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理学療法の評価と治療

理学療法に関連する臨床・研究・教育と評価・治療について書いていきたいと思います。

2013年03月の記事一覧

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画像所見と腰痛の関連 

レントゲンと腰痛の関連で
否定的な論文は少なくない。
画像上の変化が腰痛と関連しているとは
限らないということである。
以下の論文でもこれらについて述べられている。
画像と腰痛の関連性がないとの報告の他、
XPの異常所見と腰痛が関係ないとするもの。
腰椎の前彎の強弱や骨盤の歪みと腰痛が
関係ないとするものまである。

個人個人によってそれは腰痛と関係する場合はあると言える。
この報告から画像所見のみで腰痛の存在を示唆することは
できないということが示唆される。
XPでは骨は確認できるが軟部組織は確認できないため、
軟部組織の異常は無視されることになる。
辷り症や分離症にしても脊柱管の直径には個人差があるので、
大きく脊椎の変位があったとしても症状が誘発されるとは限らない。
神経根の問題でも炎症が生じているのかどうかは
XPで確認することは困難である。

非特異的腰痛

また最近では日本整形外科学会と日本腰痛学会が
腰痛の発症や慢性化には心理的なストレスが関与し
画像で原因が特定できない腰痛が大半を占めるという指針をまとめている。

指針では腰痛は発熱や胸部痛といった危険信号で
・癌や外傷、感染などの重い脊椎疾患が疑われるもの
・麻痺やしびれ、筋力の低下など神経症状を伴うもの
・原因が特定できない非特異的腰痛
に分類することが重要とした。

非特異的腰痛はぎっくり腰やストレスが原因となっており
全体の85%を占めると報告がある。
画像は参考になるがそれのみでの判断は評価を誤らせる原因となる。
理学所見と照らし合わせ仮説を検証する作業は
療法士として必須であると言える。
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Category: 腰椎

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非特異性腰痛のヨーロピアンガイドライン 

非特異性腰痛のヨーロピアンガイドライン
次のようになる。

推奨できるものとしては
認知行動療法・運動療法(セラピスト管理下)・教育・
集学的治療(生物学・心理学・社会学)

考慮に値するものとして
腰痛学校と徒手療法・モビライゼーションが
短期間に限り有効である。

推奨できないものとして
温熱・牽引・干渉低周波・コルセット・
マッサージ・レーザー・鍼治療

推奨しないものとして
TENS・筋力トレーニング・有酸素運動・
Mckenzie・ウイリアムスなど
が挙げられている。

運動することは大切だが、受動的な治療は依存に繋がり
慢性化する可能性を示唆しているのかもしれない。

これらは統計になるので全般的に効くかどうかの話となる。
きちんと評価をしサブカテゴリーに分類することができれば
効果のある人とない人をより選別できるのではないだろうか。
すべての腰痛の患者さんに効果のあるものはないが、
その方にあったアプローチを選別することは必要である。

非特異的腰痛

1)European guideline for the management of chronic
nonspecific low back pain:Eur Spine J 15(Suppl.2):S192-S300,2006
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Category: 腰椎

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非特異的腸痛の介入 

非特異的腰痛の介入に関して
西欧諸国15のガイドラインのサマリーでは
次のようなものが挙げられている。

急性期・亜急性期では
・患者が安心すること
・活動を維持すること
を提唱している。
もし患者が不安になり、安静を長期化するようになれば
心身の状態は悪化のスパイラルをたどることになる。
腰痛を重大なものであると
過度な心配にならないように。
また心理的な問題を誘発しないためにも
活動を維持するよう促すことが考えられる。

また慢性期になると
・薬物や徒手療法は短期間のみ
・物療は勧めない
・認知行動療法
などが挙げられている。

薬物や徒手療法に関しては短時間であれば
効果が期待できるということを意味しているのであろう。
症状の変化があれば
患者さんは希望を見いだすことができるし、
症状の軽減に伴い活動性の向上が認められるかもしれない。
しかし、長期化することは依存を強め
治療なしには生活できないといった心理を作る
副作用も秘めている。

また物療を勧めないというのも、
受動的な治療は依存を生む可能性を示しているのかもしれない。

最後の認知行動療法に関しては、
反応や感情は自らコントロールすることはできないが、
思考や行動次第で自らコントロールできることを学ぶ。
これにより行動の変化で心理状態も変化し、
疼痛を常に意識した生活から、
以前の脳の状態での生活に戻すことを期待できる。

やはり非特異的腰痛に関しては
いかに自分で調節できることを理解できるか。
またそれに対して療法士は適度な手助けができるか
そういったことが非常に重要なのであろう。

症状に合わせた適切なアプローチも大切だが、
自主訓練とともに自ら治せるといった意識。
頼られることは療法士としてはうれしいものだが、
最終的には本人自身でなんとかできるといった
気持ちになってこそ、本当のアプローチなのだろうと思う。

非特異的腰痛2
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Category: 腰椎

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非特異的腰痛の割合 

非特異的腰痛の割合はどのくらいなのであろうか。
重篤な器質疾患は全体の腰痛の中の15%程度である。
画像所見やその他検査により、疾患がはっきりするものである。
骨折・ヘルニア・狭窄症をはじめ、
神経症状の可能性の高い膝下の症状の他、
内科疾患である腫瘍や感染などがこれにあたる。

そしてこれらに当てはまらず、
画像や理学所見と一致しない非特異的腰痛
なんと85%にも及ぶのである。

大部分がこうした非特異的腰痛となるのは
非常に興味深いことである。
画像では導きだすことの困難な筋骨格系の問題は
理学療法評価により、もっと詳細に
腰痛のサブカテゴリーを調べていく必要がある。

非特異的腰痛3

1)Deyo RA et al:What can the history and physical examination
 tell us about low back pain?JAMA 268:760-765,1992
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Category: 腰椎

