判断することができない。
脳という非常に複雑な構造と症状の中では
多くの知識と経験が必要となるが故に、
経験主体のアプローチに頼りがちになってしまう。

回復や機能障害の回復を発症期間、モチベーション、
精神機能の障害と経験則のみで判断していないだろうか。
運動機能や動作機能、日常生活動作を加齢や廃用症候群の
せいに決めつけていないだろうか。
脳機能の問題で回復が困難なものを
回復可能と判断していないだろうか。
常に自問自答しながら臨床を行なっていると思う。

患者の主観による世界観の認識と
脳画像の読み取りとデータそして経験を含め
アプローチの選択。
効果判定や治療方針の修正。
様々な要素が必要な中で何から学んでいけば良いのか
本当に苦労する分野である。

理学療法の効果に関しても
はっきりした根拠がでているものは少なく、
手探り状態な部分も大きい。
一つの手法にこだわることなく、
患者に適した手法を模索していく。
新たなデータを常に更新していき、
知識と思考を結び続けていく。
患者とともに私たちも
歩き続けていかなければならない。
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脳卒中の病態によるゴール設定 

患者のゴール設定をしていくには
画像所見理学療法評価との統合が重要になる。
理学療法のオーダー時に診断名がついているが、
画像を元により詳細化していくことが
実際の症状を把握する上では必要不可欠である。

画像所見から閉塞・破綻血管障害領域を特定。
障害領域からある程度の障害像を予測する。

次に理学療法評価を行い、臨床像の確認をする。
この二つを比較し、前病院の情報を参照し
機能の可否判断を行なう。
そして改善の予測部分改善困難な部分を判別し、
改善困難な部分に関しては
代償的手段が行なえるか考慮していきながら
能力の可否判断を行なう。

それらを元に達成可能な仮目標を設定。
(ADL中心の目標設定が望ましい)
退院後の生活をシミュレーションしていきながら
アプローチを行なっていく。
その間に必要な環境を整備しておく。
(自宅・施設の受け入れ、家族の負担や役割を考慮)
障壁となる事象が解決可能であれば生活様式を決定する。
社会的背景も踏まえ、最終的な目標を設定する。
(この目標もADL中心のもの)

これらの手順は主観的情報と客観的情報
バランスをとる上で非常に重要であり、
精神的な要素と現実的な要素が共に満たされて
真の目標と言えるのではなかろうか。

1)石倉隆:脳卒中の病態評価と解釈による理学療法士の
 ゴール設定-慢性期,PTジャーナル44,pp123-130.2010
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脳機能の確認事項 

脳機能を理解するために必要な意識は
支配血管機能局在神経核の機能神経連絡である。

急性期においては
脳出血では血腫、脳梗塞では浮腫が生じる。
またペナンブラも影響するため
障害部位以外の影響も大きい。
慢性期になると障害部位のみの影響となることが多い。

受傷後は1~2ヶ月の間は
非交差性錐体路の代償近隣関係領域の動員
新しい神経回路の獲得などが生じ
脳機能改善の判断は困難である1)
この1~2ヶ月の臨界期から
障害部の影響が明確になること、
代償機能や神経回路の獲得している部位が
把握可能になる。

脳という膨大なシステムを理解する上で、
何から学べばよいのかは非常に重要である。
背伸びをして学ぼうとすると、
頭が混乱を起こし、二度と勉強する気が失せてしまう。
自分の興味のある場所から勉強していったり、
脳梗塞で影響の出やすいものから学んでいったり
工夫が必要になる。

1)Word NS,et al:Mechanisms underlying recovery of
 motor function after stroke.Arch Neurol 61:
 1844-1848,2004
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ペナンブラ 

ペナンブラ(penumbra半影体)とは梗塞の際、
血流低下しているが細胞死は免れている部分のことである。
再灌流が早期に起これば梗塞から免れ回復する。
超急性期の血栓溶解両方のターゲットとなる。
再灌流障害やアポトーシスで梗塞化する領域もある。

正常細胞と梗塞細胞の間となり、
梗塞の虚血中心領域の周囲に存在する。
ATP減少で神経機能抑制を生じている。
虚血性脱分極(anoxic depolarizction)に伴う
電位依存性イオンチャンネルの
爆発的開口は生じていないことから
細胞死は起こっていない。

血流は脱分極に伴う電位依存性K+チャネルの
開口による細胞からのK+流出によって、
細胞外K+濃度が明らかになる
脳血流量は6ml/100g/minと
体性感覚誘発電位反応の消失する
脳血流量の15ml/100g/minの間の
12~23ml/100g/minがペナンブラとされている1)

MRIの拡散強調画像(DWI:Diffusion-Weighted Image)は
虚血領域ではDWI陽性、
ペナンブラではDWI陽性と陰性
軽度血流領域ではDWI陰性となる。
灌流強調画像(PWI:Perfusion-weighted Image)では
ペナンブラは異常値を示し、
DWIとPWIを比較することで確認される。
しかしながら厳密にいうと12~23ml/100g/min
の領域をMRIのみで確認することは困難。
fMRI(functional MRI)を用いても相対血流量の把握のみで
絶対値はわからない。
PET(Positron Emission Tomography)や
SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)
などで詳細な情報を得ることはできるが、
設置している医療施設は非常に少ない。
また他の問題として急性期では神経活動と脳血流量が
カップリングしていない2,3)ことや
アポトーシス促進遺伝子(Bax,p53)や
アポトーシス抑制遺伝子(Bcl-2,Bcl-xL)の
どちらの割合が多いのかなど
完全に把握することは困難4,5)なのが現状である。

細胞死を免れている領域であるペナンブラ。
この領域がどの辺りまでなのかを把握することで、
改善可能な領域と改善困難な領域を予測することができる。

1)Astrup J,Siesjo BK,Symon L:Thresholds in cerebral
 ischemia;The ischemic penumbra.Stroke 12:
 723-725,1981
2)後藤文男:脳循環調節機序.臨床神経27:1500-1510,1987
3)早川徹:脳血管障害をめぐる脳循環動態.Clinical
 Neuroscience 2:74-77,1984
4)Matsushita K,et al:Alterations of Bcl-2 family proteins
 precede cytoskeletal proteolysis in the penumbra,
 but not in infarct centers following focal cerebral
 ischemia in mice.Neuroscience83:439-448,1998
5)Li Y,et al:p53-immunoreactive protein and p53
 mRNA expression after transient middle cerebral
 artery occlusion after transient middle cerebral artery
 occlusion in rats.Stroke25:849-855,1994
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麻痺側アプローチの歴史 

麻痺側アプローチの歴史として
大きな流れとしてはいくつかのものがある。

1940年代にSherringtonらによって
中枢神経系の階層理論が提唱され、
神経生理学的・発達学的アプローチとして
ファシリテーションテクニックが作られる。

その後、1966年NUSTEP(Northwestern University Special
Therapeutic Exercise Project)会議で米国理学療法士協会
教育カリュキュラムに取り入れることで
神経生理学的アプローチが一般的に広まるようになる。

1990年には?STEP会議で中枢神経の理論は
システム理論として体系化されることになる。

現在大脳生理学や脳科学により
運動制御や運動学習理論が体系づけられ、
神経生理学や分子生物学から中枢神経の可塑性や
神経再生理論が体系化されてきている。

しかしながら臨床応用としてはまだまだ発達段階であり、
臨床場面と学術理論の間に大きなギャップが存在し
その部分に関して食い違いを強調した理論になりがちである。

臨床と学術理論はそれぞれ大切なものであり、
否定しあっていれば発展は望むことができなくなってしまう。
臨床的な視点と学術的な視点は食い違いはあるが
どちらかを一方の視点で否定できるものではない。
双方のよいところを生かし発展的に思考することが
私たちにとって重要なのではなかろうか。
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障害脳血管と臨床症状 

