理学療法の評価と治療
理学療法に関連する臨床・研究・教育と評価・治療について書いていきたいと思います。
変形性股関節症:疼痛の要因
2011/05/17 Tue. 00:00 [edit]
股関節痛と言っても非常にたくさんの要因がある。大きく分けると機械的要素と化学的要素そして
その他に分かれる。
機械的要素では
・関節包 :伸張や捻じれ
・筋 :過剰なストレス
・拘縮 :靭帯付着部に癒着
・骨増生や軟骨の破壊:骨の圧迫や摩擦
・関節不安定性 :靭帯・腱のストレス
・関節水腫 :内圧上昇と骨棘による関節包ストレス
化学的要素
・軟骨破壊の際のタンパク分解酵素(サイトカイン)
産生による化学的刺激や2次性関節炎
・生化学物質が骨・軟骨の退行変性と関連し受容器刺激
・サブスタンスP(神経ペプチドの一種)の疼痛伝達物質の作用
・骨端部静脈のうっ血
その他
・L2,3支配のデルマトーム,マイオト―ム,
スクレロトームの関連痛
・筋筋膜症候群に起因するトリガーポイントからの関連痛
・脊椎や隣接関節の機能異常からの放散痛や関連痛
・防御反応としての筋スパズムと神経の
拘扼性障害による異常感覚
これだけ多くの問題が混在しており、
ある一つの現象のみで断定することは困難である。
機能評価を多く行い可能性の高いものを
選択するというのもひとつの方法である。
しかしながら患者の負担や評価ばかりの理学療法では
患者の満足度は得られないばかりでなく
治療してもらえないことの不満も生じやすい。
問題を明確にすることは当然重要であるが、
「理学療法は治療のみ」と患者は認識していることも多い。
適切に説明し、不満を生じさせないことも
配慮する必要がある。
また評価を最小にするためには問診が大切である。
どこが痛いか? →解剖学的な位置関係
どんな痛みか? →生理学的な痛みの種類
(炎症や関節内圧の変化など)
どういう動きで痛いか? →運動学的なストレス
解剖学・運動学・生理学が大切だと言われるのは
これらを明らかにするための基礎的な知識になるからである。
またどんな時によくなって(痛い時にどうするか?)
どんな時に悪化するかも参考になる。
改善する方法を患者自身が知っていることは
精神的な安定に重要であるし、
悪化することが分かっていれば、
増悪因子のコントロールを促しやすくなる。
1)丸山仁司 他:考える理学療法 評価から治療手技の選択,
文光堂,pp261-273,2004
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Category: 股関節
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