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腰痛のRed flag 

医療では重篤な状態の判別は非常に大切である。
診断では即手術や治療の必要性があるものと、
そうでないものとの鑑別が最も重要である。
このような鑑別は診断的トレアージと呼ばれるが、
重篤な状態のものはRed flagと呼ばれる。

腰痛においてもRed flagはいくつかあり、
これに該当するものは理学療法ではなく
医師の治療のほうが優先的に行なわれるべきである。
アメリカではPTのクリニックがあるため
これらの知識は必須であるが、
日本においても遭遇する可能性は十分ある。
そのため医師のみならず療法士も
これら鑑別に対する知識は必要である。

では腰痛のRed flagとは
一体どういったものがあるのだろうか。

まずは骨折
高齢者の多い病院では最も遭遇率が高い。
ステロイド服用者や骨粗鬆症、
転倒後動けなくなった患者などが該当する。
レントゲンで確認することで判断する。

次に感染
腰痛症状の他に発熱がある場合。
感染症にかかっている場合がある。
MRIの他、ESR・CRPで判断する。

そして腫瘍
50歳以上で急激な体重減少。
癌の病歴があったり、
長期間の腰痛があるなどの特徴がある。
これもMRIの他、ESR・CRPで判断する。

また馬尾症候群もこれにあたる。
排尿障害や便失禁、立ち上がり困難や
サドル麻痺が特徴である。
MRIの他、ESR・CRPで判断する。

最後に強直性脊椎炎
朝のこわばりや交互に生じる臀部痛、
運動で緩和するなどの特徴がある。
MRI・ESR・CRPの他、HLA-B27で判断する。

これらRed flagの場合は
通常の腰痛より強い痛みがあったり、
長い期間腰痛が持続したりする。
また内臓疾患の場合は安静時にも
疼痛が持続するのが特徴である。
またストレスで悪化する場合は、
心理的な要因による脳の機能障害が疑われる。

私たちのメインの対象になる
非特異的腰痛は筋骨格系の影響が大きく、
姿勢の変化や動作により
症状の悪化や減少があるのが特徴である。

非特異的腰痛4

1)Chou R et al Ann Intern Med 2007
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Category: 腰椎

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腰痛のGreen lightからYellow flag 

重篤な状態であるRed flagでない場合の腰痛は
心配のない腰痛としてGreen light(青信号)と呼ばれる。
すぐに手術や治療をしなくても問題のない腰痛である。

これらの症状の80〜90%は痛みの症状であり、
6週間以内に90%改善すると言われる。

また5〜10%の患者に神経根症状が認められが、
これも6週間以内に50%改善すると言われている。

神経根症状だがデルマトームに一致しない症状も多く、
真の神経根症状なのか偽根性のものなのか
評価による鑑別は必須である。
最悪ひとつの神経根が完全に機能しなくなったとしても、
運動機能においては各筋多恨性支配であるため、
訓練によりある程度の筋力の回復は見込むことができる。

通常は時間とともに回復することが多いため、
保存治療を選択されることが多い。
しかし心理的な問題などが同時に存在し、
安静・休職・活動低下など活動性が低下してしまうことで、
Yellow flagに移行してしまう可能性がある。
これは腰痛が慢性化し、長期の活動性低下となるものである。

現在では腰痛が生じても
できるだけ活動性は維持することが推奨されている。
これは短期的な身体的問題よりも
長期的に考えた時の精神的問題を
回避するという意味も大きいのであろう。

Green lightをYellow flagにしないよう
介入していくことも大切な役割ではなかろうか。

非特異的腰痛5

1)Frymoyer JW N Engl J Med 1988
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Category: 腰椎

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心的ストレスと痛み 

心理的ストレスによって疼痛が出現することは少なくない。
ストレスによる痛みと慢性疼痛参照
ストレスは脳に影響するため
睡眠障害や抑うつ、めまいや耳鳴、
息苦しさや動悸、胃腸障害の他、
交感神経を優位にするため
末梢血管の収縮や筋の緊張を誘発する。
そうすると頭痛や肩こりなどの症状も出現する。

心理的ストレスが腰痛に関わる場合は
腰痛や背中のはり以外に上記のような症状が
伴っていることが多い。

非特異的腰痛6
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Category: 腰椎

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予後に影響する心理的要素 

臨床経験の中で心理的な要因が
予後に影響することを感じることはないだろうか。
直感的に「あ。この人よくなりにくいかも・・・。」
療法士が希望を持つことは非常に大切なのだが、
ついこう感じてしまう患者さんの傾向がある。

それを具体的にすると次の4つがある。
・抑うつや引きこもり
・恐怖回避行動と活動レベルの低下
・有害・重い障害が起こるという思い込み
・積極性なく受動的治療が役に立つという考え

要するに消極的で塞ぎ込みがち、
受け身で依存的な状態がこれにあたる。
やはり不安というのは動かないと増幅し、
悲観的な解釈は自らストレスを増大させる傾向もある。

たいしたことない大丈夫。
自分でやれることはやっていこう。
こういった気持ちになれるよう、
療法士が励ますことで
予後は良好に進みやすくなるのかもしれない。

非特異的腰痛7
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Category: 腰椎

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恐怖回避モデル 

痛み症状が生じたとき、
その後の解釈によって回復は変化する。
痛み体験を楽観的に捉えると、
安心でき活動や行動が維持・向上できるため
回復しやすくなる。
それに対して悲観的に解釈すると、
不安や恐れが生じそれが警戒や回避に繋がり、
活動や行動は消極的になる。
そうすると抑うつや廃用が生じ、
またそれが痛みを増加させ悪循環を生み出してしまう。