脳血管は大まかに分けると
大動脈から頭蓋外動脈となり
総頸動脈、内頸動脈、椎骨動脈と分岐する。
その後、大血管(large vessel)である
頭蓋内主幹動脈
前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈、
脳底動脈に分岐する。
さらに小口径動脈という小血管(small verssel)となり
表在穿通枝(白質髄質枝)は皮質より深部に
深部穿通枝は脳実質に血液を循環させる。

総頸動脈や椎骨動脈は弾性型動脈で
栄養血管を有する(vasa vasarum)が、
内頚動脈や脳底動脈などは筋型動脈と呼ばれ、
栄養血管はなく外膜の発達に乏しいため
障害を生じやすい。

もう少し細かく血管の支配との関連を説明すると、
中心前溝動脈、中心溝動脈、前乳頭動脈・傍正視床動脈、
視床膝状体動脈、内側線条体動脈、外側線条体動脈

分類される。それぞれの血管の障害と
典型的な症状について述べていく。

中心前溝動脈障害ではarea6とarea4下半が含まれる。
そのため上肢の痙性麻痺が出現するが感覚障害はない。

中心溝動脈障害ではarea4、area1,2,3が含まれる。
そのため上肢の痙性麻痺と感覚障害が出現する。
ただしarea4はprecental knobであり
手の運動に関わる1,2)。そのため上下肢に
異常がないのにも関わらず
手の巧緻障害が出現することがあることは
注意する必要がある。

前乳頭動脈・傍正視床動脈の障害では
背内側核と視床前枝で
Yakovelev回路やPapez回路が含まれる。
そのため情動や記憶障害に影響を及ぼす。
視床出血で障害されやすい。

視床膝状体動脈の障害では
外側腹側核(小脳路の中継点)、
後内側腹側核(感覚路の中継点)、
後外側腹側核が含まれる。
そのため運動失調、感覚障害、
血腫の内包穿破による痙性麻痺
(内包後脚に近いため)が生じる。
これも視床出血で生じやすい。

内側線条体動脈の障害では
前交連より前方の被殻前部で
前頭連合野、頭頂連合野、側頭連合野が
含まれるため認知機能障害が生じる。
これは被殻出血で生じやすい3)

外側線条体動脈では
全交連後方の被殻後部
(感覚運動野からの入力が投射される)
が障害されるため運動感覚障害が生じる。
これも被殻出血で生じやすい3)

その他としては
脳梁周囲動脈が障害されると
area24前帯状皮質運動野が含まれるので
欲求が生じないことによって
運動発現が生じないという現象が生じる4)
(area4、6は異常がなくても運動障害が起こるなど)

前方灌流と後方灌流の障害では後方灌流のほうが
NIHSSも3ヶ月のmRSも有意に低い。
ただしNIHSSでは後方灌流の梗塞症状の
脳神経、運動失調の項目が少ないため
点数に反映されていない可能性がある。
その点は注意する必要がありそうだ。

障害部位と脳機能を理解することができれば
画像と臨床症状を比較することで
脳機能から証明することができる。
また画像と臨床症状が一致しない場合は、
今回の障害以外の問題が推測できるため、
改善可能か改善不可能なのかの予測も立てやすくなる。

注意すべき点としては脳動脈と機能局在には
個人差がありマニュアル通りにはいかない所である。
例えば中大脳動脈であれば3分岐が一般的だが
その割合は50%で2分岐や4、5分岐も
少なくないことが指摘されている5)
そのため血管が障害された場合の損傷範囲が
変わってくることは容易に推測できる。
また機能局在においてもarea4の領域は
中心溝・シルビウス列の交点
~手の運動領域下端の距離と言われるが、
17mm~54mmの個人差があり6)
Penfieldsらのhomunculusの
参照には注意が必要である6)
その他にも高齢者であれば
ラクナ梗塞が既に存在する場合があることも
留意する必要がある。

1)Youstry TA,et al:Localization of the motor hand
 area to a knob on the precentral gyrus.
 A new landmark.Brain 120:141-157,1997
2)Kim JS:Predominant involement of particular
 group of fingers due to small,cortical
 infarction Neurology 56:1677-1682,2001
3)藤山文乃:大脳基底核の構造-細胞構築と
 神経回路.Brain Nerve 61:341-349,2009
4)虫明元,他:認知的運動制御における
 大脳皮質運動関連野の役割.総合リハ32:653-658,2004
5)Lang J:Kopf Gehirn-und Augenschadel.In Lanz
 T von,et al(eds):Praktische Anatomie,Band 1,
 Teil 1B,Heidelberg,Berlin,1979
6)星田徹:脳裏電気刺激はGold standerdになりえるか.
 臨床神経生理34:346,2006
7)Penfield w,et al:The cerebral cortex of man:
 A clinical study of localization of function,
 Macmillan,New York,1950
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病巣と症状 

病巣によって出現する症状は変化する。
大別すると大脳皮質、内包、被殻、視床、
脳幹、小脳
となる。

特徴的な病巣と症状では
放線冠から橋の障害では
錐体路が収束する部位と
顔面神経が出る部位なので
顔・上下肢の同程度の麻痺が生じる。

皮質の障害では
上肢のみ下肢のみなどの単麻痺が生じる。

前頭葉のBroca領域(下前頭回の弁蓋部と三角部)の
障害では運動性失語(Broca失語)が生じる。
言語の理解は可能だが復唱は障害。
自発的な言語や文字の表出が困難となる。

側頭葉のWernicke領域(上側頭回部)の障害では
感覚性失語(Wernicke失語)が生じる。
自発的な言語は流暢だが自分の話していることが
理解できず言語内容は意味不明となる。
言語や文字の理解が障害される。

右大脳半球の障害(頭頂葉を含む広範な病巣)では
左半側空間無視が生じる。
左半分を向こうとしない、
左半分の刺激に反応しないなどが生じる。

延髄外側の障害(後下小脳動脈・椎骨動脈)では
Wellenberg症候群が生じる。
嚥下障害(球麻痺)のほか、
同側顔面、対側体幹、四肢の温痛覚の障害。
同側小脳失調、horner症候群(同側の眼瞼下垂、眼球陥没、縮瞳)
運動麻痺が生じる。

MLF(medial longitudinal fasciculus syndrome)
(橋の側方注視中枢と動眼神経を連絡する場所)
非障害側を注視しようとした場合、
障害側の眼球は内転できず非障害側の眼が眼振を起こす。
(数日で改善する場合も多い)

病巣により特徴的な症状が出現する。
これらの症状が日常生活に影響することもあるため
どのような特徴か理解しておくことで
家族の混乱をある程度軽減させることができるかもしれない。
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NINDS 

脳梗塞の分類では1990年に米国のNINDS
(National Institute of Neurological
Disorders and Stroke)が発表した分類(NINDS III)が
広く用いられている。
これは脳梗塞の発症機序と臨床病型を分け、
その組み合わせで病型診断を行うことを提唱しているものだ。

脳血管障害は
 ・無症候性
 ・限局性脳障害
 ・血管性認知症
 ・高血圧性脳症
に分類される。
さらに限局性脳障害は
一過性脳虚血発作と脳卒中に分類され
脳卒中は
 ・脳出血
 ・くも膜下出血
 ・動静脈奇形    に分類される。

脳梗塞の機序分類では
 ・血栓性
 ・塞栓性
 ・血行力学性
    に分類される。

臨床病型分類では
 ・アテローム血栓性
 ・心原性
 ・ラクナ梗塞
    に分類される。

動脈硬化による頸動脈プラーク(粥腫)が
はがれた血栓が中大脳動脈を閉塞した場合、
「塞栓性機序によるアテローム血栓性脳梗塞」と表現する。
中大脳動脈自体に動脈硬化があり、プラーク破裂等により
狭窄部が閉塞し脳梗塞となった場合、
「血栓性機序によるアテローム血栓性脳梗塞」と表現する。

