fc2ブログ
Admin   Newentry   Upload   Allarchives

理学療法の評価と治療

理学療法に関連する臨床・研究・教育と評価・治療について書いていきたいと思います。

変形性股関節症:疼痛の要因 

股関節痛と言っても非常にたくさんの要因がある。
大きく分けると機械的要素化学的要素そして
その他に分かれる。

機械的要素では
・関節包      :伸張や捻じれ
・筋        :過剰なストレス
・拘縮       :靭帯付着部に癒着
・骨増生や軟骨の破壊:骨の圧迫や摩擦
・関節不安定性   :靭帯・腱のストレス
・関節水腫     :内圧上昇と骨棘による関節包ストレス

化学的要素
・軟骨破壊の際のタンパク分解酵素(サイトカイン)
 産生による化学的刺激や2次性関節炎
・生化学物質が骨・軟骨の退行変性と関連し受容器刺激
・サブスタンスP(神経ペプチドの一種)の疼痛伝達物質の作用
・骨端部静脈のうっ血

その他
・L2,3支配のデルマトーム,マイオト―ム,
 スクレロトームの関連痛
・筋筋膜症候群に起因するトリガーポイントからの関連痛
・脊椎や隣接関節の機能異常からの放散痛や関連痛
・防御反応としての筋スパズムと神経の
 拘扼性障害による異常感覚

これだけ多くの問題が混在しており、
ある一つの現象のみで断定することは困難である。
機能評価を多く行い可能性の高いものを
選択するというのもひとつの方法である。
しかしながら患者の負担や評価ばかりの理学療法では
患者の満足度は得られないばかりでなく
治療してもらえないことの不満も生じやすい。
問題を明確にすることは当然重要であるが、
「理学療法は治療のみ」と患者は認識していることも多い。
適切に説明し、不満を生じさせないことも
配慮する必要がある。
また評価を最小にするためには問診が大切である。
 どこが痛いか? →解剖学的な位置関係
 どんな痛みか? →生理学的な痛みの種類
        (炎症や関節内圧の変化など)
 どういう動きで痛いか? →運動学的なストレス
解剖学・運動学・生理学が大切だと言われるのは
これらを明らかにするための基礎的な知識になるからである。
またどんな時によくなって(痛い時にどうするか?)
どんな時に悪化するかも参考になる。
改善する方法を患者自身が知っていることは
精神的な安定に重要であるし、
悪化することが分かっていれば、
増悪因子のコントロールを促しやすくなる。

1)丸山仁司 他:考える理学療法 評価から治療手技の選択,
 文光堂,pp261-273,2004
関連記事
スポンサーサイト



Category: 股関節

TB: 0  /  CM: --

top △

トラックバック
トラックバックURL
→http://pain0205.blog92.fc2.com/tb.php/366-90851842
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

top △

2023-03