楽観的な解釈ができるよう促し、
活動性を維持・向上させることが
長期的にみると回復に繋がることになる。

非特異的腰痛8
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Category: 心因性

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疼痛を生物・心理・社会的疼痛症候群と捉える 

腰痛に代表される疼痛は単に部分損傷による
解剖学的損傷が問題な訳ではない。
受傷のきっかけが外傷による部分損傷のこともあるが、
経過に伴い症状は日常生活による姿勢や動作の影響を受ける。
また生活によるストレスなども筋肉の緊張や
末梢血管の収縮で疼痛を持続的なものにすることも多い。

これは疼痛を解剖学的損傷による部分損傷モデルから
生物・心理・社会的疼痛症候群と捉える必要がある。
ヒトとして全体を捉えてアプローチしていかなければ
根本的な改善には至らないのではなかろうか。

非特異的腰痛9
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Category: 腰椎

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動きすぎるヒトと休みすぎるヒト 

ヒトは大きく分けて
動きすぎるヒトと休みすぎるヒトに分かれる。

動きすぎるヒトの特徴としては
常にパワフルで動いていないと落ち着かない。
ストレスに関しては不安症状が出やすく、
イライラしやすい。
過度に動かすことにより炎症や筋の緊張など
微細損傷を伴うものが多い。
対処としては急激な運動量の増加を避け、
1〜2割増し程度にとどめておくことが必要である。
少しゆったりとした気持ちを持つことでバランスをとりやすい。

休みすぎるヒトの特徴としては
常に休もうとする傾向があり、動くと疲れやすい。
ストレスに関しては落ち込みが出やすく、
元気がなくなることが多い。
活動性が低下することで筋の短縮や拘縮など
かたまったりや弱くなることが多い。
動かないことが害であることを理解し、
常に活動を高めていくこと意識するとバランスがとりやすい。
慢性疼痛に陥りやすいのもこのタイプである。

動き過ぎでも休み過ぎでも体の調子は悪くなる。
話の中からどちらのタイプか予測を立てることで、
評価の絞り込みに役に立つこともできる。
またタイプに合わせた指導を行なうことで
より説得力を持たせた説明を
することができるのではないだろうか。

臨床思考
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Category: 日常生活の影響

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動きすぎる関節と動かない関節 

前回は動きすぎるヒトと休みすぎるヒトで
それぞれの対処があると述べた。
動きすぎるヒトと休みすぎるヒトの項
体も長年の使い方や怪我をきっかけに
動きすぎる関節動かない関節が出現する。

姿勢制御と運動連鎖(運動学的視点から)

姿勢制御と運動連鎖(運動学的視点から)

動かない関節の影響で動きすぎる関節の負担が大きくなることが多い。
動きすぎる関節は運動量を軽減することで改善し、
動かない関節は動くように促すことで
動きすぎる関節の負担が軽減するのである。
専門用語では動きすぎる関節は過剰運動性の関節、
動かない関節は過小運動性の関節と呼ぶ。
過剰運動性の運動量をコントロールしつつ、
過小運動性の可動性を向上させていく。
そうすることにより、一部分に負担が集中することなく
関節運動を生じさせることができる。
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Category: 運動連鎖による影響

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無意識に力が入り痛い 

骨折後など動かすときに無意識に力が入り、
それにより患者さん自身が痛みを誘発してしまう
ということを経験したことはないだろうか。

松葉杖を外す時や、歩行器から杖歩行に移行する時などに
生じることが多い。
触診では筋の緊張が認められ圧痛もある。
軟部組織に対するアプローチである程度軽減させても、
歩行になるとすぐに元に戻ってしまうのである。

これは恐怖や不安が生じたり、
「痛みが出るのではないか?」といった感情によるものが多い。
しかし、その感情は防衛本能で自然なものであるため、
患者さんも意識しておらず場合によっては気付いていない場合もある。
力さえ抜ければうまくいくのに・・・・。
こう思ったことは何度かあるはずである。

繰り返しの練習で徐々に慣れ、
力が入らなくなるケースもある。
しかし、なかなか力が抜けない患者さんや
早く次の段階に進めたい場合、
そして適切なアドバイスを伝えたい。
そういった思いになることも多い。

私がよく用いる方法は平行棒である。
歩行器から杖などに移行しようとしているのに
何でいったんレベルを落とすの?と思われる方も多いかもしれない。
しかし荷重量の調節を能動的に調節できるという点で
平行棒は非常に便利なのである。

ではこの平行棒をどのように使うのだろうか?
皆さんもそれぞれ考えてみてはどうだろうか。
次回は私の使い方を紹介したいと思う。
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Category: 心因性

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力が入ることで痛い患者さんを平行棒でアプローチする 

歩くときに不安や恐怖、そして痛いかもしれないといった
無意識からの感情により力が入って抜けない患者さんは多い。
そして力が入りすぎることで筋の過緊張を生じ、
疼痛を誘発してしまうことも多い。

ではどのようにして力みをなくすよう
アプローチすれば良いのだろうか。
私がよく用いるのは平行棒を使う方法である。
平行棒は患者さん本人が安定して歩くのに向いている。
それに荷重量を自分で調節することができるのが特徴である。
それにより、歩く時に安心感を得た状態で、
荷重量を調節することができるのである。

まずは痛くない範囲で平行棒で支えながら歩いてもらう。
平行棒の中を歩くと安心して痛みがでないことをまず確認する。

今度は少しずつ手の支持を減らしていく。
途中で力みが生じると痛みが生じたり違和感を感じると思う。
その時の足の感覚を確認してもらう。
力が入りやすいほうの足、痛いほうの足が重たいことが多い。
これは足の質量には左右差はないはずなので、
同時収縮が生じ力が相殺されているためと示唆される。
「足の重たさは左右に差はないはずです。
足を前に出そうとする筋肉だけでなく後ろにもっていく
筋肉もいっしょに力が入ってケンカしている状態なんです。」
このような説明により重さと力みの関係を認識してもらう。