心原性の塞栓症はすべて塞栓性機序によるものだが
アテローム血栓性脳梗塞は血栓性、塞栓性、血行力学性の
いずれの機序でも起こりえる。
ラクナ梗塞も、穿通枝の脂肪硝子変性の他、
主幹動脈粥腫の進展や微小血栓による機序もあり
いずれの機序でも起こる。

脳梗塞でも発症機序と臨床病型によって
症状と治療法が変わってくるため
これらの鑑別は必要である。

血行力学的要素が関わっている場合、
頭部挙上は症状を進行させる。
塞栓性機序では急性期から慢性期にわたって
塞栓源のコントロールが必要である。

臨床病型では重症脳梗塞への進展、
脳梗塞の再発、症状の進行の危険の
予測につながる。
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食生活と脳卒中 

医療技術が向上し脳卒中の延命率は
飛躍的に高まった。
またそれに伴い脳卒中の死亡者の内訳
大きく変化してきている。

1960年代では脳梗塞1~2割、脳出血7~8割だったのが
1990年代になると脳梗塞6~7割脳出血2~3割
脳梗塞と脳出血の割合が逆転している。
脳梗塞の死亡割合が増加し、脳出血の死亡割合は
減少しているのである。

脳出血の死亡率減少には外科的治療の発達、
高血圧治療の進歩、減塩食の推進、
CTスキャンの開発
などが
影響していることが考えられている。
高血圧治療が進んだため、脳出血やラクナ梗塞などの
小血管病変(small vessel disease)は減少した。

しかし脳梗塞の死亡率は増加している。
これについての因子としては
欧米化の食事の影響で糖尿病、高脂血症、肥満症などの
metabolic syndromeが増加してきた。
これはアテローム血栓性脳梗塞などの
大血管病変(large vessel disease)を招くため、
死につながりやすいのである。

全体的な死亡率は減少しているものの
脳出血での死亡割合が減少し、
脳梗塞での死亡割合が増加した背景には
このような社会的因子の関連が存在している。
また近年は脳梗塞後遺症患者も
寿命が延びてきているため高齢化も進んでいる。
そのため加齢に伴うサルコペニアや可動域制限など
構造的な問題も混在するため、より評価やアプローチの
難易度が高くなっていることも念頭に置く必要がある。
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CVAの理学療法の再考 

CVAの理学療法は超急性期から維持期、
そしてICUから在宅まで病期・フィールドともに
広く必要性は高まっている。

CVAの理学療法は病態の理解を学習し、
評価方法や介入方法が工夫され、
効果判定とともに実践で発達してきた。
しかしながら評価・治療方法・理論体系など
未だ発展途上であり、確立したものはないのが現状である。

脳卒中ガイドライン2004の段階では
 ・やらないよりやったほうがよい。
 ・個々の手法の効果は確認できない。
 ・有効性の証明・治療法の確率、努力を有する。
というのが今の現状である。
経験的な効果は明らかであっても、長期的な効果や
個体差による影響など統計的な変化に関しては
まだまだ信頼性の高いものは乏しいのが現状である。
学術的に確認されてないものであるといっても
それが意味のないものという訳ではない。

今後、理学療法のどんな手法がどのような患者に
どの程度有効なのか。具体的に示していくための
努力が必要になると思われる。
患者の期待と科学での妥当性。
両者のバランスをとっていくことこそ
理学療法のアートでありサイエンスとなるのではなかろうか。
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超急性期の治療 

脳卒中の発症直後の超急性期の対応は
患者の予後を決定する要因としては
非常に大きなウエイトを占める。

脳の細胞死をできるだけ少なくするために、
現在超急性期に最も期待されている治療が
rt-PA静脈療法である。
ターゲットとなるのは虚血中心領域の
周囲に存在するペナンブラで
早期に改善させることが目的となる。
ペナンブラは細胞死には
至っていない場所であるため、
再灌流が早期に起これば回復する。
逆に言えば再灌流障害が続けば、
アポトーシスや梗塞化してしまう領域でもある。

rt-PA静脈療法は
(recombinant tissue plasminogen activation)
遺伝子組み換え組織プラスミノーゲンアクティベータと
呼ばれるものであり、2時間以内の来院と
3時間以内の投与が必要となる。
しかしながら現状では救急搬送までの時間や
ベッドの空き、スタッフの充足状態、画像機器の設置など
限られた条件の中での治療となっており
現場ではそれらが円滑に行うことができる患者は少ない。

治療前にはMRI画像を行うため、
体内金属やペースメーカをつけている患者は
施行することができない。
MRIでは拡散強調画像
(DWI:Diffusion-Weighted Image)で行う。
また脳出血との鑑別は
T2強調画像(T2WI:T2 weighted image)を行う。

また臨床症状はNIHSS(脳卒中の重症度の評価)を行い、
画像での病巣臨床症状が一致するかどうかは
大切なポイントとなる。

また急性期治療では血圧のコントロール
非常に重要である。
脳梗塞の場合は220/120mmhg以上の場合、
85~90%を目標に降圧を行なっていく。
脳出血の場合は180/130mmhg以上の場合、
80%を目標に降圧を行っていく。
しかし頭蓋内外の主要血管に狭窄を認める場合、
過剰に脳還流を低下させ神経症状を悪化させる可能性もある。

また嚥下障害の評価は誤嚥性肺炎のリスクが高いため
気をつけなければならない。
誤嚥性肺炎は直接死に繋がってしまうため
死亡率を低下させるために気をつけなければならない。

また脳卒中後、早期1週間以内の座位、離床訓練
深部静脈血栓症、褥瘡、関節拘縮、誤嚥性肺炎の
予防に有効であり早期退院や機能予後改善にも有効である。
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CVAの能力障害について 

急性期医療の救命率の改善や
長期生存率の伸びによって
後遺症のあるCVA患者は増加傾向にある1)

厚生労働省によると見守りや
介助が必要な病気の1位はCVA2)とのことである。
CVA患者が後遺症を持ちながら
自宅退院できるかどうかは
自立歩行ができるかどうかの影響は大きい3)

診療報酬等の関係上、短期間で自宅退院が望まれる昨今、
理学療法士が求められるのはいかに従来より短時間で
従来と同じかそれ以上の効果を出すことができるか。
その点に絞られるのではなかろうか。

効率を高めるためには
生産効率を高める必要がある4)
医療職において生産性を高めるためのポイントは
専門や他職種とのチームアプローチ
クリティカルパスの導入
リハの早期介入が挙げられる。

リハの早期介入の効果としては
リハビリの早期介入と発症後2ヶ月からの介入を
比較した場合、早期介入の方が
在日日数の48%減少。
医療費の39%減少が認められる5)
また別のデータでも目標歩行レベルと
在日日数の短縮が認められる6)

これらはリハビリの早期介入の
社会的経済的な効果を示している。
具体的な歩行獲得の割合(日数による比較)では
発症後4週で歩行獲得するものが45.1%。
発症後12週まで歩行獲得するものが72.0%7)
また別のデータでは
発症後4週で歩行獲得するものが38.9%。
発症後12週まで歩行獲得するものが74.6%8)
となっており、約1ヶ月で歩行獲得する者が半数で、
歩行獲得する人の7割は約3ヶ月となっている。
また12週以降の歩行獲得はわずか8)であるとのことから
発症から3ヶ月が歩行獲得に
最も重要な時期であることは明確である。
またADL能力においても80%は6週以内にピークとなり、
95%は12.5週までに回復は終わってしまう9)との報告もある。