「両手で持っている時は安心しているから軽いと思います。
少しずつ手を離していっても足の力が入らなければ、痛くないですよ。」
こういう問いかけにより何回か力が抜けたときに
重くなくなったり、痛みが減ったら成功である。
これがいつでもできたら力が抜けた状態で歩いていることになる。
ゆっくりと支持を減らしていったり、
1往復ずつ両手支持から片手支持、フリーと移行していったりと
繰り返しながら力の入り具合を確認していく。

それでもうまくいかない時はどうするか?
次回はさらにもう一押しのアドバイスが必要な時の対処を説明する。
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Category: 心因性

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力が抜けない場合のアドバイス 

歩くときに不安や恐怖、そして痛いかもしれないといった
無意識からの感情により力が入って抜けない患者さんは多い。
そして力が入りすぎることで筋の過緊張を生じ、
疼痛を誘発してしまうことも多い。

ではどのようにして力みをなくすよう
アドバイスをすれば良いのだろうか。
左右の足を動かすときに
頭の中で思い浮かぶことの違いを言ってもらう。
おそらく痛みが生じる側では
痛みが出るのではないかと自覚される場合も少なくない。
また動かさないとと過剰に意識している場合もある。
痛みが出ない側ではほとんど無意識で
何も考えていないことを改めて感じると思う。
同じような思いで動かせば
同じような筋肉の力の入り具合になると伝える。

また感覚に意識を集中する方法もある。
過度に力み、痛みが生じる側は
痛みの感覚に意識を集中させていたり、
動かさないとと過剰に意識している場合が多い。
無心になるのが最も良いがなかなか
それは難しいものである。
そこで運動感覚や関節覚に意識を促すように声かけをする。
「足首の関節がどこに向いてるか?」
「膝の関節がどれだけ曲がっているか?」
「股関節がどれだけ曲がっているか?」
痛みが生じない側ではこれらの感覚が非常に鮮明に感じるのを
患者さんは自覚する。
それに対して力みやすく痛みが出る側では
感覚がぼんやりしており
明らかに反対側と違う感じがするのに気付く。
これは力みにより筋が緊張しているため、
筋紡錘が正常に機能していないことを意味する。
関節の位置や動きは筋の伸び縮みの状態で認識している。
しっかり集中して感じようとすれば、
脳は力を抜かなければならないことを知っており、
自然と力が抜けてくるのである。
そしてそのときは力みも痛みもなくなっていることに
気付くよう声かけすれば良い。

力をうまくコントロールするには
体の位置がどうなっているかの感覚に集中したり、
反対側との違いに気付くことなどがコツである。
これらのアドバイスは患者さんの脳に対して
言語から介入する方法になる。
信頼関係はもちろんのこと患者さんが理解しやすい言語や
普段用いる言語で伝えることも重要である。
また声かけのトーンや高さ、タイミングなども重要であり
リラックスを誘導する穏やかでゆったりとした声を
適切なタイミングで促すことが必要である。
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Category: 心因性

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行動の弱化 

転倒後や疼痛が生じた場合、
気持ちは落ち込み動くのを避けるようになる方は多い。
行動して不利益が生じた場合、
行動そのものの欲求が低下する。

「行動したから転倒してしまった。」
「行動したら痛かった。」
そのようにあとから解釈してしまうと、
行動そのものを起こさないように回避してしまう。
「歩いたから転倒した。」
「外出なんて危ないからしないほうがよかった。」
「歩いたら痛かったから歩かないほうが良い。」
急性症状の軽減には一時的に運動量を下げたほうが
有効なこともあるが長期的に考えると
不安や恐怖が増大する悪循環となる場合も少なくない。
「もう怖い思いや痛い思いは二度としたくない。」
そういった心の訴えが心だけでなく体も
守りを固めてしまうことになる。

不安は目をつむりその場にとどまるときに増幅する。
過去や未来といった思考にとらわれ過ぎてしまい
あることないこと悲観的なイメージを作ってしまう。
目を開け動き出すと案外たいしたことはなかったりする。
「案ずるより産むが易し」である。
頭でいろいろ考えるとかえって難しくなるが
やってみると案外たいしたことではなかったりする。

「よく考えたら転倒したのはいつもとは違う歩き方をしてた。
急いでたし物も手に持ってたし何より足下が見えなかった。
いつも通り歩けば問題ない。」
「痛さもそのうち減ってくる。先週よりはずっとよくなってるもの。」
「また旅行に行きたい。今は本調子じゃないけど、
また旅行に行けるようになる。」
こういった解釈ができると、また行動的になり自信も出てくる。
あとは急激に運動量を増やしすぎると、
筋肉痛などの症状で落ち込むことが予測されるため、
週に1〜2割程度で段階的に量を増やしていくことだけ伝えておく。
一度良くなったあとに調子が崩れると
精神的なダメージはより大きいためである。
前向きに少しずつ前に進むことがとても大切である。

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エンドフィールで病期を探る 

病期の判断は運動量の調節や患者さんの説明に非常に重要である。
動かすほうが良いのか慎重なほうが良いのか。
今がどういう状況でどうすればよいのか。
こういった部分は病期を理解していれば説明しやすくなる。

病期を探るときに使える物として
エンドフィールがある。
関節の最終域での治療者の感じる感覚から、
様々なことを予測していく。
病期もエンドフィールの情報により
ある程度の予測を付けることができる。

急性期では少し動かしても痛みが出現し、
エンドフィールとしても抵抗感を感じる前に
筋によりブロックされる感じがある。
これが筋スパズムによるものであるが
これが関節運動の早い段階で生じる場合は
急性期の可能性が高い。
またしかめ面(grimace sign)もわかりやすい指標である。