いかに早期からリハビリテーションを開始できるか。
3ヶ月以内にどこまで能力が改善するかが
重要な鍵となることは言うまでもない。

1)厚生省:主な死因別にみた死亡率の年次推移-
 昭和25年~平成9年.最近の人口動態 第35号
 ,p15,1999
2)厚生労働省:介護サービス世帯調査(平成12年),2000
3)二木 立:脳卒中患者が自宅退院するための
 医学的・社会的諸条件.総合リハ11:pp895-899,1983
4)二木 立:医療効率と費用効果分析-地域・在宅ケアを
 中心として.日本の医療費-国際比較の視角から,
 pp173-197,医学書院,1995
5)二木 立,他:脳卒中の早期リハビリテーション第2版,
 pp257-212,医学書院,1992
6)長澤弘:脳卒中患者の早期理学療法の効果.
 PTジャーナル31:pp237-243,1997
7)丹羽義明,他:脳卒中片麻痺患者の歩行能力改善の推移.
 PTジャーナル37,pp5-10,2003
8)原寛美:私の脳卒中急性期リハプロトコール(?).
 臨床リハ8:pp41-45,1999
9)JΦrgensen HS,et al:Outcome and time course recovery.
 The Copenhagen Stroke Study.Arch Phys Med Rehabil 76:
 pp406-412,1995
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CVAの歩行獲得に必要な麻痺側と非麻痺側の要素 

歩行獲得に必要な因子はいくつかの報告がある。
1)と丹羽2)はBrunnstrom stage、起立開始の期間を
挙げている。
丹羽2)はそれに座位保持能力も加え挙げている。
佐藤3)は発症6ヶ月未満は
Brunnstrom stageが重要と述べ、
70歳以上は非麻痺側の筋力が重要と述べている。

早い段階で起立座位が行えるかどうか。
麻痺側非麻痺側の筋力がどうかが重要なようだ。
特に高齢になるほど非麻痺側の
筋力の重要性も考慮する必要がある。

麻痺側の歩行に対する影響は
伸展筋力4)と荷重率5)が歩行に関わるとの報告がある。
麻痺側の運動機能低下は錐体路障害による
中枢神経障害が一番に頭に浮かぶが
筋の筋萎縮による構造的な要素も忘れてはならない。
筋萎縮は中枢性栄養効果消失6)や廃用によるものが
可能性として考えられている。
麻痺側の評価としてはBrunnstrom stageが
最もよく使われているが、質的な順序尺度となるため
変化をとらえることが困難な点と、統計処理が難しい点が
問題として挙げられる。
またBurnnstrom stageがプラトーでも
歩行能力の改善が認められる場合も多く、
これだけの指標では不十分であると考える。
脳卒中機能障害評価セット(SIAS
:stroke impairment assessment set)も
見かけることが多くなった。
Burnnstrom stageと比べ麻痺の変化を
鋭敏に捉えることができる7,8)点が特徴である。

非麻痺側の歩行による影響では
伸筋の能力9)が特に歩行に関わるとの報告がある。
CVA発症後、非麻痺側の筋力低下も著明となる。
錐体路による非交差線維による中枢性萎縮と、
廃用による萎縮10)と考えられている。
具体的には健常人と比べ、
大腿四頭筋で73%、ハムストリングスで68%
の減少10)が報告されている。
CTによるデータにおいても大腿四頭筋、内転筋、
下腿屈筋・伸筋ともに健常人と比べ
有意に小さい11)との報告もある。
非麻痺側の伸筋に関しては7割が
廃用による筋力低下とも言われており
また早期歩行群、中等度介助群、全介助
非麻痺側のCT画像比較においても
廃用の関わりは大きい12)と報告されている。
そのためセラピストは非麻痺側の筋力に関しても
十分配慮しておかなければならない。
しかしながら1日に4000歩以上歩いている症例でも
筋萎縮が出現しており、廃用以外の中枢性要因
(中枢性栄養効果、シナプス貫通栄養効果)も
混在している13)と考える方が妥当かもしれない。
具体的に歩行に必要な非麻痺側の膝伸筋筋力を
調べた報告がある。
Burnnstrom stage3,4では1.00Nm/kg
Burnnstrom stage5,6では0.72Nm/kg14)
麻痺が重いほど非麻痺側の筋力は必要になる。

早期にいかに活動レベルが上がっていくかというのは
予後予測を立てる上で重要な指標になる。
セラピストも早期の活動性を高めるように促すことは
歩行に関わる因子を高めるためには必要不可欠であろう。

 1)原寛美:私の脳卒中急性期リハプロトコール(2).
  臨床リハ8:pp41-45,1999
 2)丹羽義明,他:脳卒中片麻痺患者の歩行能力改善の推移.
  PTジャーナル37,pp5-10,2003
 3)佐藤秀一,他:重回帰分析による慢性期脳卒中患者の
  歩行能力について.PTジャーナル27:93-99,1993
 4)鈴木堅二,他:脳卒中片麻痺患者の最大歩行速度と
  立位バランス.リハ医学29:577-580,1992
 5)菅原憲一,他:片麻痺患者の歩行能力と麻痺側機能
  との関係.理学療法学20:289-293,1993
 6)Fenichel GM:Hemiplegic atrophy:histological and
  etiologic considerations.Neurology 14:883-890,1964
 7)道免和久,他:脳卒中機能障害評価セット Stroke Impairment
  Assessment Set(SIAS)(3)運動麻痺の経時変化の観察.
  リハ医学30:315-318,1993
 8)道免和久,他:脳卒中機能障害評価セット Stroke
  Impairment Assessment Set(SIAS)の信頼性および妥当性の
  検討(1)-麻痺側運動機能,筋緊張,腱反射,健側機能.
  リハ医学32:113-121,1995
 9)宮秀哉:脳卒中片麻痺患者の歩行訓練初期における
  最大歩行速度の決定因.リハ医学33:222-227,1996
10)大峰三郎,他:片麻痺患者の筋出力特性-健側下肢の
  膝伸筋力について-,理・作・療法17:553-558,1983
11)大川弥生,他:脳卒中片麻痺患者の廃用性筋萎縮に
  関する研究-「健側」の筋力低下について-リハ医学25:143-147,1988
12)近藤克則,他:脳卒中早期リハビリテーション患者の
  下肢筋断面積の経時的変化-廃用性筋萎縮と回復経過.
  リハ医学34:129-133,1997
13)Hachisuka K,et al:Disuse muscle atrophy of lower limbs
  in hemiplegic patients.Arch Phys Med Rehabili 78:13-18,1997
14)青木詩子,他:慢性期片麻痺患者の非麻痺側膝伸展筋力と
  歩行能力の関連.総合リハ29:66-70,2001
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記憶 

記憶とは個体が情報を保持することを指す。
記憶の段階は取り込み貯蔵再生となる。

時間による分類では
短期記憶と長期記憶に別れるが
短期記憶は約数十秒の記憶で7±2個の
数字や単語を記憶できるとされている。
記憶の前提条件として重要である。
またよく似たものにワーキングメモリー
(working memory)がある。
ワーキングメモリーは聴覚(言葉)や視覚(メモ)の
短期記憶になる。
長期記憶を短期記憶にとどめる役割も果たし、
物事を考えるときに必要になる。
長期記憶近時記憶(recent memory)と
遠隔記憶(remote memory)に分けることができる。
近時記憶は数分から数時間の記憶を指し、
遠隔記憶はその後十分固定された記憶を指す。

内容による分類では先ほどの長期記憶は陳述記憶となり、
言葉で伝えることのできる記憶を指す。
もう一つの非陳述的記憶は手続き記憶とも呼ばれ、
言葉では伝えることのできない、体で覚えた記憶を指す。
陳述的記憶では俗にいう思い出の記憶であるエピソード記憶と
単語や物の意味を指す意味記憶に分かれる。
非陳述記憶は自転車に乗ったり、スポーツをしたり
体で覚えた記憶のことである。
またこれと似たものでプライミング(呼び水効果)があるが、
プライミングは刺激の後課題を与え再生させると
刺激に関連するものが再生されやすくなる。

記憶は様々な種類があり働く脳の場所も変わってくる。
その人により得意な記憶様式は変わってくるため
それを把握することでより学習効率をあげることも可能となる。
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座位・立位と歩行 