亜急性期前半では急性期と同じく筋スパズムとgrimace signが生じる。
しかし急性期よりも可動範囲が増加し、筋ズパズムの低下に伴い
エンドフィールの筋のブロックは少し低下してくる。
急性期と亜急性期では過度な運動が悪化の原因となるため、
疼痛の出現しない範囲での生活指導を行なうことが必要である。
そして可動範囲やエンドフィールによる筋スパズムの強さなどから
改善傾向であるのか、悪化しているのか判断することができる。
それにより運動量を減少するべきか問題ないかなど
調節が必要か否かの説明を行ないやすい。

亜急性期後半になると痛みはずいぶんと減少し
grimace signは消失する。
可動範囲も増加しエンドフィールも痛みで止まるのではなく、
抵抗感で止まる感じがある。
この時期からは徐々に可動性を改善する時期であり、
軟部組織や関節包などの柔軟性を向上させていく。
痛んだところが修復されてきているが
柔軟性が低下している状態と捉えてもらえばよいのではないだろうか。

さらに安定期に入ると痛みはほとんどなくなり
可動範囲もさらに拡大してくる。
うまく活動性が向上すれば抵抗感も減少し
動かすことの可能な範囲はさらに増加してくる。

このようにエンドフィールを用いることにより
病期を探ることがある程度可能になる。
それにより、回復が順調かどうかや
運動量の程度を判断する手がかりとなる。

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Category: 痛み

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可動性の問題をエンドフィールで鑑別する 

関節に硬さがある場合、
それが筋による問題なのか関節による問題なのか
ある程度把握することができれば
アプローチでの無駄がずいぶん減らせるのではないだろうか。

筋が硬さの場合は硬いゴムを引っぱるように
徐々に突っ張り停止する。
これがいわゆるMushy tissue stretchである。
ストレッチをする時の抵抗感を想像してもらうと良い。

それに対して関節のエンドフィールでは
途中までは抵抗がないのにもかかわらず
急にベルトが伸びきったように停止する。
これがHard capsularである。
自分の肩関節をゆっくり外旋させていくと
最終可動域あたりで急に硬い抵抗を感じるのではないだろうか。
この感覚が関節のエンドフィールに近いのではないだろうか。

筋のエンドフィールであれば筋に対するアプローチを。
関節のエンドフィールであれば関節に対するアプローチを。
臨床では混在する場合も多いため、
問題の割合が多いものにアプローチをするという戦略もある。
また4週間以上経過すると筋のみの問題でなく
関節包も硬くなると言われているため
こういった問診も鑑別の一つの情報としては用いることができる。

臨床思考2
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Category: 可動域制限

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目標設定と問題提示 

アプローチを進める上で大切なことは目標を決めることである。
患者さんの精神的な言語から導きだされる
将来像を現実的な面に変換するのが目標設定である。

そしてそれを元にどのようにすれば良いのか
原因追及をしていくのが問題提示である。
不足している部分を補っていく。
優先順位に関しては何を求めるのか?
リスクを防ぐには何から行なうか?
影響の大きいものは何なのか?
こういったものから選択される。

目標は前向きな将来像であり、
それが明確になることで
患者さんは細かなことを気にしなくなる。
細かな悪い症状に目を向けなくなることで
改善のスピードは加速し寄り道が少なくなる。

毎日の臨床の中でつい目標を設定せず
アプローチしていないだろうか。
目標が何なのか?
これがすべての選択肢の基準となる。

臨床思考
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Category: 評価

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アプローチの効果判定 

患者のニーズを確認し
能力や機能の評価を行ったあと目標を設定する。
機能障害が改善可能な問題であったら、
仮説を元にアプローチを行ない効果判定を行なう。

例えば歩行時に疼痛があり、
痛みなく歩きたいという訴えがあったとする。
疼痛がなく歩行が行なえることを目標として、
疼痛の評価を行っていく。
疼痛部位に炎症症状はなく、
神経症状などの大きな問題はない。
自動運動と等尺性抵抗運動で疼痛があるも
他動運動での疼痛はない。圧痛点はあり。
エンドフィールはわずかに筋スパズムあるも
筋の抵抗感であるmushy tissue stretchが主である。
関節副運動の低下もないことから、
筋の問題である可能性が高い。
あとは一過性の緊張か短縮による改善しにくいものか
といった判断が必要になる。
触診感の違いもあるがアプローチに効果があれば緊張によるもの、
効果がなければ短縮によるものの影響が強いと予測できる。

さてこのような流れの中で仮説どおりに
進まないときどのように考えれば良いだろうか。
一つは仮説が誤っている場合。
自分の考えている仮説と現在の患者さんの
臨床症状が食い違っている場合に多い。
療法士の思い込みにより評価を省いた場合や
問診を疎かにしてしまうと生じやすい。
次に評価技術の問題。評価はしているものの
評価技術が正確ではなかったため
問題点を誤ってしまう場合である。
最後にアプローチ技術の問題
アプローチを行なうも、アプローチの技術が乏しいため
十分な効果が出ていない場合がこれにあたる。

毎回のアプローチにしっかりと効果判定を行ない、
自分のうまくいかなかった部分を明確にしていくことが
技術の向上には何よりも大切であると言えるのではないだろうか。

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訴えとニーズの確認 

理学療法の前に患者さんと顔を合わせたとき、
初めてであっても二回目以降であっても
状態を確認することは非常に大切である。

アプローチの効果判定や効果の持続時間、
また不調の際に日常生活で何か変わったことはなかったか
そういった情報は患者さんの声を聞かないかぎりわからない。
患者さんの声を聞くときに
できるだけオープンクエッションで聴くことが大切である。
オープンクエッションであれば患者さんの優先順位の高いものから
話す可能性が高いのでそういったことも確認できる。
うまく聞き出すことができなかったり、
欲しい情報を聞き出す場合に
少しずつクローズドクエッションに切り換える。