脳梗塞後の活動性の低下は
筋萎縮を促進することは言うまでもない。
全介助群では両側大腿・下腿の断面積減少が著明であり、
起立歩行が可能になるには歩行開始までの
期間の3倍程度かかってしまう1)
また早期自立歩行および軽度介助群においても
断面積の低下は認められる1)報告は多い。
麻痺側は健常者の70~80%に減少し、
非麻痺側においても筋の断面積の減少は著明2)である。

座位が可能かどうかは歩行において重要性は高い。
歩行の予後予測の可能性が示唆される3)報告や、
動的座位能力が高いほど歩行自立度は高い4)との報告がある。
また起立練習を早期に行うことは重要であり、
麻痺側、非麻痺側ともに萎縮を予防するのに有効5,6)である。
またバランス能力の改善にも有効であり、
非麻痺側だけでなく麻痺側においても促通の効果が期待できる7)

注意点としては脳梗塞急性期の際、
脳血流の自動調整能が障害されているため
病巣部の血圧変動が生じやすい8)ことである。
注意深くバイタルを確認する必要がある。

1)近藤克則,他:脳卒中早期リハビリテーション患者の
  下肢筋断面積の経時的変化-廃用性筋萎縮と回復経過.
  リハ医学34:129-133,1997
2)大川弥生,他:脳卒中片麻痺患者の早期ADL自立・
 早期社会復帰を目指す積極的リハビリテーション・プログラム.
 総合リハ18:945-953,1990
3)永井将太,他:脳卒中片麻痺患者の坐位バランス定量的分類と
 歩行能力の関係.理学療法学25:329-335,1998
4)高橋哲也,他:脳血管障害側における早期坐位
 平衡機能検査の臨床意義について.理学療法学19:
 592-596,1992
5)蜂須賀研二,他:片麻痺および骨・関節障害によって生じた
 筋萎縮の酵素組織,科学の所見の検討.リハ医学29:39-46,1992
6)蜂須賀研二:二次障害の発症と予防.リハ医学30:634-638,1993
7)三好正堂:早期リハビリテーションをめぐる議論.
 総合リハ23:1045-1050,1995
8)岡田靖:脳梗塞の内科的治療.総合リハ23:1031-1044
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CVAの歩行獲得と感覚 

CVA患者は体性感覚が障害されることも少なくない。
体性感覚とは表在感覚や深部感覚のことを指す。
環境に適応するために必要な筋力、筋緊張、関節角度、
運動速度を調節するための
情報入力としての役割が大きい。
感覚が正確に入力されることで
体の状態や位置関係を脳が認識し
それに合わせた体の動きを作り出すと考えられている。

歩行と感覚障害に関する報告は非常に少ない。
また見解も一致していないのが現状だ。
体性感覚は立位バランスにおいて
関連があるとする報告や、
歩行の速度と自立度においては
要因とならないとする報告がある。

体性感覚自体が主観的な評価が多いため、
再現性や妥当性が困難な点も大きい。
また視覚的な代償が行えることもあり
それによる影響も考慮する必要がある。

1)菅原憲一,他:片麻痺患者の歩行能力と麻痺側機能
 との関係.理学療法学20:289-293,1993
2)佐直信彦,他:脳卒中片麻痺患者の立位バランスの
 決定因.リハ医学30:399-403,1993
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脳卒中治療ガイドラインの構成 

脳卒中治療ガイドライン2004
耳にしたことも多いのではないだろうか。
脳卒中治療ガイドライン2004は
 ・日本脳卒中学会
 ・日本脳神経外科学会(日本脳卒中の外科学会)
 ・日本神経学会
 ・日本神経治療学会
 ・日本リハビリテーション学会 の5学会と

 ・脳梗塞
 ・脳出血
 ・くも膜下出血 の厚労省3研究班で構成される
脳卒中合同ガイドライン委員会によって作成された。

内容は
 1.脳卒中一般(すべての脳卒中全般、超急性期管理)
 2.脳梗塞
 3.脳出血
 4.くも膜下出血
 5.リハビリテーション  に分類されている。

1992年から2002年4月頃の
110000文献からエビデンスレベルを6段階に設定。
 1a:RCTのメタアナリシス
 1b:RCT
 2a:よくデザインされた比較研究(非ランダム化)
 2b:よくデザインされた準実験的研究
 3 :よくデザインされた非実験的記述研究
   (比較、相関、症例研究)
 4 :専門家の報告、意見、経験
  ※実際の数字部分はローマ数字で記載

治療リコメンデーション(推奨)として
  A:行うよう強く勧められる(少なくとも1つのレベル1の結果)
  B:行うよう勧められる(少なくとも1つのレベル2の結果)
 C1:行うことを考慮してもよいが十分な科学的根拠がない
 C2:科学的な根拠がないので勧められない
  D:行わないよう勧められる

欧米のガイドラインと比べCを2つに分別しているところが
特徴である。厳密にレベル分けと推奨度を設定しているため
どういったものがなぜ勧められるのか、
明確である。ガイドラインでは今までの過去の研究から
どのような治療が有効なのか確率の高いものを示してくれる。
患者はすべて当てはまるという訳ではないので
患者に最高にあった治療を選択できる訳ではない。
しかし何をすればある程度の効果が得られるかを
知っておくことは最低限の治療の底上げをすることはできる。
誰がやってもある程度の結果を出すことができるという
治療の保険としては非常に有効ではなかろうか。
その上で患者にあったものをシングルケースで
効果判定をしていけばより優れた治療プログラムを
行うことが可能になるのではなかろうか。

次回は脳卒中治療ガイドラインの
具体的な内容を記載していく。
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脳卒中治療ガイドラインの概要 

脳卒中治療ガイドライン2004の概要は次のようなものである。
現在脳卒中の後遺症で苦しんでいる患者は約170万人。
寝たきりの30%が脳卒中である。
病期は急性期・回復期・維持期に分かれ、
リハビリ治療は機能障害・能力低下・社会的不利の
3つの障害レベルに分かれる。
そして治療法、訓練手技、社会的サポートなど
研究業績をエビデンスに基づいて
ランク付けを行った。

今回は最もランクの高いグレートA
(行うように強く勧められる)を紹介する。
グレートAは前回の脳卒中治療ガイドラインの構成に記載したように
RCTのメタアナリシスもしくはRCTが一つ以上のものを指す。
内容は次のようなものだ。
 1.リハチームによる集中的な介入
 2.廃用症候群を予防し早期からの
  積極的リハビリテーションの実施
 3.脳卒中後遺症による運動障害に対する
  リハビリテーションの実施
 4.歩行障害の改善に対する起立-着座、
  歩行などの下肢運動の十分な量
 5.麻痺上肢に対して多くの課題を
  繰り返し日常的に使用を促す
 6.重度の嚥下障害に対する経皮内視鏡胃瘻造設
  による経皮栄養
 7.有酸素性能力および運動時の収縮期血圧を改善するための
  有酸素運動トレーニング

ちなみにグレードC2以下のもの
(科学的根拠がないので勧められない)では
 1.脳卒中後の中枢性疼痛に対するカルバマゼピン投与
 2.嚥下障害に対する咽頭冷却刺激
 3.片麻痺側の肩の疼痛に対するポジショニング、
  テーピング、バイオフィードバックによるアプローチ
 4.片麻痺側の肩の疼痛に対するステロイド関節内注射
となっている。3.4.と肩に対する治療で
2つもC2以下のものがあるが、
グレードB(行うよう勧められる)
少なくとも1つのレベル2の結果を指す
肩に対する治療では
 1.肩手症候群の疼痛に対するコルチコステロイドの
  低用量経口投与
 2.疼痛軽減と亜脱臼改善を目的とした電気鍼療法
 3.関節可動域と亜脱臼の改善を目的とした電気鍼療法

早期に座位-起立、歩行などのリハを行うことの重要性は
間違いないようである。
今までは当たり前に行ってきたものが
根拠がないものも多い。
ガイドラインによる変更は
常に追っておくことが必要となるのではなかろうか。
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CVAの筋緊張について 