「どんな調子ですか?」と聴くと
オープンクエッションとなる。
また「何か不安はないですか?」と聴くと
精神的な問題点を聴き取りやすく、
「困っていることはないですか?」と聴くと
現実的な問題点を聴き取りやすい。

経過を見ていく上でも精神的な要素と現実的な要素の
両方が回復していっているのか患者さんの声から確認する。
特に精神的な要素は確認しないと
療法士も気付いていないことも多く、
機能的には問題ないけど
精神的には不安が続いているといった
状態に陥ることもあるので注意が必要である。

また会話の中でどのような言語を用いるのか?
視覚・聴覚・体性感覚のどの感覚を優先的に使う方なのか
といったことも余裕があると確認していくと良い。
それにより説明する言語を選んだり、
アプローチでどういった刺激を優先的に用いるかも参考になる。

何よりもしっかりと相手の声に耳を傾けること。
相手を理解することが私たち療法士を理解してもらうためには
まず最初にやっておく大切なことだと思う。

臨床思考
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Category: 評価

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能力から機能的な問題へ 

訴えとニーズを確認することができたら
実際に困っている動作を見させてもらうのがおすすめである。
いきなりベッド上で機能評価をはじめてしまうと
どういった動きでどういった現象が見られるのか。
その時の症状と機能的な問題の関連性がわからないので
評価が的外れな物になったり、
必要以上に評価をするハメになってしまう。
またその動作を確認し、修正動作で痛みの増強か減少を
確認することができれば大きなヒントとなる。

立ちにくい、歩くのが怖い、座っていると痛くなる、
物を持ち上げようとすると痛い、体がぐらつく・・・。
こういった訴えから機能的な問題を導いていく。
まず動作では動き過ぎている部分と動いていない部分を確認する。
過剰にストレスを受けている部分は過剰に動く関節のことも多い。
そうなるとその周辺関節の可動性が問題であったりする。
動作ではいくつかの関節が複合的に動くため、
問題も様々に絡み合って混乱してしまうことも少なくない。
そこでシンプルに4つの問題点に絞って考えてみてはどうだろうか。
痛み・可動性・筋力・心因性である。
優先順位もこの順番でまず考えていくと良いかもしれない。
まず痛みがあると可動性も筋力も発揮されない。
そして次に可動性。可動性が少ないと筋力も発揮できない。
そして最後に心因性。
これは始めから心因性を疑うと他の問題が見えにくくなるため。
またその他の痛み・可動性・筋力を改善することでも
心因性にも影響があるため最後に並べている。
慣れてくると心因性も同時進行で
アプローチできればなお良いのではないだろうか。

臨床思考
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Category: 評価

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症状安定のための3つの要素 

主症状が一旦落ち着いていても、
再び増悪することは非常に多い。
これはいったいどういった影響によるものであろうか。

主症状は過度にストレスを受けている場合が多い。
それは主症状の部位に動きが過剰に生じ、
その周りの関節は硬くなり動きが過小になっている状態でもある。
そのため、主症状の根本的な原因は
その部位にないことが多いのである。

痛みが出る場所があるとその周辺の関節の動きが悪い。
そのためその動きの悪い関節の可動性が改善しなければ
主症状はまた再発を繰り返すことになる。
これが運動連鎖の影響と言える。
例えば腰痛の患者さんがいたとする。
体を曲げたときに腰に痛みが生じ、
動作からは疼痛部位の過度な屈曲が認められる。
しかし胸腰椎や股関節の動きは乏しい。
主症状のストレスを軽減するためには
胸腰椎と股関節の可動性の改善が必要不可欠である。

また悪化を繰り返す場合には、
日常生活の影響を受けていることも多い。
症状は日常生活によってよくなったり悪くなったりする。
怪我や病気になった場合、
通常であればそこから少しずつ良くなっていくイメージがあるが
実際には途中で悪くなったりよくなったりを繰り返すことが多い。
要するに怪我や病気以外の要素が影響を与えていると言える。
これが日常生活による影響であり、
何か変わったことをした場合は動作の影響。
特に何もしていない場合は
静止時での小さな負担の蓄積による姿勢の影響。
そして動作も姿勢も管理できている場合に
考えられる心因性の影響が挙げられる。

一旦症状がコントロールできたとき
つい療法士も患者も安心してしまうが、
症状をコントロールするためには
これらの3つの因子がコントロールされておく必要がある。

運動連鎖は療法士が動作とともに他関節の評価をする必要がある。
そして日常生活は患者さんがコントロールする必要があるので、
療法士がいかに具体的で適格なアドバイスができるかが重要になる。
狭い視点と広い視点。具体的にはこういった視点を総合的に見ながら、
患者さんに合わせたアドバイスや
アプローチをする必要があるのではないだろうか。

臨床思考
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Category: 治療

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歩行の運動連鎖 

運動が正確に生じない時や疼痛が出現するとき、
運動連鎖から考えていくことで
症状の出ていない部位からアプローチすることができる。
これは炎症を起こしている関節があった場合、
その関節の周辺関節の可動性を改善することで
炎症部位のストレスを軽減するといった応用に用いることができる。
その結果、治癒を阻害するストレスを軽減するため
回復を最大限に促すことができるのである。

例えば膝のO脚が強く、立脚初期のラテラルスラスト。
その際の関節内側裂隙の鋭痛が主訴とする。
立脚前期から中期にかけて
下肢は外旋方向のベクトルが強く
内旋の動きは認められない。
その結果膝は外側にスラストしているようである。

立脚前期から中期にかけて下肢が内旋方向に動くには
地面から第1中足骨の屈曲、足部の外返し、腓骨の挙上と内旋、
下腿の内旋、股関節の内旋、骨盤の前傾が必要である。
これらの運動方向に可動域制限があったり、
副運動の低下があると運動は途中で止まるか
もしくは他の関節による代償などが生じる。
例えば膝の疼痛がある患者さんの
第1中足骨の屈曲可動域が極端に低下しているとする。
それに伴い足部の外返しが生じず、下腿が外旋、
股関節も外旋していくとラテラルスラストが生じてしまう。
そこで第1中足骨の屈曲可動域を改善すると
足部の外返しが促され下腿の内旋が生じることで
ラテラルスラストが減少するということが起こるのである。

こういった運動連鎖の理解は他の部位から
主症状に効果を出すことができる他、
症状の再発予防においても非常に重要である。
運動療法の効果においても可能性が広がるため
より臨床での思考の幅を持たせてくれるものと
言えるのではないだろうか。

臨床思考1
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Category: 運動連鎖による影響

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各周期と運動連鎖 

歩行の際、立脚期から遊脚期にかけて
関節は様々な運動が連鎖していく。
立脚前期の中盤にさしかかったところから
骨盤は後方回旋をはじめ、それに伴い大腿骨の外旋、
脛骨の外旋、距骨下関節の回外と
今までの運動の方向から切り替わる。
そしてその運動は遊脚期にさしかかると、
距骨下関節が回外から回内に切り替わると、
他の関節も骨盤前方回旋、大腿骨内旋、脛骨内旋と
切り替わっていくことになる。

可動域制限や副運動の低下がある関節は
運動が途中で阻害される。
その場合は他の関節で代償されるか、
運動の連鎖は崩れてしまうことになる。

このように歩行では一つの関節が
他の関節に影響を与えることは多く、
運動を全体で捉える必要性は大きいと考える。
障害部位以外の関節も含めて評価をしていくことが
能力障害に対するアプローチでは必要になる。

臨床思考

1)山岸茂則:運動連鎖とは?嶋田智明,他(編):実践 MOOK.
 理学療法プラクティス運動連鎖-リンクする身体,
 pp2-7,文光堂,2011
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Category: 運動連鎖による影響

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座位のアプローチ 

体の症状は良かったり悪かったりを繰り返す。
そしてそれに最も影響しているのは
日常生活によるものである。

「悪い姿勢をしてはいけない。」
と言った言葉よりも
「どうすればよいのか。」
の言葉のほうが魅力的である。
それにはより具体的に日常生活の姿勢や動作を
捉えていく必要がある。

まず腰を曲ると痛くなる患者さんは
座位姿勢で症状が悪化することが多い。
これは座位によって屈曲が強調されるためである。
では症状が出現しない座位とは
一体どういったものなのだろうか?

症状が悪化する姿勢は体幹が屈曲し
頭部も前方に突出した姿勢をとる。
股関節の屈曲は乏しくなり、
骨盤は後傾が強くなる。
これにより下部腰椎の屈曲が大きくなり、
椎間板症状や脊柱起立筋の緊張が生じることとなる。

良い姿勢にするためには脊椎を伸展することが必要なため、
脊椎の伸展の可動性が重要になる。
特に胸腰椎移行部の椎間関節の副運動が
低下していることが多く、
脊椎の伸展を阻害していることは多い。
また頭部の前方突出が強い患者さんは
下部頸椎から上部胸椎の副運動の低下も確認する必要がある。

脊椎の伸展が確保できたら
股関節の屈曲角度を増やすように促す。
そうすることで自然と骨盤は前傾して
坐骨結節に体重がのるようになる。
骨盤がニュートラルになると
脊椎も自然と良好なアライメントに移行する。

それらができたら最後は体幹深層筋を働かせる。
背中を無理に伸ばそうとする姿勢は、
脊柱起立筋の疲労を招きやすく
30〜40秒程度で不良姿勢に戻ってしまう。
体幹深層筋は赤筋優位なため収縮の持続時間は長く、
良好な姿勢を保つことが可能である。
お尻の穴をわずかに締める感じ。
このイメージにより骨盤底筋群から
腹横筋に連鎖的に収縮が入り体幹の安定性に影響する。

座位姿勢の指導。
正しい姿勢が身に付くことで
座位保持時間は圧倒的に長くなる。
自分で座位の疼痛をコントロールできる喜びを
うまく伝えることは大切である。

臨床思考
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Category: 日常生活の影響

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立位のアプローチ 

立てると痛くなってくる。座っているほうが楽。
そんな患者さんは少なくない。
腰椎の前彎が増強するタイプで腰椎の過伸展が
症状を誘発する運動となる。
すべり症や分離症、脊柱管狭窄症で多い症状である。

まず頭に入れておくべきところは
腰椎の過度な前彎を軽減させることである。
腰椎の前彎を軽減させるには
前彎方向の運動を強調させる
腸腰筋と脊柱起立筋の緊張を軽減させることが重要である。

また胸腰椎移行部の脊椎の可動性の低下も
腰椎前彎の増強に影響を及ぼす。
胸腰椎で伸展方向に可動しない部分があれば
可動する部分の伸展がより強調されることになり
その部分のストレスが増強される。
また胸腰椎移行部の他にも股関節の伸展の可動制限があれば
これも腰椎の伸展ストレスが増強する原因に繋がる。

最後に腰椎の安定化のために
体幹深層筋の促通が必要になる。
腰椎部分を安定した位置で維持するためには
外層の筋バランスだけでなく
深層の筋の活性化も重要になってくる。

立位姿勢は歩行の前段階として
非常に重要な役割を果たす。
立位の安定は歩行の安定にも繋がるため
注意深く評価していく必要がある。

臨床思考1
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Category: 日常生活の影響

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床の物を拾う動作のアプローチ 

床の物を拾う動作では疼痛が出現することが多い。
今回はその中でも多い腰痛に対するアプローチについて。
床の物を拾う動作は屈曲動作での疼痛出現が多い。
屈曲の運動が下肢から体幹・頸部と均一に動けば良いのだが、
可動制限があったり可動させない関節があると、
一部分の関節運動が過剰になり
その部分にストレスがかかることになる。