CVA発症後、筋の緊張を問題とすることは多い。
随意性が低下しているために目的とする動作を
行うことが難しくなる。
回復段階ではBrunnstrom stageを用いることが多いが、
質的な順序尺度となるため細かな変化を捉えることは難しい。
緊張の度合いとしてはModified Ashworth clinical scaleが
臨床では最もよく用いられている。

最近では筋の緊張は中枢神経以外の
生体力学的な関与も大きいとされ、
筋・腱・軟部組織の粘弾性も考慮しておくことは
重要である。構造的な柔軟性が低下していれば、
伸張刺激によるストレスはより容易に強いものになる。
運動による緊張の促進、痙性の増強、反射の亢進を
過大評価し運動量が低下することで廃用症候群など
二次的な障害が出現することは注意しなければならない。
筋力と歩行に対する相関は多く報告されているため、
廃用による2次的障害は避けるように注意が必要である。

1)関勝:痙性片麻痺患者における足関節他動運動時の
 生体力学的特性と関する研究.リハ医学38:259-267,2001
2)Dietz V,et al:Reflex activity and muscle tone during
 elbow movements in patients with spastic paresis.
 Ann Neurol 30:767-779,1991
3)Dietz V,et al:Normal and impaired regulation of muscle
 stiffness in gait;a new hypothesis about
 muscle hypertonia.Exp Neurol 79:680-687,1983
4)Dietz V,et al:Motor unit involvement involvement in
 spastic paresis.Relationship between leg muscle
 activation and histochemistry.J Neurol Sci 75:
 89-103,1986
5)Bohannon RW,et al:Imterrater reliability of modified
  Ashworth scale of muscle spasticity.
 Phys There 67:206-207,1987
6)江西一成:脳血管障害者における臨床の危険性と対策.
 MB Med Reha 72:63-70,2006
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反省という概念 

反省とは自己の行ないをかえりみること。
自分の過去の行為を考察し
批判的な評価をすることである。
反省は生きていく上で必須のスキルであり、
これにより自己の行動に修正を与え、
環境に適応するよう変化していくことが可能になる。

反省は問題解決思考のスタートとなり、
ストレスに対抗する上で非常に重要な思考となる。
高度経済成長で効率が重視されていた時代では
あまり意識されることはなかった。
その頃の男性は日本経済の目まぐるしい発展とともに
お金を持つ地位を持つことが最優先され、
育児に参加することは難しかった。
その結果、子供の発育に影響を及ぼした可能性が指摘され、
男性の育児に対する意識が高まっていった。

現在はマスメディアの影響もあって男性の育児参加は
増えてきているが、男性の育児参加で重要なのは
おむつ交換や家事の手伝いではない。
それも女性の精神的安定には重要ではあるが、
男性が客観的に物事を判断する能力である
反省を子供にいかに教えることが
非常に重要になってくる。

論理的な考えは男性が得意とする場合が多い。
いわゆる理系の脳である。
理屈っぽく、相談しても話を聞いてくれず、
「こうすればいい。」「ああすればいい。」
という嫌いな女性も多いあの能力である。
女性は本能的に子供や家庭を守るために
精神的な反応的な能力が働きやすくなっている。
反省には客観的な判断が必要だ。
(個人差はあるので一概に
男女で分けることが
できないことを付け加えておく)

子供の精神的な発育に影響を及ぼしているのは
ゆとり教育だけの影響ではない。
経済至上主義思想によって
男女ともに仕事にエネルギーが費やされる状況下で、
子供に意識を向ける余裕が失われている。
時代の変化とともに子供に求められるものも急激に変化した。
「早くしなさい」でなく「どうすればよいか」
効率、結果重視から過程重視に。

では反省とは具体的にどういうふうに
考えていけばよいのだろうか。
これは仏教でいう因果応報。
何か起きたときの因果の考え方となる。
原因(因)があって結果(果)が起きる。
日本人は何かあるとすぐに「誰の責任か。」
と犯人探しをする習慣がある。
しかし責任をとらせることで再度同じ過ちを犯し、
結局、安全管理や危機管理そのもののシステムは
あまり重要視されてきていないことも多い。
原因を他者や環境のせいにするのは
目先のストレスを減らすにはいいかもしれない。
しかし、その考えでは問題は他者や環境にあるので
自分ではどうすることもできないことになる。
自分のやってることが相手次第、環境次第になり
どうにもできないジレンマに陥るために、
結果的には慢性的なストレスを抱えることになってしまう。

また自分が悪いという考えも違う。
自分自身を責めたところで何も変わらない。
自分が悪いのではなく、何が悪いのか。どうすればよいのか。
こうやってどの行ないを正すのかが反省であり、
問題解決思考に繋がっていくのではなかろうか。
自由や個性が叫ばれる中、環境適応とのバランスを失い、
苦しんできる人が増えている。
自由とは自己責任。自分で選択しなければならない。
幸せを自分で探すというのは決められた道を歩くのと違い、
とても難しい。とても多くの知識や能力を有する。
また自分の道も自信を持つことができず、
他人の道と比べ迷い不安になる。
また個性は役に立ってはじめて意味のあるものになる。
周りに迷惑をかける個性は変態と対して変わらない。

自己を大切にすることと環境と適応することは
どちらか一方では生きていくことは不可能である。
うまくいかなかったとき、誰かを責めたり自分を責めたりして
慢性的なストレスに陥るよりも、
勇気を持って何を変えるべきか考え実行していくことが
これから必要になってくるのは間違いないのではなかろうか。
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Category: 心因性

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あなたの職場は、紙カルテ?電子カルテ? 

理学療法士・作業療法士のサイト 療法士.com

当院も来年度から電子カルテに
なりそうな雰囲気になっている。
よりによって来年度6年に1度の医療介護同時改訂・・・。
来年度は波乱の幕開けとなりそうです。

電子カルテになるとうちの部署に何台PCが入るのか?
部門ソフトはどういったものが入るのか?
職員のPC操作はどうか?などが
パッと思いつくところであるが
実際には他部署との情報共有など
よりシミュレーションが必要になることは
言うまでもないだろう。

電子カルテに振り回されるのではなく、
いかに仕事を効率よく回すためのツールにするか
勝負所なのかもしれない。
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Category: ブログテーマ

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身体中心概念 

身体中心軸(body center line)が認知できなければ
運動に強く影響するという考え方。
それにより身体ー精神を最適に保つことが重要。
フロイト・ユングからRoxendall、Ulla-Britttが開発。

身体中心軸が認知できなければ、
balance能力やgrounding能力
(足を地面に接地した感覚、
立位姿勢を実感した感覚)の低下が出現する。

grounding能力は立位姿勢の実感や
身体が存在する現実感を認知する。
これにより自己の存在とも関係し、
精神的要素とも繋がりを持つ。
grounding能力が低下することで
その逆が起こり不安や恐怖の感覚が誘発される。

精神病患者の場合、
自己の知覚がや見当識が低下していることは多い。
これは薬物の副作用、判断力の低下、運動不足もあるが
grounding能力の低下も関係してくる。
これにより身体が存在する自己の存在感が低下するため、
自分が自分でない感覚となり、不安や恐怖が誘発される。
姿勢としては氷の上を歩くような姿勢(クローズドの姿勢)をとり、
両肩をすくめ背中を丸めた姿勢をとるようになる。

中心軸に気づき(awareness)、
精神と身体のバランスをとることで
生活とQOLの改善に繋がる。

身体中心軸能力を向上させるためには
身体的リラクゼーションと精神的リラクゼーション
そしてバランス能力の向上とgrounding能力の改善が
必要なアプローチである。
その他にストレッチや筋力訓練、
リズム体操も併用することができる。

身体的リラクゼーション
自己の緊張に気付き緊張の解放を行うことにある。
マッサージやストレッチなど効果的である。

精神的リラクゼーション
リラックスと身体軸の認知が重要である。
身体中心軸を意識することで精神的な安定も
得ることができる。
背臥位から呼吸が落ち着くまでリラックスし、
足を抱える。ゆっくりと発声するなど
導入に用いられることも多い。

grounding能力
接地感覚を向上させる。これにより接地時の足音が
力強いものに変わる。
裸足で地面を踏んだり、ボールスティックを利用したり
足底の感覚を入力するように促していく。

バランス能力は様々な問題により生じる。
grounding後、片足立ち、
足を前後左右に広げ重心移動。体幹を回旋させる。
などの動きを行う。それにより中心軸を意識する。

身体中心概念により体の感覚をしっかりと入力し、
精神と身体の状態を自分自身でコントロールすることは
コンディションを整える上で大切なことである。

1)Stewart NJ,et al:Movement therapy with
 depressed inpatient a randomized multiple
 single care design.Archives of Psychiatric
 Nursing 8:22-29,1994
2)Skatteboe UB,et al:Body awareness group
 therapy for patines with personality disorders.
 2 Evaluation of the body awareness rating scale.
 Psychother Psychosom 51:18-24,1989
3)Amanda L:Basic Body Awareness Therapy.
 Lund University,Sweden,2001
4)Roxendal G:Body-Awareness Therapy and The Body
 Awareness Scale Treatment And Evaluation In
 Psychiatric Physiotherapy Graduate Thesis University
 of Goteborg,Sweden,1985
5)Skatteboe UB:Body Awareness Rating Scale,
 BARS-Bevegelsesharmon .Hi-rapport,Oslo,2000
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Category: その他

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なぜ・・理学療法士になったか? 

理学療法士・作業療法士のサイト 療法士.com

今回のテーマは「なぜ・・理学療法士になったか?」
私の場合は当時あまり考えていなかったように思う。
勉強があまり好きではなかったので
どうしようかと悩んではいた。
「夢はないのか?」とか「夢だけじゃ食っていけない。」とか。
矛盾する大人の言葉に戸惑いながらも
自分を信じるだけの自信もなく、
何すれば食っていけるのかという社会的教養もなく
ただ就職や専門の情報誌みたいなものをめくっていた。

ふと目についたものが理学療法士の専門学校の紹介。
こんな職業があったのは知らなかったし、
なんかかっこよさそうだったので
一目惚れしちゃった感じです。

あの頃はただ楽しい毎日を探しているだけで、
自分自身のことってあんまりみていなかった気がする。
人のための仕事につこうと思うのは
案外自分がなかったからなのかもしれない。

今でも自分自身とは毎日のようにぶつかり合ってるけど、
自分と向き合うことって大事だと思う。
がむしゃらにいろいろやる時期も大切だけど、
自分が何を感じてなぜ行動するのかわかってくると
いろいろなことが繋がってくる。

仕事をしていく中で悩むことや苦しむことは
いろいろとたった。
辛い思いで怪我や病気と向き合ってる患者さんから
いろいろなものを学ばせてもらったと思う。
これからもっともっと恩返ししていけるような
人間になっていきたいと思っている。
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身体の内部調節 

身体の調節は機能に関わる、
痛み、可動性、筋力、心理面や
構造別で考える、
筋、関節、神経、脳と分別される。
ターゲットを明確にすることで
目標に対するアプローチが明確になる。

また内部の調節も身体機能にとっては重要である。
良好な機能や構造の状態であっても
適切なパフォーマンスを生むためには
内部の調節は切り離すことができない。

内部調節では身体と精神の状態を
緊張とリラックスの中間におくことから始まる。
外界に適応するための感覚入力や
動作を起こす筋出力のバランスを考えた場合、
緊張とリラックスの中間はポイントとなる。
現代人は緊張が強い場合が多いため、
リラックスを求められることの方が多い。
身体的なリラックスでは筋の緊張や短縮を
解放することが必要となる。
マッサージやストレッチなど併用することが有効である。
精神的なリラックスは深呼吸や中心軸の意識が
有用である。ゆっくり発声をしたり
ヒーリングミュージックを使う方法もある。
身体と精神のリラックスができたら
次に感覚入力である。
groundingにより足底から感じる地面の感触に注視する。
身体と地面との繋がりを感じることができたら、
中心軸を意識した状態で様々な動きに適応させていく。
重心移動、体幹の回旋、片足立ちなど。
このとき中心軸を常に意識し続けること、
groundingを感じることが大切である。

様々な動作や運動をする際、身体は環境に適応している。
身体と精神を緊張とリラックスの中心をとる。
また地面と身体を一致させ、中心を維持していく。
こうした常に中心をとり続ける概念は日本古来から伝わる、
伝統や武道の世界では必須のものである。
古くから用いられていた忘れかけている大切なものを
再び現代でもっと有効に利用していくべきではなかろうか。
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Category: その他

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全身状態:易疲労性 

リハビリテーションを行っていく上で、
全身状態は影響の大きいものである。
しかしながら、専門外の知識も必要となり
訴えから推定原因をとらえるのは難しい。
訴えや自覚症状などの情報収集から
どのようなフィジカルアセスメントを
行っていくか記載していく。

倦怠感だるい、疲れやすい。など訴えが曖昧で、
その後どのような問題があるのか想像しにくい。
またこのような状態であれば、
筋力や筋持久力、協調性など多くの要素に影響を及ぼし、
全体的なパフォーマンス減少も回避できない。
倦怠感に関係するものをいくつか述べていく。

「食事がとれているか?」
食事がとれていない、偏食気味
 1.貧血
  自覚症状
   動悸、息切れ、めまい、頭痛
  フィジカルアセスメント
   視診:まぶたの裏白い
   触診:手足冷たい

 2.ビタミンB1欠乏
  自覚症状
   手足のしびれ
  フィジカルアセスメント
   触診:足のむくみ
   反射:深部腱反射の低下

「睡眠はとれているか?」
あまり眠れていない
 自律神経失調
  自覚症状
   めまい、頭痛、動悸、肩こり、腰痛
  フィジカルアセスメント
   視診:顔が赤い、汗ばんでいる
   脈診:頻脈

日中眠い
 睡眠時無呼吸症候群
  自覚症状
   起床時頭痛
  フィジカルアセスメント
   血圧:上昇
   脈診:不整脈
   肥満

「体で気になることはないか?」
体重が増えた
 甲状腺機能低下症
  自覚症状
   体重増加、便秘
  フィジカルアセスメント
   視診:皮膚の乾燥
   触診:押しても戻らないむくみ(粘液水腫)
   脈診:徐脈、不整脈

体重が減った
 癌
  自覚症状
   急激な体重減少

体がこわばる、つまずく、足下が見えづらい
 パーキンソン病
  自覚症状
   便秘、抑うつ
  フィジカルアセスメント
   視診:安静時振戦
    表情乏しい、瞬き少ない、あぶら顔、
    体が前屈し下肢が屈曲
   筋緊張検査:固縮
   姿勢反射:立ち直り反応の低下
   歩容:すくみ足、小刻み歩行、突進減少
 
 進行性核上性麻痺
  自覚症状
   便秘、抑うつ
  フィジカルアセスメント
   視診:頭部後屈の姿勢、
    眼球運動障害(特に下方などの垂直方向)
   筋緊張検査:固縮
   歩容:すくみ足、小刻み歩行、突進減少

「検査で異常はないか?」
貧血と言われた
 貧血
  自覚症状
   動悸、息切れ、めまい、頭痛
  フィジカルアセスメント
   視診:まぶたの裏が白い
   触診:手足が冷たい

低血圧と言われた
 本態性低血圧
  フィジカルアセスメント
   血圧:低下

血糖が高いと言われた
 高血糖による倦怠感
  自覚症状
   多飲、多尿、口渇、空腹感、体重減少
  フィジカルアセスメント
   視診:皮膚の乾燥、かゆみ

肝臓が悪いと言われた
 肝機能低下
  自覚症状
   食欲不振、掻痒感、黄色尿
  フィジカルアセスメント
   視診:顔色が悪い(浅黒い)、白目が黄色
    手掌紅斑、男性乳房肥大、口臭強い
   触診:腹圧の亢進