各関節が均一に可動するためには
下肢の運動は必要不可欠である。
下肢を伸展させた状態で体幹のみ屈曲させるのではなく、
股関節・膝関節もしっかり屈曲するように
意識付けすることが必要である。
うまく可動しない場合は、股関節・膝関節・足関節に
可動制限があったり疼痛が出現することがある。
その場合はそれら関節の機能障害が
動作に影響を及ぼしていると予測を立てることができる。

また屈曲動作での疼痛出現の他、
伸展動作で疼痛が出現することもある。
床の物を拾い持ち上げる瞬間に
腰椎が過度に前彎し疼痛が出現するのである。
この場合は腰椎の前彎が増強しないように
持ち上げる瞬間に体幹深層筋が収縮するように
促すことが有効である。
また補助的に前彎を増強する因子である
腸腰筋・脊柱起立筋の緊張の軽減や
胸腰椎移行部の可動性の改善を用いることも有効である。

疼痛による症状は受傷による影響だけでなく
日常生活によっても症状は左右される。
日常生活での姿勢や動作がいかに影響しているのか
患者さんに認識してもらうことは
能動的に治療を参加してもらうための
第一歩になることは言うまでもない。

臨床思考2
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Category: 日常生活の影響

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症状悪化の原因 

理学療法を開始して経過を追っていると、
調子が良かったのにも関わらず
症状が悪化することはよくある。

何が原因なのかを特定しようにも
要因が多すぎて何から確認していけば良いのか
混乱してしまうことも多い。

そういう場合は次の3点に絞って確認してみてはどうだろうか。
動作・姿勢・心因性の3点である。
動作に関してはまず
「何か変わったことはしてないですか?」
と確認をしてみる。
いつもしないことをしたり、
いつも通りのことでも時間が長く行なっていないかを
質問することでより思い出しやすくなるかもしれない。
また遅発性筋痛の場合は2〜3日前の症状が
遅れて出現することがあるのでこれらも考慮しておく必要がある。

姿勢については動作で特に思い当たらない場合に
次の候補に上がるものである。
長時間のテレビ鑑賞や友人との会話の他、
座ったまま寝てしまったなども
稀に影響している場合もある。
また姿勢を良くするためには脊椎の可動性の確保と
体幹深層筋の活性化も必要になる。

最後に心因性について。
動作や姿勢に問題がない場合、
次に考えられるのが心因性の問題である。
疼痛が長期に続いた場合それだけでもストレスになる。
その他、仕事や家庭・プライベートでの対人関係も
ストレスとしては優先順位が高いものとなる。
うまくストレスを発散したり、
前向きな解釈や別の視点に向けるなど
受け流す能力が重要なる。
患者さんの心因性の問題に気付いてもらうためには
質問をしながら答えてもらうのが有効である。
心因性の問題は自分で否定したい場合も多く、
療法士側からいきなり気持ちの問題と言われても
気分を悪くするし、
メカニズムを伝えることも難しかったりする。
「もしかしたら、そういうストレスも痛みに関わるんですか?」
と患者さんから言葉が出るように。そして
「それも影響している可能性はあるかもしれませんね。
 そんな気はしますか?」
など患者さん自身が答え納得してもらうのが有効である。

そしてこのように悪化した場合は心配になり、
活動性を極端に下げてしまう場合がある。
基本的には活動性は維持しながら、
負荷を増加する際は1〜2割程度の増加を
心がけるように指導する。
それ以上増加させた場合は症状が悪化する可能性が高いと伝える。
このことを患者さんが理解しておくと、
たとえ悪化したとしても本人はなぜ症状が悪化したのか
理由がわかるだけでも精神的にはずいぶん楽になるはずである。

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Category: 日常生活の影響

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アイデンティの確立 

真面目だけどヒトに迷惑をかけてしまう。
こういった悩みは現代社会では多いようである。
決して不真面目で悪いことをしている訳ではない。
自立しようと頑張ると孤立してしまったり、
また甘えようとすると相手に飲み込まれてしまう。
一体どうすれば良いのだろうか。

このような状態に陥る場合はいくつかの特徴がある。
必要以上に悩んでしまう。
 自分が大好きで自意識が過剰なところがある。
飽きっぽい
 一つのことが続かない
選べない
 自分で決めることが難しい
否定的
 口癖が「でも」とか「いや」とかが多い。
人付き合いが苦手
 ヒトとの距離感がわからない。
 仲良いヒトでも急に喋れなくなったりする。
未来の予測がうまくできない
 時間が守れなかったい。将来を想像することが難しい。

こういった項目がいくつか当てはまる場合は
アイデンティティの確立ができていない状態と言われる。
これは自分は社会においてどのような存在なのか
把握できていない状態であり、
学生時代はその猶予期間とされモラトリアムと言われる。

自分という存在と他者や社会という存在の両方を認識し、
自分が何をやりたいのかという自己と
自分が何をすべきかという他者や社会
の両側面を理解することではじめて繋がりを感じることができる。

日本人は村社会の文化が根強く、
依存が強い傾向があるためアイデンティティの確立が難しい事が多い。
しかし、生き方が自由に選択できるようになった今、
こういった認識が困難であれば自分の人生は
他者や環境のせいにして終わってしまう。
自分自身がどういう人間であって、他者や社会に対して
どのような役割を果たすことができるのか。
社会人としてもう一度確認することができれば
自分の人生をもう少し思うように生きることができるのかもしれない。
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Category: 哲学・思想

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2013-03
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