腎臓が悪いと言われた
 腎機能低下
  自覚症状
   色の薄い尿
  フィジカルアセスメント
   視診:顔色が悪い、まぶたの裏が白い
   触診:足のむくみ、手足が冷たい
   血圧:上昇

だるい、疲れやすいという訴えからでも
これだけのものに分類することができる。
訴えから次の質問を何にするか。
それにより適切に情報を絞り込むことが可能になる。
またこれらのアセスメントにより、
内科受診の緊急性や必要性の判断もある程度可能となる。

1)吉松竜貴:全身状態,PTジャーナル44:795-803,2010
2)林 純:全身倦怠感(初診外来における初期診療).
 診断と治療98:85-89,2010
3)小田浩之:なんか体がきっつい-全身倦怠感(特集緊急外来で
 軽症にみえる重症患者を見抜く)レジデントノート?:44-50,2009
4)寺戸通久:倦怠感がひどいです(特集.新人ナース必須!
 救急患者への問診.アセスメント必須講座14).
 エアージェンシー・ケア23:368-371,2010
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全身状態:易疲労性 概要 

易疲労性は倦怠感などの訴えとして、
だるい、疲れやすいと表現されることが多い。
いくつかの要因によって誘発されるが
食事、睡眠、体重変化、こわばり感などの
その他症状があるかどうかや、
検査での異常などが手がかりとなることがある。

食事では小食や偏食が関係する。
高齢者やダイエットをしている女性、
またアルコール依存症などが多い。
ビタミンB1が不足した場合は
心不全や末梢神経障害が誘発されるため
下肢の浮腫やしびれが生じる。

睡眠は交感神経優位になると障害が起きやすい。
ストレスや環境変化などが誘因となり
不眠の原因となってしまう。

体重は甲状腺ホルモンの働きが低下すると、
代謝が減少し体重は増加しやすくなる。
発汗減少と皮膚の乾燥の他、便秘や倦怠感などの
症状も出現する。
副腎皮質ホルモンの働きが低下(アジソン病)すると、
体重減少が起こるとともに倦怠感も出現する。
またダイエットも栄養障害による倦怠感を生じさせる。
1ヶ月あたり4kg以上の体重減少がある場合、
低栄養や癌を疑う。

こわばり、つまずき、足下がみられないでは
パーキンソン病や進行性核上性麻痺などの
ドーパミン分泌障害で起こる。
固縮や歩行障害など症状はよく似ているが、
パーキンソン病は前屈傾向で安静時振戦があり、
進行性核上性麻痺では後屈傾向で眼球運動障害が
出現するのが特徴である。

検査異常がある場合、
貧血は血中ヘモグロビンの減少により酸素不足が生じる。
めまいや倦怠感が生じる。
低血圧は収縮期血圧が90mmhg以下に
なる場合症状が出現しやすい。
低血圧とともに血行不良が生じ、酸素不足が症状に関係する。
また下痢や嘔吐などによる脱水も低血圧の原因となることがある。
高血糖でも倦怠感が生じる。
糖尿病ではインスリンの感受性が低下し、
血中から細胞内のブドウ糖が阻害。
細胞がエネルギーを利用できず倦怠感を生じる。
糖を尿から排出しようとするため
尿量増加、それに伴う脱水、口渇、多飲となる。

内蔵機能の問題では
肝機能障害では倦怠感、食欲低下、顔色不良。
進行すると微熱、黄疸、口臭が強くなるなどの
症状が誘発される。
腎機能障害では倦怠感、頻尿、貧血、顔色不良。
進行すると浮腫、尿量減少、うっ血性心不全、肺水種と
症状が誘発される。

内科的な問題の場合、把握することが困難かもしれない。
しかしながら、現在の能力障害が運動期によるものか
内部障害によるものかを判断することは
何が問題点かを明確にすることができる。
また療法士がアプローチ可能なものとそうでないものを
判別することで効率的なアプローチが行えるのではなかろうか。

1)吉松竜貴:全身状態,PTジャーナル44:795-803,2010
2)林 純:全身倦怠感(初診外来における初期診療).
 診断と治療98:85-89,2010
3)小田浩之:なんか体がきっつい-全身倦怠感(特集緊急外来で
 軽症にみえる重症患者を見抜く)レジデントノート?:44-50,2009
4)寺戸通久:倦怠感がひどいです(特集.新人ナース必須!
 救急患者への問診.アセスメント必須講座14).
 エアージェンシー・ケア23:368-371,2010
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全身状態:めまい、ふらつき 

めまいやふらつきの症状や問題となる器官が
いくつも存在するために特定も難しい。

ぐるぐる回るよう
「他の症状は?」
耳鳴り吐き気がする
内耳の障害、突発性難聴、メニエール病、薬剤の副作用。
 自覚症状
  聴力の急激な低下と周期的なめまい
 フィジカルアセスメント
  観察:声が大きい、声をかけても気づかれない

特にない
 BBPV、前庭神経炎
  自覚症状
   特定の頭位や頭位の変動でめまいが出現する。
  フィジカルアセスメント
   Dix-Hallpike test

ふわふわ浮くよう
「他の症状は?」

頭痛、手足のしびれ
脳血管、脳幹・小脳の障害、脳腫瘍、脊髄小脳変性症
 自覚症状
  脳圧亢進による悪心、嘔吐。
 フィジカルアセスメント
  血圧:上昇
  視診:顔の歪み、よだれ、視線が合わない
   呂律が回らない、歩行障害

特にない
一過性の高血圧
 フィジカルアセスメント
  血圧:上昇

1)吉松竜貴:全身状態,PTジャーナル44:795-803,2010
2)中山杜人:プライマリーケア-医のためのめまい診療の進め方,
 新興医学出版社,2005
3)小田恂:めまい・難聴・耳鳴・日本医事新報社,2005
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Dix-Hallpike test 

Dix-Hallpike test
良性発作性頭位めまい症(BPPV)
の鑑別および障害側の判断に用いる。

長座位で頸部を45°どちらかに回旋。
そのまま背臥位となる。
頸部が伸展するようにしたときに眼振があれば
回旋側が観測となる。
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全身状態:めまい、ふらつき 概要 

ぐるぐる回る感じと表現される回転性のめまいと、
体がふわふわする。船に乗っているようなと表現される、
浮動性のめまいがある。

回転性のめまいでは
内耳の障害が多く、
悪心、嘔吐、難聴を伴うことも多い。
聴力の低下があれば突発性難聴が疑われ、
周期的なめまいが生じる場合メニエール病が疑われる。
メニエール病は耳石の遊離によりリンパ流動を妨げることが
原因とされている。
突発性難聴は早期治療が有効なため緊急性が高いが、
メニエール病は緊急性が低い。
耳鳴りや難聴がない場合は
前庭の障害の可能性が高い。
頭位の変動でめまいが生じるのが特徴で、
良性発作性頭位目眩症(BPPV)と言われ、
Dix-Hallpike Testによる評価と
Epley法によるアプローチが有効である。
またこれら症状が長期的(24時間以上)続く場合は、
前庭神経炎を疑う。

浮動性のめまいでは緊急性の低い
一過性の血圧上昇が頻度として多い。
(約数秒~数分)
頭痛、しびれ、神経症状があり持続時間が長いものは
緊急性の高い中枢性障害も疑われるため
注意が必要である。
中枢性障害の場合、顔の歪み、よだれ、視線が合わない、
呂律が回らない、歩くことが困難などの症状が出現する。

めまい症状も臨床的に経験することが多いが、
緊急性の高いものと低いものの判別は重要である。

1)吉松竜貴:全身状態,PTジャーナル44:795-803,2010
2)中山杜人:プライマリーケア-医のためのめまい診療の進め方,
 新興医学出版社,2005
3)小田恂:めまい・難聴・耳鳴・日本医事新報社,2005
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2011-10
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